
京都のスタジオから届けられていたユーモアと説法の掛け合わせが、突然幕を閉じる。お笑いコンビ「千原兄弟」の千原せいじ(55)が出演していたKBS京都の人気番組『大雲・せいじの坊僧ラジオ』が、8月31日の放送をもって終了することが発表された。復活からわずか半年。背景には、YouTubeでの“いじめられっ子発言”が影を落としている。
千原せいじのラジオが突然終了
公式サイトでの発表はあまりに唐突だった。
「この度、急ではありますが『大雲・せいじの坊僧ラジオ』を終了することになりました」。
番組は住職・三木大雲氏とせいじの“坊僧コンビ”が人生相談に答えるスタイルで、怪談と仏教思想を交えたユーモラスな語り口が魅力だった。2023年9月に一度終了したものの、リスナーの要望で今年1月に復活したばかり。にもかかわらず、わずか8か月で幕を閉じることになる。
波紋を広げた「いじめられっ子」発言
事態を大きく動かしたのは7月18日に配信されたYouTubeでの対談だった。
埼玉県戸田市議会議員・河合ゆうすけ氏との議論の最中、せいじは突然笑い声を交えてこう吐き捨てた。
「お前、いじめられっ子やったやろ? なぁ? お前いじめられっ子出身やな!」
その瞬間、空気が凍りついた。視聴者からは「笑えない」「過去の傷をえぐられた」と批判が殺到し、SNSは炎上。さらに日本仏教協会から顧問辞任を発表されるなど、影響は広がっていった。
番組終了の舞台裏
KBS京都は「いじめられっ子発言だけが理由ではなく、さまざまな要因を総合的に判断した」と説明する。しかし番組関係者によれば、8月23日に開催されたイベント「坊ファミのつどい!」が終了発表を遅らせた一因だったという。
「すでにチケットを販売していたため、イベントを無事終えるまでは番組を継続せざるを得なかった」と語る。実際、終了発表はイベント翌日に行われた。
僧侶としての言葉の重み
今回の騒動がここまで大きな批判を呼んだのは、単なる芸人の失言にとどまらなかったからだ。せいじは天台宗で得度を受け、僧侶としても活動してきた。人生相談を受ける立場にありながら、「いじめられっ子」を笑いのネタにしたことが、聴取者の信頼を大きく揺るがした。
「相談相手に安心を求めていたリスナーが、逆に心をえぐられた」との声も多い。
今後の芸能活動への影響
現在、せいじのYouTubeやSNSは更新が止まっている。テレビ出演にも厳しい声が寄せられており、業界関係者は「しばらくは起用を控える動きが広がるだろう」と指摘する。
僧侶として、芸人として、二刀流で独自の立ち位置を築いてきた千原せいじ。しかし、自らの言葉が番組を終わらせ、活動の幅を狭める結果となった。仏教でいう“因果応報”を思わせる結末だ。
言葉が招いたラジオ終了。千原せいじに残された課題
人気の復活からわずか数か月での番組終了。その背景には、軽率な一言が大きな社会的反響を生む現代の厳しい空気がある。千原せいじが今後、どのように信頼を取り戻し、再び舞台に立つのか。注目は続く。