
富士山の豊かな自然環境を背景に、山梨県は「精密機械・FA」と「食品・水資源」、さらに「観光・流通」が交錯する産業構造を形成している。工業統計では機械系の比率が突出し、裾野には半導体関連の部材・装置メーカーが集積する。一方で、雑穀や菓子、ミネラルウォーターといった食品・飲料産業も地場に根差し、観光と結びつく形で経済の厚みを支えている。本稿は決算短信・有価証券報告書など一次資料のみを突合し、連結売上高(金融は経常収益)を基準に“県内に本社(登記本店)を置く企業”20社で作成した最新ランキングだ。
20 位 YSKe-com〈甲府市〉 売上 99億6,400万円〈2024/8〉
名門ポイント:山梨県を拠点とする独立系システムインテグレーター(SIer)として、地域社会のITインフラを支えている。強みは、特定のハードウェアやソフトウェアに依存しない独立した立場から、顧客に最適なソリューションを提案できる点にある。
データセンターの運用を中核事業の一つとし、企業の重要なデータを安全に管理・運用するサービスを提供している。また、地方自治体や流通業界向けのシステム開発にも力を入れており、地域経済のDX(デジタルトランスフォーメーション)を強力に推進している。顧客の業務課題を深く理解し、オーダーメイドのシステムを構築する能力は、大手IT企業とは異なるきめ細やかなサービスとして高く評価されている。
これからも、地域社会の情報化を牽引し、よりスマートで効率的な未来を創造していくだろう。
19 位 シチズン電子〈富士吉田市〉 売上 176億円〈2024/3〉
名門ポイント:精密機械の分野で培われた高度な技術を基盤に、LED光源や電子デバイスといった製品を開発・製造している。特に、LED照明分野では、小型ながらも高効率で高品質な光を放つ製品群で知られ、産業用から一般家庭向けまで、幅広い用途で活用されている。
強みは、創業以来磨き上げてきた微細実装技術にある。超小型の部品を緻密に組み上げるこの技術は、高密度な電子デバイスやLEDモジュールの製造に不可欠だ。これにより、製品の小型化・高性能化を可能にし、顧客の多様なニーズに応えてきた。また、時代のニーズを捉え、スマートシティや自動運転といった次世代技術に貢献する製品開発にも積極的に取り組んでいる。
これからの社会において、光と電子の技術はより高度な役割を担うことになる。その中で、この企業は、独自の技術力と飽くなき探求心によって、光と電子の分野におけるイノベーションを牽引し、より豊かで持続可能な社会の実現に貢献していくだろう。
18位 株式会社早野組〈甲府市〉売上 186億6,567万円〈2024/5〉
名門ポイント:山梨県を拠点とする総合建設業として、長年にわたり地域のインフラ整備を支えてきた。特に、高度な技術と豊富な経験が求められるトンネルや橋梁といった大規模な土木工事に強みと実績を持つ。これにより、地域の交通網の基盤を築き、人々の暮らしや経済活動を支えている。
土木・建築工事に加えて、宅地造成も手掛けることで、地域の安全・安心なまちづくりに貢献。高品質な施工と徹底した安全管理は、顧客や地域社会から厚い信頼を獲得している。また、環境に配慮した工法や資材の導入にも積極的に取り組み、持続可能な社会づくりへの貢献も視野に入れている。
これからも、培ってきた確かな技術力と誠実な姿勢で、未来の地域社会を創造し、その安全と発展を支え続けていくだろう。
17位 株式会社トリケミカル研究所〈上野原市〉 売上 189億588万円〈2025/1 連結〉
名門ポイント:半導体製造プロセスの最前線で不可欠な役割を果たす、特殊な化学品の開発・製造を手がける、高度な技術集団である。目には見えない分子レベルで、半導体の性能を左右する重要な材料を提供しており、特に微細化が加速する最先端の半導体向けに、独自の合成技術で開発した材料に強みを持つ。
その製品群は、半導体の回路を形成する薄膜の成膜や、不純物を取り除くプロセスなど、極めて高度な工程で用いられている。日進月歩で進化する半導体業界において、その絶え間ない研究開発力と、顧客のニーズに合わせた迅速な対応力は、揺るぎない競争力の源泉となっている。スマートフォンやAI、自動運転技術、データセンターといった、現代社会を動かすあらゆるテクノロジーの基盤は、その革新的な化学品によって支えられていると言っても過言ではない。
これからも、技術革新をリードする存在として、日本の半導体産業を力強く牽引し、より高度で豊かな未来を創造していくだろう。
16 位 はくばく〈中央市/富士川町〉 売上 190億円〈2024/6〉
名門ポイント:大麦・雑穀食品のリーディングカンパニーとして、日本の食卓に「健康」と「おいしさ」を届けている。主力製品である「もち麦」や「十六穀ごはん」は、健康志向の高まりを背景に、おいしく手軽に健康的な食生活を送るためのソリューションとして、広く市場に浸透した。
強みは、創業以来培ってきた穀物加工の専門技術と、国内に複数の拠点を構える高効率な生産体制にある。これにより、需要の変動に左右されることなく、常に高品質な製品を安定的に供給し続ける力を有している。また、単なる食品メーカーに留まらず、雑穀が持つ食物繊維やミネラルといった機能性に着目した商品開発や、家庭での調理方法を提案する食育活動にも積極的に取り組んでいる。
こうした取り組みは、現代人の食生活における課題解決に貢献するものであり、単に製品を売るのではなく、より豊かな食文化を創造するという企業姿勢を示している。
これからも、その確かな技術力と飽くなき探求心によって、未来の食卓をより豊かで健康的なものへと導いていくことが期待される。
15 位 山梨トヨタ自動車〈甲府市〉 売上 191億円〈2025/3〉
名門ポイント:トヨタ自動車の正規ディーラーとして、長年にわたり山梨県の自動車市場を牽引してきた企業である。最新のハイブリッド車や、電動化の潮流を象徴するEV(電気自動車)やPHV(プラグインハイブリッド車)といった環境対応車の販売に力を入れ、未来のモビリティ社会の実現に貢献している。
また、充実した整備工場と専門技術者によるアフターサービスは、顧客が安心して長く車を乗り続ける上で不可欠な要素となっている。さらに、高級ブランドである「レクサス」の併売を手掛けるなど、多様化する顧客のニーズにきめ細やかに対応。これにより、幅広い顧客層を獲得し、揺るぎない事業基盤を築いている。
変化の激しい自動車業界において、常に時代のニーズを捉え、高品質な製品とサービスを提供し続けるその姿勢は、地域社会のカーライフを豊かにする重要な役割を担っている。
14 位 クスリのサンロード〈甲府市〉 売上 210億円〈2023/2 連結〉
名門ポイント:ドラッグストアチェーンであり、地域に深く根ざした経営を展開している。単なる医薬品や日用品の販売に留まらず、調剤薬局事業も複合的に展開することで、地域住民の健康を総合的にサポートするヘルスケアインフラとしての役割を確立した。
その強みは、地域社会のニーズに合わせたきめ細やかなサービスにある。高齢化が進む地域において、処方箋を受け付ける調剤機能の強化は、顧客の利便性を高めるだけでなく、安定した収益基盤を築く上で重要な戦略となっている。
また、地域性を考慮した品揃えや、気軽に健康相談ができる専門スタッフの配置など、大手チェーンにはない付加価値を提供。これにより、単なる買い物場所ではなく、日々の健康を守るパートナーとして、地元住民から厚い信頼を獲得している。
地域に密着したその事業は、今後ますます重要性を増していくことが期待される。
13 位 シチズンファインデバイス〈富士河口湖町〉 売上 240億6,700万円〈2025/3〉
名門ポイント:水晶やセラミックなどの特殊な素材を扱う精密部品の専門メーカーである。その根幹技術は、極めて正確な動作を求められる精密機械の製造分野で培われたものであり、現在は、その高度な微細加工技術をエレクトロニクス産業の基盤に転用している。
同社の製品は、電子機器の動作に不可欠な時間や周波数の基準を司る水晶振動子や、高機能なセンサーなど多岐にわたる。これらは、スマートフォンやパソコンといった身近な機器から、自動車、医療機器、通信インフラまで、現代社会を動かすあらゆるテクノロジーの「見えない心臓」として機能している。特に、高温や振動など過酷な環境下でも高い信頼性が求められる車載用部品や、高い精度が不可欠な産業用機器向けの部材においては、その技術力が国際的に高く評価されている。
長年にわたる微細加工技術の蓄積と、徹底した品質管理体制は、変化の激しいグローバル市場における揺るぎない競争力の源泉である。
グローバルな技術革新の波に乗り、今後もより高度な社会を支える基盤技術を提供し続けることが期待される。
12 位 いちやまマート〈中央市〉 売上 251億円〈2024/2〉
名門ポイント:山梨県を中心に、消費者の「食」に対するこだわりに応えるスーパーマーケットとして、確固たる地位を築いている。単なる商品を仕入れて販売する小売店に留まらない、徹底した「製造小売」の精神が最大の強みである。
自社工場で精肉の加工や惣菜の調理を担うことで、他社には真似のできない高い品質と鮮度を追求。この独自戦略は、消費者の「安全・安心」へのニーズに直接応えるだけでなく、サプライチェーンを効率化し、経営の安定にも繋がっている。
また、顧客の嗜好を捉えた商品展開も特徴だ。健康志向の高まりに応えるべく、オーガニック食品や無添加のオリジナル商品を積極的に開発。さらに、地域の農業と深く連携することで、地元の旬な食材を店頭に並べ、地産地消を推進している。これは、地域の生産者との信頼関係を築き、地域経済の活性化にも貢献する、地域共生型のビジネスモデルである。
その経営哲学は、日々の食を通じて人々の暮らしを豊かにすることにある。単なる買い物場所ではなく、食の安全と品質を担保する信頼できるパートナーとして、地域住民の食生活に欠かせない存在となっている。
11 位 エノモト〈上野原市〉 売上 268億8,039万円〈2025/3 連結〉
名門ポイント:金属と樹脂を自在に組み合わせる微細加工技術を核に、現代のエレクトロニクス産業を根底から支える精密部品を開発・製造している。主力の製品群は、スマートフォンやデジタル家電の内部で信号を正確に伝達するコネクタ部品や、省エネルギー化に貢献する自動車向け、照明向けのLED用部品だ。これらの製品は、目には見えにくいながらも、機器の性能と信頼性を左右する極めて重要な役割を担っている。
長年にわたり蓄積された高度な加工技術は、常に製品の小型化と高密度化という市場の難題に応えてきた。複雑な形状をミクロン単位で正確に実現する能力は、技術的な参入障壁が高く、この企業が国際市場で優位性を保つ源泉となっている。特に、自動車の高度な電装化が進む中、車載向けの安定した高品質部品の需要は増しており、この分野での確かな実績が、さらなる成長を牽引している。
絶え間ない技術革新への追求と、多岐にわたる産業の進化を陰で支える存在感こそが、この企業の真価である。
10 位 内藤ハウス〈甲府市〉 売上 269億円〈2024/8〉
名門ポイント:プレハブ建築のパイオニアとして、日本の建設業界で確固たる地位を築いてきた老舗企業だ。仮設事務所や倉庫、学校の仮設校舎など、多様な用途の建築物を短期間で建設できる独自の技術力を持つ。これにより、公共事業から民間工事に至るまで、幅広い需要に応え続けている。
迅速な施工が求められる現場において、そのプレハブ工法は、高い品質とコスト効率を両立させる画期的なソリューションとして評価されている。
近年、大規模な災害が多発する日本において、その技術は社会的にも重要な役割を担っている。災害発生時の緊急避難所や仮設住宅を迅速に供給する体制は、単なるビジネスの枠を超え、人々の命と暮らしを守るインフラとしての重要性を示している。また、環境に配慮した建築資材の活用や、建物の再利用・リサイクルといった持続可能な取り組みにも力を入れており、これからの社会に求められる建設のあり方を追求している。
長年にわたる実績と、時代の変化に対応する柔軟な経営姿勢が、揺るぎない事業基盤を支えている。
9 位 ミラプロ〈北杜市〉 売上 324億円〈2024/3 連結〉
名門ポイント:半導体や真空機器の分野で、極めて高い技術力を持つ企業である。特に、半導体製造装置に不可欠な精密部品の開発・製造に強みを持つ。超高精度な加工技術を駆使し、ミクロン単位での誤差も許されない製品を世に送り出しており、その技術水準は世界の半導体メーカーから高く評価されている。
現在、5G、AI、IoTといった次世代技術の発展を背景に、半導体への需要は歴史的な拡大期を迎えている。こうした世界の潮流を追い風に、同社の事業は大きく成長。最先端の半導体製造ラインを支える上で欠かせない存在となり、日本の製造業全体の競争力を高める一翼を担っている。
絶えず進化する半導体技術の要求に応え、次世代のイノベーションを支え続けるその役割は、今後ますます重要性を増していく。
8 位 富士急行〈富士吉田市〉 営業収益 522億2,300万円〈2025/3 連結〉
名門ポイント:富士山麓という比類なき立地を最大限に活用し、交通、観光、不動産など多角的な事業を展開する総合サービス企業である。地域住民の生活を支える鉄道やバス事業を基盤としつつ、富士急ハイランドをはじめとするレジャー施設事業を中核に、国内外の観光客を惹きつけてきた。
特に、近年はインバウンド需要の回復と、富士山世界遺産登録後の観光客増加を追い風に、業績を大きく伸ばしている。絶叫マシンで知られる富士急ハイランドの革新的なアトラクション開発、そしてホテルや温泉、スキー場といった周辺施設との連携は、単なるテーマパークに留まらない一大リゾート圏を形成している。これは、観光客に多様な体験価値を提供し、滞在時間を延ばす戦略的なアプローチである。
また、富士山の環境保全に深く関わるサステナブルな観光を追求しており、自然と共生する企業としての姿勢を明確にしている。その事業は、交通とレジャーを統合することで、富士山を核とした広大な観光圏の魅力を高め、地域経済を牽引する重要な役割を担っている。
7 位 山梨中央銀行〈甲府市〉 経常収益 541億3,200万円〈2025/3〉
名門ポイント:山梨県の地域金融を支える中核銀行として、長年にわたり揺るぎない存在感を保っている。その経営姿勢は、単なる資金の貸し手にとどまらず、地域の課題解決に深く関わるパートナーとしての役割を重視している。
地場産業の育成、中小企業の事業承継、そして個人の資産形成に至るまで、多様な金融サービスを通じて地域社会の持続的な発展に貢献している。時代の変化に合わせ、デジタル技術を活用したサービスの拡充にも積極的に取り組んでおり、利便性の高い金融体験を提供している。これにより、伝統的な顧客基盤を維持しつつ、新たな顧客層の獲得にも成功している。
地域に根ざした強固なネットワークと、変化に対応する柔軟な経営戦略は、地方銀行の将来像を示す好例と言えるだろう。
6 位 キトー〈昭和町〉 売上 625億600万円〈2022/3 連結〉
名門ポイント:ホイスト・クレーンといった荷役機械の分野において、世界的なブランドとしての地位を確立してきた企業だ。工場や倉庫での重量物の上げ下ろしを担う製品群は、製造業や物流、建設など多岐にわたる産業に不可欠な存在である。
独自の技術開発力に裏打ちされた製品は、高い安全性と耐久性を誇り、過酷な使用環境にも耐えうる信頼性で世界の顧客から高く評価されている。上場企業として日本の製造業を牽引してきたが、現在は米国のコロンバス・マッキノン社との経営統合により、「Kito Crosby」という新たなグループの中核を担っている。組織体制は変わったが、登記上の本社と主要な生産拠点は今も山梨の地にあり、高度な技術力を武器にグローバルな産業界を支え続けている。
世界規模の再編を経た後も、その技術力とブランド力は揺るぎなく、これからも世界のサプライチェーンに貢献していくことが期待される。
5 位 オギノ〈甲府市〉 売上 768億円〈2025/2〉
名門ポイント:山梨県を中心に、長年にわたり地域に深く根ざしたスーパーマーケット事業を展開し、生活に不可欠な存在としての地位を確立している。食料品から衣料品、家庭用品までを幅広く取り扱うGMS(総合スーパー)と、生鮮食品に特化したSM(スーパーマーケット)を組み合わせた複合的な店舗展開にある。これにより、消費者の多様なニーズにワンストップで応える利便性を実現している。
特に、生鮮食品の品質管理と鮮度に対するこだわりは、地域住民から高い信頼を得ている。また、近年はデジタル化にも積極的に取り組み、顧客がより快適に買い物ができるよう、キャッシュレス決済の導入やスマートフォンアプリを通じた情報提供にも力を入れている。
老朽化した店舗の再編や、顧客動線を意識した新店舗の出店を進めることで、特定地域に集中して出店するドミナント戦略をさらに強化。これにより、変化する消費者のライフスタイルに合わせた快適な買い物体験を提供し続けると同時に、地域における圧倒的な競争力を維持している。
4 位 プレミアムウォーターホールディングス〈富士吉田市〉 売上 768億9,500万円〈2025/3 連結〉
名門ポイント:宅配水事業のリーディングカンパニーとして、日本全国の豊かな自然が生み出す天然水を、家庭やオフィスに届けるサービスを展開している。単に商品を販売するだけでなく、独自の定期宅配モデルを確立し、消費者の日常に深く根ざした安定的なビジネス基盤を構築したことが最大の強みだ。
徹底した品質管理体制を敷き、採水から出荷、そして顧客のもとに届くまでの全プロセスを自社で管理することで、製品の安全性と信頼性を確保している。また、利便性を追求した革新的な取り組みも特徴だ。使いやすさを考慮したウォーターサーバーのデザイン開発、スマートフォンアプリを活用した注文システム、そして効率的な配送ネットワークの構築など、顧客満足度を絶えず高める努力を続けている。
こうしたきめ細やかなサービスは、健康志向の高まりや共働き世帯の増加といった社会の変化を捉え、日々の暮らしに欠かせないインフラとしての地位を確立させた。その成長は、消費者の潜在的なニーズを掘り起こし、新しい市場を創造した成功例として、国内外から注目されている。
3 位 シャトレーゼ〈甲府市〉 売上 1,878億円〈2025/3 グループ〉
名門ポイント:「自然のおいしさ」をモットーに、洋菓子から和菓子、アイスクリームまでを多角的に展開する企業である。自社工場で厳格な管理のもと製造し、全国の直営店やフランチャイズ店へ工場から直接配送する独自の流通システムを構築。これにより、製品の鮮度を高く保ちながら、中間マージンを極力抑えることに成功している。
このビジネスモデルは、多くの消費者に高品質な菓子を手頃な価格で提供することを可能にし、老若男女を問わず幅広い層からの支持を獲得してきた。近年では、アレルギー対応商品や糖質カットの商品開発にも力を入れるなど、消費者の多様なニーズに応える姿勢も鮮明だ。
日本の豊かな自然と素材を活かした菓子づくりは、単なる商品提供に留まらず、多くの人々の暮らしに「おやつの時間」というささやかな幸せを届けている。
2 位 東京エレクトロンテクノロジーソリューションズ株式会社〈韮崎市〉 売上 4,248億9,400万円〈2025/3〉
名門ポイント:半導体製造装置業界において世界的な存在感を誇る東京エレクトロングループ。その中で、製品開発から製造までの中核を担う重要な拠点である。高度な技術を要する成膜・エッチング装置をはじめ、半導体の製造プロセスに不可欠な多様な装置を世に送り出しており、その高い生産力はグループ全体の競争力を支えている。
スマートフォンやデータセンター、AIなど、デジタル社会を支える基盤技術である半導体への投資は世界的に拡大を続けている。そうしたなか、最先端の回路をウェーハ上に描く技術や、精密な薄膜を形成する技術など、その高度な製造能力は世界の半導体メーカーから絶大な信頼を獲得している。
日本の高い技術力をもって世界の半導体産業の発展に貢献するその役割は、単に経済的な貢献にとどまらず、人類社会のデジタル化とスマート化という、明るい未来を創造する重要なエンジンとしての役割を担っている。
1 位 ファナック〈忍野村〉 売上 7,971億2,900万円〈2025/3 連結〉
名門ポイント:工作機械の頭脳となるNC(数値制御装置)と、生産ラインを支える産業用ロボットの分野で、世界をリードする存在である。単なる機械の提供にとどまらず、顧客の生産プロセス全体を自動化・効率化するソリューションとして、極めて高い評価と信頼を獲得している。
近年は、AI技術をロボットに統合する取り組みを加速させており、熟練技術者のノウハウをAIが学習することで、より複雑で高度な作業の自動化を実現している。また、製造現場の情報を一元管理するIoTプラットフォーム「FIELD system」の普及にも注力しており、次世代のスマートファクトリーの実現を強力に後押ししている。
この技術革新への絶え間ない姿勢こそが、揺るぎない国際競争力の源泉である。
総評
山梨の産業は、世界市場を相手取る精密機械・FAと、地場に根付いた食品・流通・観光が二極で支える構図が鮮明である。精密分野ではファナックや東京エレクトロン関連が突出し、半導体の前工程から後工程、材料までを県内で補完し合う体制が整う。
食品・飲料ではシャトレーゼやはくばく、プレミアムウォーターが全国市場に販路を広げ、地域スーパーのオギノやいちやまマートが生活インフラを下支えする。観光面では富士急行を軸にインバウンド回復が追い風となり、地域金融は金利上昇局面を収益拡大につなげつつある。
総じて、「自動化・半導体」「水・健康食品」「観光・地域流通」の三本柱が山梨経済を牽引する姿が浮かび上がる。
これら分野はいずれもグローバル需要や社会課題と直結しており、今後の成長余地は大きい。産業集積と地域消費が連動する形で、山梨は持続的な経済発展を続けるだろう。