愛知県警がグループの実態を捜査

愛知県警は6月24日、女子児童の下着を盗撮し、画像や動画をSNS上のグループチャットで共有していたとして、名古屋市立小学校の教員・森山勇二容疑者(42)と、横浜市立小学校の教員・小瀬村史也容疑者(37)を、性的姿態撮影処罰法違反の疑いで逮捕したと発表した。両容疑者はいずれも容疑を認めているという。
県警によると、森山容疑者は2023年9月ごろ、愛知県内の施設で女子児童を盗撮。小瀬村容疑者も2024年1月ごろ、神奈川県内の施設で同様の行為に及んだとされる。2人は、盗撮した画像や動画をSNSのグループチャット上で共有していたとみられ、チャット内には他にも複数の小中学校教員が参加していた疑いがある。
小学校児童の盗撮を共有するド変態サークルの実態とは
警察はこのグループについて、「盗撮を目的とする教員間のネットワークの可能性がある」として捜査を進めている。確認された画像・動画は約70点に及び、着替え中の様子やスカート内を撮影したものも含まれていた。森山容疑者がグループの管理者を務めていたとされる。
事件の発端は、2025年3月に名古屋市内の駅で、少女のリュックサックに体液をかけたとして器物損壊容疑で逮捕された別の教員の捜査だった。この教員のスマートフォンから、今回問題となっている画像とグループの存在が明らかになった。
盗撮を正当化する“つながり” SNS上に広がる加害者コミュニティの実態とは
女子児童や生徒への盗撮、児童ポルノ画像の共有といった悪質な行為が、個人の孤立的な犯行ではなく、SNS上に存在する“加害者同士のネットワーク”を通じて組織的に繰り返されていることは過去にもNHKなど色々なメディアを通じて報道されている。
SNSには児童への性的搾取に関与すると疑われるアカウントが数多い。子どもへの性的関心をほのめかすプロフィールを持つアカウントが無数に存在し、「JS(女子小学生)」「鳥(盗撮)」「オリ(オリジナル画像)」といった隠語を使って違法画像がやり取りされていることが伝わっている。
今回の事案とは異なるが、過去の報道によれば、こうしたアカウントの一部は、より秘匿性の高い別のSNSや招待制コミュニティへと誘導を図り、そこでは大量の盗撮画像・児童ポルノが共有されていた。画像は学年別、撮影場所別(学校、更衣室、駅、商業施設など)に分類され、被写体の個人情報が添えられているケースも確認されているとのこと。
過去の潜入調査で取り上げられたのは「kingkazoo(キングカズー)」と名乗る主催者によるコミュニティ。同人物は女子高校生の通学を執拗に追い、200回以上の盗撮を繰り返し、その画像とともにSNS情報や時間割などを共有。参加者は1,500人以上にのぼり、画像が上がるたびに称賛の声が舞うのだという。
おそらく同等のことが森山を主体とした変態教員コミュニティでも起きていたと思われる。
教育現場に衝撃
森山容疑者は、令和2年時点で名古屋市内の大宝小学校で学年主任を務めていたとの情報が確認できている。児童と日常的に接する立場にある教員による今回の事件は、教育現場に大きな衝撃を与えている。
愛知県教育委員会は「事実関係を確認中だが、極めて遺憾。再発防止策を含め、厳正に対応する」とコメントしている。
教育現場では、教員による児童生徒への不適切な行為が発覚するたびに、採用時の適性評価のあり方や、日常的な行動管理、通報制度の強化が課題として指摘されている。文部科学省も近年、全国の教育委員会に対し、服務規律の徹底とハラスメント防止研修の実施を求めてきた。
県警は今後、グループに参加していた他の教員の関与の有無や画像の流出状況についても調査していく模様だ。
教員による不祥事の連鎖をどう断ち切るか
このように小学校教員による児童への盗撮事件が相次いで明るみに出ている。近年、児童・生徒に対する不適切な行為を理由に懲戒処分を受ける教職員の数は高止まりしており、教員の信頼が根幹から揺らいでいる。
当然ながら、どのような事情があろうと、子どもたちの尊厳を踏みにじる行為は決して許されるものではない。しかし、今回の事件を「異常な個人の逸脱」と片付けるだけでは、再発防止にはつながらない。問題は教員の採用・管理・教育の仕組みに潜む制度的な盲点にあり、背景を読み解かねばならない。
小学校現場に潜む構造的課題とは?
まず、教員という職業の激務が改めて問われる。文部科学省の調査によれば、小学校教員の1週間あたりの平均労働時間は57時間を超え、過労死ラインとされる水準に達する教員も少なくない。授業準備や行事対応に加え、保護者対応や学級経営、教育委員会への報告事務などがのしかかり、精神的・肉体的な疲弊が慢性化している。
このような環境下では、教職に求められる倫理観や注意力が摩耗し、極端なケースでは、職業倫理の逸脱行為を「発散」として正当化しようとする危険な思考に至る者が出る可能性すらある。もちろん、それはあくまで極めて例外的な事態ではあるが、一定の環境要因が教員個人の資質と結びつくことで、深刻な事件へと発展するリスクは否定できない。
また、教員の採用時点における適性評価や人物観察が形骸化していないかも問い直す必要がある。教員免許は大学での所定の単位取得により取得できるが、人物的成熟度や共感力といった資質が、実務においてはより重要となる。とりわけ、小学校教員は幼児期から学齢期にかけての成長過程に密接に関わる職務であり、極めて高い倫理性と共感力が不可欠だ。
このような禁忌を犯す集団がどのように醸成されていったのだろうか。全容解明が待たれるが、そもそも小学校教員になろうとしている者のなかに最初からロリコン趣味のゴミクズが紛れ込んでしまうことをどうすれば避けられるのか。
採用時の適性検査の強化を
日本でも採用時の適性検査の強化や、定期的な心理的ケア・モニタリング制度の整備も検討すべきである。たとえば英国では、教職員に対する背景調査(DBSチェック)が厳格に運用されており、再就職時にも一定の確認が求められる。日本においても、過去の懲戒歴や刑事罰の情報が他自治体で共有されず、同業他県への再就職が可能になってしまう「抜け穴」が課題視されている。
さらに、校内での情報共有や相談体制のあり方も見直しが必要だ。多忙な職場においては、同僚同士の行動に対するチェックが甘くなりやすく、不適切な傾向を見過ごす構造がある。特定の教員の行動に対して違和感を覚えても、同調圧力や「内輪の論理」により声を上げにくい環境が、問題の早期発見を妨げている。
とにかく、このような性加害犯罪を犯した者は有無を言わさず去勢することを強制化することを日本も取り入れるべきだ。本人も再犯しなくなるだろうし、精神的に楽だろう。
まっとうな職員へのしわ寄せをどう防ぐか
信頼を前提に成り立つ教職において、不祥事が起きるたびに教育全体への不信感が広がる。その矢面に立たされるのは、大多数の真摯に職務を全うしている教員たちである。彼らの誇りと責任が、制度の不備によって損なわれることのないよう、学校という組織そのものが健全で透明性のある構造へと変わっていかなければならない。
教育現場の改善とは、単なる処遇改善にとどまらず、子どもの権利と安全を守るための社会的セーフティネットの再構築でもある。今問われているのは、「なぜ起きたか」ではなく、「もう二度と起こさないために何を整えるか」という、未来に向けた制度設計である。