
東京都内の郵便局。窓口の前に「米国向け小包の一部は取り扱い停止」という貼り紙が掲示され、利用者が立ち止まって見入っていた。
日本郵便は8月25日、米国向け郵便物の一部について27日から引き受けを停止すると発表した。背景には、米国政府が8月29日から免税措置を廃止し、800ドル以下の郵便物にも課税する大統領令がある。
停止の対象と継続される郵便
今回、引き受けが停止されるのは「個人間で100ドルを超える贈答品」と「販売目的の商品」だ。
一方で「書状やはがき」「100ドル以下の贈答品」は引き続き取り扱いが可能とされる。
郵便局の窓口では「アメリカに住む家族へ荷物を送りたいのにどうすれば…」と困惑の声も上がっている。
米国の関税政策が背景
トランプ政権は7月30日、大統領令を公表。これにより、従来は免税対象だった800ドル以下の郵便物も課税される見通しとなった。
日本郵便は「課税の具体的な手続きが不透明で運用が困難なため、一時的に引き受けを停止する」と説明している。
国際物流全体への影響
日本郵便の判断は、国際物流の広がりにも直結する。すでに欧州の一部郵便事業者も同様の措置を発表しており、FedExやDHLといった国際宅配便も対応を迫られる可能性がある。
物流関係者は「米国税関が新たな課税申告の仕組みを示すまで、世界的に混乱が続くだろう」と語る。
利用者への影響と今後の見通し
今回の措置は「国際郵便ネットワークにおける暫定対応」とみられるが、留学生や海外在住の家族を持つ人にとっては打撃が大きい。
利用者からは「急ぎの荷物をどうすればいいのか」「国際宅配便の料金は高すぎる」と不満の声も広がっている。
再開の時期は未定で、日本郵便は「米国当局との調整を見守りながら対応を検討する」としている。