
通信販売会社「夢グループ」(東京都)が新型コロナウイルス流行初期の2020年3月から4月にかけて、新聞広告で不当な表示をしてマスクを販売したとして、消費者庁は21日、景品表示法(有利誤認表示)違反で6,589万円の課徴金納付命令を出した。
消費者庁によると、夢グループは新聞広告で「立体マスク30枚セット3,600円」「本日の広告の有効期限5日間」と表示し、あたかも追加の送料などがなく、この価格が期間限定の特別価格であるかのように消費者を誤認させたとしている。
夢グループは今回の命令に対して「消費者庁の認定には納得いかない点があり、不服申し立てを検討している」と共同通信の取材に回答した。
SNS上で広がる夢グループへの批判
夢グループの商品や販売手法を巡っては、SNS上でも多数の批判が上がっている。
あるユーザーは「ホンワカした雰囲気でやっているが、中身は決してホンワカではなく、4万円超えの商品を期間限定で『今なら1万円』と販売する手法には疑問を感じる」と指摘。「自社の商品に幾らの定価をつけるかは自由だが、それを信じて買う人がいるのが不思議」と疑問視した。
また、別のユーザーは「夢グループが販売している商品は型落ち商品が多く、価格も性能や耐久性に見合っていない」と厳しく批評。「ポータブルDVDや高圧洗浄機、トレーニング器具など、よく調べないで購入する高齢者は買ってしまうのだろう」と注意喚起している。
さらに、実際に購入したというユーザーは「コロナ禍に親が広告を見てマスクを注文したが、届いた製品は粗悪で驚いた。当時は品薄だったが、それを加味しても酷かった」と体験を語り、「『さんまのバラエティ番組』でも失敗した通販商品が笑いのネタにされていたが、物を売ることをもっと真剣に考えてほしい」と訴えている。
なぜ夢グループの商品が批判を浴びるのか?心理的要因を徹底分析
消費者心理に詳しい専門家は「夢グループが用いる『期間限定』『今だけ』といった販売方法は、購買意欲を煽る一方、購入後に品質や性能への不満が大きくなりやすい」と指摘する。購入前の期待値が上がりすぎることで、実際の製品が期待を下回った場合の落差がより大きくなるという。
行政処分だけで終わらない!夢グループの今後の課題
消費者問題に取り組む弁護士は「今回の課徴金だけでは、根本的な改善には至らないだろう。消費者庁が継続的に監視を行い、消費者への説明責任を徹底させる仕組みが必要」と指摘。また、消費者側も広告表示だけでなく口コミやレビューなどを通じた情報収集を強化する必要があると強調している。
他社比較で見える夢グループの課題
競合他社との比較では、同じ商品カテゴリーでも品質や保証制度に大きな差があることが明らかとなった。ある家電量販店では、同価格帯で性能の良い最新モデルを取り扱い、充実したアフターサービスを提供している。これに対し、夢グループは販売価格を安く見せる戦略に偏り、アフターケアが不十分との指摘が多く、消費者からの信頼を失いつつある。
消費者庁の今回の課徴金命令は、こうした消費者の声に対する行政の厳しい姿勢を改めて示すものとなった。