
人気ダンス&ボーカルグループ「三代目 J SOUL BROTHERS」のボーカルを務める今市隆二氏(38)が、タクシー運転手に対し暴行と脅迫の疑いで警視庁に書類送検されていたことが明らかになった。事件は2025年4月、都内で発生した。
三代目JSB・今市隆二、タクシー暴行容疑で書類送検 泥酔状態で「殺すぞ」と脅迫か
警視庁の捜査によれば、今市氏は都内の飲食店での飲酒後、知人男性とともにタクシーに乗車。帰宅のためのわずか10分程度の道中で、運転席と後部座席の間のアクリル板を叩き、「殺すぞ」などと運転手を脅したうえ、運転手の腕を引っ張るなどの暴行を加えた疑いがある。今市氏は当時、酒に酔っていたとみられており、一部の言動の記憶が曖昧だとされる。
被害を受けた運転手は精神的ショックを受け、警察に被害を申告。警視庁は事実関係を慎重に捜査した上で、暴行および脅迫の容疑で書類送検した。今後は東京地検が刑事処分について判断を下すとみられる。
今市隆二とは
今市氏は2010年、「VOCAL BATTLE AUDITION 2」で選出され、「三代目 J SOUL BROTHERS」に正式加入。グループは2012年にNHK紅白歌合戦に初出場し、2014年には代表曲『R.Y.U.S.E.I.』で「第56回日本レコード大賞」の大賞を受賞。今市氏はその中心的ボーカルとして高い人気を博し、2018年からはソロ活動も展開している。
ファンの間では、今市氏の「努力家」「誠実」といった評価が根強い。デビュー当初から「歌の力で人の背中を押したい」と語っており、ソロ活動でもメッセージ性の強い楽曲を多くリリースしてきた。実際、ラジオ番組やライブMCでは「自分の未熟さも含めて、人間らしく在りたい」といった率直な言葉が印象的だったと語るファンも多い。
しかし、今回の不祥事により、本人だけでなくグループや所属事務所LDH JAPANへの影響は避けられない見通しだ。現時点で事務所からの公式な声明は出ていないが、関係者の間では「イメージダウンは避けられない」との声が広がっている。
繰り返される“酒席トラブル”の構造的問題
今回の事件は、単に一人の芸能人による過ちとして片付けるにはあまりに類型的だ。過去にも元KAT-TUNの田中聖氏による暴行騒動や、TOKIOの元メンバー山口達也氏による飲酒運転事件など、「酒」と「表舞台のストレス」を背景としたトラブルは繰り返されている。
背景にあるのは、成功と注目を背負いながらも、私生活の緊張感を維持し続けねばならないタレントたちの精神的負荷だ。そこにアルコールが加わったとき、「見られる存在」であることのリミッターが外れてしまう。
今市氏はこれまで、ストイックな一面を見せてきたアーティストだが、その裏には長年積み重ねたプレッシャーと、「完璧であらねば」という意識が潜んでいた可能性もある。
LDH JAPANの対応と、組織ガバナンスの透明性
所属するLDH JAPANは、アーティストに対する「家族的マネジメント」を掲げ、ファンとの信頼関係を重視してきたことで知られる。だが、過去にも関係者の不祥事対応をめぐり「処分基準が不透明」との指摘を受けたことがある。
例えば過去に契約違反で退所したメンバーがいた一方で、同様の行為をしても謝罪だけで済んだケースも存在するとされ、「LDHは看板メンバーには甘いのではないか」という不信感を抱く一部ファンの声もある。
今回の今市氏の事案に対して、事務所がどのような説明責任と再発防止策を講じるかは、グループ全体の今後を左右する分岐点になるだろう。単なる謝罪や沈静化ではなく、ガバナンスの在り方そのものが試されている。
ファンの「信じたい気持ち」と社会の視線のはざまで
SNS上では、「今市くんがそんなことをするはずない」「信じて待つ」といった擁護の声がある一方、「被害者の恐怖を考えるべき」と冷静な反応も広がっている。
アイドルやアーティストに清廉さを求める日本社会では、ひとたびスキャンダルが発覚すると、才能や実績すら無化される厳しさがある。だが今市氏にとって本当の試練は、ここからどのように謝罪し、どのように信頼を取り戻すかという「人としての姿勢」にあるだろう。