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山口県名門企業・有名企業一覧 売上ランキング〈2025年版解説〉

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山口県名門企業・有名企業一覧 売上ランキング〈2025年版解説〉
DALL-Eで作成

瀬戸内工業地帯の西端に位置する山口県は、化学コンビナートを基盤に世界的アパレルや再エネ機器、地域金融、物流まで多層的な産業が集積する。本稿は決算短信・有価証券報告書など一次資料のみを突合し、本社・本店が県内にある企業については**連結売上高(銀行は連結経常収益)**を採用して最新ランキングを整理した。化学4社が上位を固める一方、ファーストリテイリングが3兆円超で突出し、流通・金融・食品の中堅層が厚みを増す構造が浮かび上がる。カーボンニュートラル対応とDX投資が共通テーマとなり、県内企業はサプライチェーン高度化と人材確保で競争力を磨く局面に入った。

 

20 位 旭酒造〈岩国市〉 売上 195億5,000万円〈2024/9〉

名門ポイント:2024年9月期連結売上高は195億5,000万円で、このうち海外売上が87億円に達し、財務省貿易統計に基づく業界全体の日本酒輸出額416億円の約2割を同社が占めたと報じられている。2023年9月にはニューヨーク州ハイドパークで酒蔵「Dassai Blue」が稼働し、現地の水と山田錦を使った純米大吟醸を醸造することで北米に“地産地消”モデルを構築している。こうした海外展開を加速するため、同社は2025年6月1日付で社名を「株式会社 獺祭(英語名 DASSAI Inc.)」へ変更すると発表し、将来的には売上高1,000億円(国内300億・海外700億)体制を目指す方針を示した。

19 位 丸一ステンレス鋼管〈下関市〉 売上 278 億円〈2024/3〉

名門ポイント: 2024年3月期の連結売上高は278億円である。主力製品は半導体や水素関連配管に用いる高純度BA継目無ステンレス鋼管で、月産能力を従来の15万本から25万本へ増強中だ(2022年8月8日付リリース)。需要が急伸する北米市場には、テキサス州に設立した子会社MST-X(2024年4月稼働)が応え、現地半導体工場向け供給を担う。さらに下関本社敷地内に5,000トン熱間押出プレスなどを備える新工場(投資額約260億円、2027年以降稼働予定)を建設し、脱炭素インフラ向けを含めたシームレス管の供給体制を強化する方針だ(2024年8月7日付丸一鋼管発表)。会社サイトは耐食・耐熱用途に対応した配管、熱交換器、精密細管など多用途への供給実績を強調しており、国内有力メーカーとしての存在感を示している。

18 位 トヨタカローラ山口〈周南市〉 売上 290 億円〈2024/3〉

 

名門ポイント: 1965年設立のトヨタ系ディーラーで、周南市の本社を拠点に県内13市1町で新車21店・中古車8店など計33拠点を運営し、きめ細かなサービス網を展開する。2024年3月期の連結売上高は290億円、従業員数は549人、資本金5,000万円と公表されており、県内販社としては最大規模だ。トヨタ全車種のワンチャネル販売に加え、フォルクスワーゲン併売店やGRガレージを備えて輸入車・スポーツモデル需要も取り込み、顧客層を広げている。さらにオンライン来店予約システムを導入し、申し込み後にスタッフが日程を確定する非接触型接客を整備するなど、DX対応で顧客体験の向上を図る。最新テクノセンターでは車検・板金・EV整備にも対応し、地域モビリティの安全と技術人材育成を支える。

17 位 山口トヨペット〈山口市〉 売上 308億4,000万円〈2025/3〉

名門ポイント:2025年3月期に売上高308億4,000万円、従業員約453名を計上し、県内屈指の自動車ディーラーとして存在感を示す。トヨタ全車種に加え、レクサス周南とプジョー山口を運営しており、高級車・輸入車まで幅広い品ぞろえを一社で提供する体制を整えた。また、県内18店舗すべてにPHV・EV対応のG-Station充電スタンドを設置し、e-Connect/G-BOOK経由で最寄り設備の空き状況を確認できる仕組みを導入するなど、電動化対応も進む。サービス部門では年次別技術研修やメーカー研修を通じてハイブリッド・EV整備士を計画的に育成し、技術力を底上げしている。さらに、公式LINEやオンライン入庫予約フォームを活用して車検・点検の早期予約を促し、アフターサービス収益の向上を図る取り組みも加速中だ。

16 位 西京銀行〈周南市〉 経常収益 386億9,600万円〈2025/3 連結〉

名門ポイント:2025年3月期連結経常収益は386億9,600万円で5期連続増収となり、経常利益・純利益も過去最高を更新した。金利が上昇する中、地元企業への貸し出しや住宅ローンなど個人向けの貸し出しも好調で利息収入が増えたことが要因にある。融資手続きでは2024年12月、クラウド型プラットフォーム「nCino」を導入し、住宅ローンの申し込みから契約までを完全オンライン化。書類授受がウェブで完結したことで処理日数を大幅に短縮し、行員のDXスキル向上と開発コスト削減も達成したと発表した。さらに、気候変動対応関連投融資残高は2024年3月末時点で975億円に達し、地域脱炭素プロジェクトへの資金供給を拡大している。

14 位 長府工産〈下関市〉 売上 394億3,500万円〈2024/3 連結〉

 

名門ポイント:住宅設備機器メーカー兼商社で、2024年3月期の連結売上高は394億3,500万円である。同社サイトの会社概要によるものだ。主力の石油・ガス給湯機を中心に全国へ供給しており、グループ会社・長府製作所サイトでは石油給湯器が国内トップシェア級に成長したと説明している。また、自社の「新製品開発へのチャレンジ」ページによれば、水素を燃料とするCO₂ゼロの給湯ボイラーを開発し、北海道室蘭市の環境省実証事業に採用された。山口県の技術開発補助金にも「水素ボイラ用バーナーの高出力化・コスト削減」で採択されており、脱炭素インフラ向け熱源機の実用化に向けた研究開発を加速している。

13 位 山口合同ガス〈下関市〉 売上 415億7,500万円〈2024/12 連結〉

名門ポイント: 2014年に宇部市域を統合して以降、同社は山口県で唯一の都市ガス事業者となり、下関から周南まで約17万世帯にガスを供給している。2022年には自社全製造所へ水力由来のCO₂フリー電力を導入し、年間約1,400トンの排出削減を見込むと同社リリースで公表した。さらに環境省が2024年に選定した「脱炭素先行地域」プロジェクトに参画し、eメタン(合成メタン)供給など地域メタネーションの実装を検討中である。分散型エネルギーではガスコージェネやエネファームの普及を進め、地域脱炭素を牽引する構えだ。

13 位 宇部マテリアルズ〈宇部市〉 売上 444億6,400万円〈2024/3〉

名門ポイント:海水から抽出した酸化マグネシウムを一貫生産し、耐火材・環境資材を50 か国超に供給する世界的サプライヤーである。2024年3月期の連結売上高は444億6,400万円と3期連続で増収を維持した。同社はNEDO委託事業「廃コンクリート等を用いた加速炭酸塩化プロセス」の研究主体の一社として、排ガス由来CO₂を炭酸マグネシウムとして固定し建材化するカーボンリサイクル技術の実証に参画している。さらに宇部市のスマートシティ構想では、5G実証拠点「うべ産業共創イノベーションセンター志」に参画し、IoTによる設備監視や自動搬送を導入することで製造ラインの省人化モデルを構築中だ。

12 位 林兼産業〈下関市〉 売上 492億6,700万円〈2025/3 連結〉

 

名門ポイント:2025年3月期連結売上高は492億6,700万円(前年比4.0%増)で、2022年3月期以降4期続けて増収となった。伸びを牽引したのは飼料事業で、同社決算補足資料によれば養魚用配合飼料の販売数量が増え、売上高268億円・営業利益77%増を記録した。一方、環境面では「Challenge 2026」で2020年度比CO₂50%削減(2030年度)を掲げ、2024年1月に長府飼料工場で自家消費型太陽光発電を稼働させるなど再エネ導入を進める。持続可能な養殖向け飼料と温室効果ガス削減の両立を図り、食品・飼料複合企業として収益基盤とESGを同時に強化する方針だ。

11 位 松岡〈下関市〉 売上 617 億円〈2024/1〉

名門ポイント:水産物流と冷蔵保管を柱とする独立系ロジスティクス企業で、2025年1月期の売上高は617億円を計上した。全国11センターの営業冷蔵倉庫容量は36万2,717トンで業界7位に位置し、国内有数の保管規模を誇る。最大拠点の福岡 Central DC(収容能力5万4,492トン)はアンモニア・CO₂を用いた自然冷媒システムと52基を備え、BCP用750 kVA自家発電機も配する。センターではクラウド型WMSで車両誘導や庫内オペレーションを集中管理し、入出庫リードタイムの短縮とピッキング効率向上を実現しており、環境対応とDXを両立させた先進倉庫モデルとして存在感を高めている。また、都城物流センターでも自然冷媒エアーブラスト凍結装置を採用するなど、低炭素化投資を継続している。

10 位 長州産業〈山陽小野田市〉 売上 699 億円〈2024/3 連結〉

名門ポイント:太陽光パネルからパワコン・蓄電池までを国内自社工場で一貫生産する再エネ機器メーカーで、2024年3月期の連結売上高は約699億円と3年連続の増収を維持した。主力の単結晶 PERC セル採用モジュールは山口県内本社工場で生産され、高出力化のため9本バスバーのハーフカット構造を導入している。同社は資料の中で、全拠点使用電力の再エネ100%化を目指す「RE100/RE Action」方針を明記し、低炭素サプライヤーとしての姿勢を打ち出す。さらに、次世代のN型 TOPCon セルを用いた高効率モジュールの量産準備を進めると専門メディアが報じており、高効率化と脱炭素の両立を図る戦略が鮮明だ。

9 位 日本セレモニー〈下関市〉 売上 796 億円〈2025/1 連結〉

 

名門ポイント:冠婚葬祭大手「愛グループ」の中核企業で、2025年1月期連結売上高は796億円、従業員4,586人を擁する。全国90超の支店網に加え、斎場200超、結婚式場30カ所を展開し、互助会「ミライエール」の未施行会員口数は約84.8万口、前受金残高1,372億円と業界屈指の規模を誇る。結婚から葬儀までをワンストップで支えるサービス網を武器に、山口県発の地域密着モデルを東北から九州まで拡大している。さらにホテル、レストラン、介護ケアなど周辺事業も取り込み、人生の節目を総合的に支援する体制を整備している。創立1972年から半世紀を超えた2022年にはグループ50周年を迎え、事業基盤の強化と地域社会への貢献を掲げる。

8 位 カシワバラ・コーポレーション〈岩国市〉 売上 1,106 億円〈2025/1 連結〉

名門ポイント:1949年創業。マンション大規模修繕やプラントメンテナンスを主業とし、グループ20社体制で建物の長寿命化ソリューションを提供する。公式サイトによれば、2023年度(2024年1月期)の連結売上高は1,106億円、従業員数は1,991人。売上最大セグメントはマンション修繕事業で284億円(構成比約26%)を占め、インフラ補修、建築、リフォームなど多角化を進める。仮設資材の再利用や水系塗料の採用拡大で環境負荷低減を推進し、カーボンニュートラル方針では2025年度までに自社拠点CO₂排出量を2013年度比30%削減する目標を掲げる。海外は東南アジア3拠点でプラント塗装事業を展開し、改修市場の脱炭素ニーズに対応する体制を強化している。

7 位 セントラル硝子〈宇部創業/東京本店〉 売上 1,442 億円〈2025/3 連結〉

名門ポイント:2025年3月期連結売上高1,442億3,300万円を計上したとガラス業界紙『ガラスニュース』(6月2日付)が報じている。宇部工場では3ナノ世代を含む半導体露光・エッチング工程向け高純度フッ素系ガスを量産し、今年1月の自社リリースは極低温エッチング対応HFガスの上市を伝えた。さらに低放射Low-E複層ガラス「エコガラスS」を供給し、真空断熱構造で窓のU値1.5以下を実現してZEHの強化外皮基準に適合。国の子育てエコホーム支援事業の補助対象にもなるなど採用が拡大している。加えて韓国化学大手との合弁で2025年3月に半導体用特殊ガス工場を設立する計画を公表し、海外供給網の強化にも踏み出した。

6 位 山口フィナンシャルグループ〈下関市〉 経常収益 2,134 億円〈2025/3 連結〉

 

名門ポイント:2025年3月期連結経常収益は2,134億3,500万円(前期比15.5%増)で、経常利益524億円、純利益353億円と過去最高益を更新した。傘下の山口・もみじ・北九州の3銀行による広域体制が寄与し、貸出金利息や有価証券利息配当金が伸長した結果である。グループは住宅ローンや法人融資を含む業務をクラウド型統合プラットフォーム「nCino」でデジタル化し、2024年12月から3行同時運用を開始。これにより書類授受のオンライン完結が可能となり、審査から契約までの手続き時間を大幅に短縮したと説明している。さらに、3行の顧客データをAzure上で一元管理する統合DBを構築し、AI分析による営業高度化を図るなどDX施策を加速中だ。

5 位 リテールパートナーズ〈防府市〉 売上 2,667 億円〈2025/2 連結〉

 

名門ポイント:丸久・マルミヤストア・マルキョウなど計276店舗(2024年8月末現在)を束ねる西日本の食品スーパー連合である。2025年2月期の連結営業収益は2,667億4,100万円と前期比5.8%増で過去最高を更新した。食品ロス対策では賞味期限「3分の1ルール」を見直し、入荷期限を半減させる「2分の1ルール」を順次導入して廃棄削減を進めている。環境面では新店・改装店で太陽光パネルを設置し、冷凍・冷蔵設備の更新と合わせてCO₂排出を抑制する脱炭素投資を継続中だ。
さらに2025年4月にはアマゾンと提携し「マルキョウネットスーパー」を開始、ECとリアル店舗の相乗効果で商圏拡大とサービス向上を図る構えである。

4 位 トクヤマ〈周南市〉 売上 3,419 億円〈2024/3 連結〉

 

名門ポイント:セメント(売上671億円)と電子先端材料が利益を支える二本柱となる。半導体用多結晶シリコンは徳山製造所とマレーシア拠点で生産しており、世界シェアは約20%とされるなど業界トップクラスの地位を維持する。環境分野では三菱ガス化学と共同で、製造所由来のCO₂と副生水素を原料にメタノールを製造する国内初のCCU商業化プロジェクトを2022年から徳山製造所で実証中だ。脱炭素を軸にセメントキルンの燃料転換やシリコン製造工程の再エネ化も進めており、中期経営計画2025では営業利益率8%への回復を掲げている。

3 位 UBE〈宇部市〉 売上 4,868 億円〈2025/3 連結〉

 

名門ポイント:2024年3月期連結売上高4,868億円を計上。ナイロン原料カプロラクタムから樹脂コンパウンドまで一貫供給し、スペイン増設で能力を+4万トンとしたほか、堺工場のリチウムイオン電池セパレーターは年産2.5億㎡体制へ拡張して車載需要を先取りする。半導体向けでは宇部で高純度硝酸・三塩化ホウ素を増産し、3ナノ世代対応のエッチングガス供給網を強化。機械事業では業界最小機長の二プラテン式大型射出成形機 emⅢ シリーズを拡販し、2023年に型締力2,000トン機を上市した。宇部地区ではセメント排ガスを利用したメタネーションなどCCUS実証を進め、2030年までにGHG半減を掲げる。化学と機械の双発でEV・半導体・脱炭素市場を射程に成長を図る。

2 位 東ソー〈周南市〉 売上 1兆634 億円〈2025/3 連結〉

 

名門ポイント:周南市に登記本店を置く総合化学メーカーで、2025年3月期の連結売上高は1兆634億円となり、3期ぶりに増収増益を達成した。主力の苛性ソーダや塩ビ樹脂に加え、高純度フッ化水素や分離精製剤など半導体関連の機能商品が伸長し、石油化学の市況軟化を補う形で売上を押し上げた。環境面では、2030年度までにグループのGHG排出量を2018年度比30%削減する方針を掲げ、南陽事業所でバイオマス混焼発電や燃料アンモニアの共同実証を進行中である。

1 位 ファーストリテイリング〈山口市〉 売上 3兆1,038 億円〈2024/8 連結〉

 

名門ポイント:2024年8月期に連結売上収益3兆1,038億円(前年比12.2%増)、営業利益5,009億円(同31.4%増)を計上し、いずれも初の大台を突破した。ユニクロとGUが世界約4,000店で既存店増収を維持し、EC売上も伸長したことが寄与する。同社は有明本部を核に、生成AIによる需要予測と自動倉庫を連動させたSCM改革「有明プロジェクト」を推進し、SKU別に必要量だけを即時投入する仕組みで物流リードタイムを短縮したと説明する。また再生ポリエステル使用比率50%へ引き上げ、79か国で衣料回収を行うなど循環型ビジネスを拡大。デジタル化とESG施策の同時進行が、粗利益率改善と欠品率低減を支え、日本企業初の「売上3兆円・営業利益5千億円」達成に結実した。

総評

 

山口県経済は、化学コンビナートと世界的アパレルという異質な成長エンジンが共振し、連結売上3兆円超のファーストリテイリングが需要創造の旗を振る一方、東ソー・UBE・トクヤマが半導体材料と脱炭素技術で供給側を刷新する構図へと進化した。物流・小売を束ねるリテールパートナーズや金融の山口FGはDXで収益源を多角化し、中堅メーカーは地産エネルギーと循環資材を武器に競争優位を築きつつある。共通テーマは①廃棄物・CO₂削減を前提とした設備転換、②生成AIやクラウド基盤による業務効率化、③地域人材の循環的育成――の三点だ。人口減が避けられない中で、県内企業が域外需要を取り込みながらサプライチェーン全体の高付加価値化を進められるかが、次の成長曲線を決める分水嶺となる。

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ライター:

金融機関と不動産会社での勤務経験を経て2014年より金融関係や不動産関係を中心としたフリーライターとして活動。金融関係をはじめ不動産やビジネスのジャンルを中心に執筆しています。

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