
メッセージアプリ「LINE」に新機能「LINE AI トークサジェスト」が加わった。AIが返信文案やスタンプを提案し、敬語やタメ口などの口調変換にも対応するという。
9月4日の発表直後からSNSでは「便利」と歓迎する声が上がる一方、「1日3回までの無料制限は意味がない」「操作性が悪い」といった否定的な意見も広がり、賛否両論を呼んでいる。
新機能「LINE AI トークサジェスト」とは
LINEヤフーは9月4日、AIを活用した新サービス「LINE AI トークサジェスト」を公開した。
この機能では、会話の内容に応じてAIがおすすめの返信文やスタンプを提案するほか、「誤字修正」や「敬語」「タメ口」「ねこ語」などの口調変換を行うことができる。
操作はメッセージ入力欄に新設された「AIボタン」から行い、利用回数は無料で1日3回までに制限されている。
日常的にLINEを使うユーザーにとっては、文章作成を支援する「相棒」のような存在となる可能性を秘めるが、その仕様や制限をめぐって議論が相次いだ。
肯定派の声「効率化に役立つ」「便利すぎる」
発表直後からSNSでは「便利だ」「仕事や育児の合間に役立ちそう」といった肯定的な意見が拡散された。
「LINEのAI機能神じゃない?勝手にトーク分析して返信考えてくれる」
「返信文面の口調をブラッシュアップしてくれるのが便利すぎる」
「仕事しながら、育児しながらでも簡単に返せそう」
こうした声には、現代人が抱える「すぐに返信できない」という負担を軽減する期待がにじむ。文章のトーンを調整できる機能は、上司や取引先へのやり取りでも活用できると好意的に受け止められている。
否定派の声「違和感」「ボタンが邪魔」
一方、否定的な反応はさらに多方面に広がっている。
「AIの返信って微妙にズレてて気持ち悪い」
「会話が成立していない感じで、逆に使いづらい」
「相手にAIを使っているのがバレたら申し訳ない」
操作面では、
「スタンプの隣にAIボタンあるの邪魔すぎる」
「誤操作してイライラする」
といった不満が頻出。
さらに、プライバシー面の懸念も強まっている。
「会話の内容をAIが読み取るってこと?怖い」
「どこまで保存されてるのか分からない」
加えて、「AIに頼りすぎると自分で文章を考える力がなくなりそう」という依存性への警戒も浮上している。
「1日3回まで無料」に冷ややかな視線
最大の論点となっているのが「無料利用は1日3回まで」という制限である。
SNSでは「制限が厳しすぎて意味がない」「実質的に無料体験版にすぎない」との不満が多数を占めた。ヘビーユーザーからは「結局は有料化を見据えた仕組みでは」との疑念も出ている。
一方で「まずは試してもらう狙いだろう」「有料プラン導入を見越した布石では」と分析する声もあり、LINE側の戦略的な思惑を推測する動きも広がる。利用回数の制限が、ユーザーの継続利用や有料化移行にどう影響するかが注目されている。
他社サービスとの比較と今後の課題
他社の動向と比較すると、LINEの立ち位置が鮮明になる。
Googleの「Gmail」や「Googleメッセージ」では、AIによる「スマート返信」がすでに普及しており、短文の自動提案が制限なく利用できる。SlackやMicrosoft TeamsでもAIによる要約や返信案が導入され、業務効率化の手段として評価されている。
これに対し、LINEは主に家族や友人とのカジュアルなコミュニケーションが中心であり、AI導入には「便利さ」と「自然さ」の両立が求められる。特に「1日3回制限」は他社サービスと比較しても物足りなさが際立ち、ユーザー体験を損なう要因となっている。
コミュニケーション研究者からは「プライベートな会話にAIをどこまで許容できるかが鍵になる。利用者の心理を丁寧に見極める必要がある」との指摘もあり、技術面だけでなく文化的側面の調整も重要とされる。
LINE AI トークサジェストは、便利さを評価する声と、違和感や不満を訴える声が交錯するスタートとなった。ユーザー体験の改善や無料利用枠の拡大、有料プランとの連動など、今後の運営方針次第で評価は大きく変わるだろう。他社サービスとの競争もにらみつつ、“自然で使いやすいAI”へと進化できるかが焦点となる。