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竹中平蔵氏、大阪・関西万博の大屋根リング利権疑惑に反論「デマだ」と主張

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竹中平蔵
竹中平蔵氏 (アンバー・アセット・マネジメントの2月のセミナー告知のPRTIMESより)

大阪・関西万博の巨大木造リングをめぐる利権疑惑が注目を集める中、竹中平蔵氏が「デマ」として強く反論している。竹中氏は、自身が万博関連事業に関与しているとの噂について、YouTubeで明確に否定し、日本人の倫理観の低下を危惧する考えを示した。

 

「万博のリングで大もうけ」疑惑に竹中氏が反論

3月8日、竹中氏は自身のYouTubeチャンネルで、「万博のリングで大もうけしている」との噂に言及。「根も葉もない話が拡散されている」と述べ、虚偽情報の流布に対し強い懸念を表明した。また、「こうしたデマの拡散は、日本人の倫理観の低下を示しているのではないか」と指摘し、無責任な情報拡散に苦言を呈した。

竹中氏の主張については、ぜひ動画を確認していただきたい。彼はこの中で、維新の会が推進する高校無償化政策についても批判を展開しており、「財源の問題を考慮せずに政策を進めるのは無責任だ」と指摘している。

 

フィンランド産木材の使用と「兄の関与」疑惑

この疑惑の発端となったのは、大阪・関西万博の巨大木造リングにフィンランド産木材が使用されていることが判明したことだった。さらに、ミサワホームの取締役前会長が竹中氏の兄であることが指摘され、「利益供与ではないか」との批判が広がった。

SNSでは「フィンランドからの木材調達を担当したのが竹中平蔵の兄が会長を務めるミサワホーム。これで全てが見事につながった」という投稿が拡散され、疑惑が一気に広まった。

また、竹中氏が維新の会のガバナンス委員会に起用されていることも、疑念を強める要因となっている。維新の会は万博誘致を推進した主要勢力であり、「万博を通じて竹中氏に利益が還元されているのでは」との憶測が生まれている。

 

竹中氏の反論「私は万博事業に関与していない」

こうした疑惑に対し、竹中氏は「私は万博事業に直接関与していない。陰謀論的な批判が拡散されることを憂慮している」と強調した。ミサワホームと自身の関係について直接動画では述べなかったが、兄が企業に関与しているからといって、自分の利益につながるわけではないと暗に主張したいというころだろう。とにかく、明確に関与を否定した。

過去の政策と最新の批判

竹中氏は、かつて小泉政権下で労働政策の改革を推進し、派遣労働の拡大に注目した人物として知られる。そのため、一部の批判者からは「非正規労働の拡大を推進した張本人」として厳しい意見が寄せられている。SNS上でも「弱者を捨てた人物に倫理観を語る資格はあるのか」といった声が上がっている。

まぁ、とかく功罪のある人である。2002年に発表した「金融再生プログラム」(通称「竹中プラン」)は、主要銀行の不良債権比率を2005年3月までに半減させることを目標とし、りそな銀行の実質国有化を実施。これにより、日本の金融システムの安定化に寄与したとされる。また、竹中氏に会ったことのある人に人物評を聞くと、本当に頭のいい人という高評価が多い。

では、竹中氏がここまで嫌われる理由は何なのだろうか。

 

竹中氏が嫌われる理由 パソナ会長としての活動と利益相反の疑惑

派遣労働の拡大が非正規雇用を増やし、日本において貧富の格差を広げたことは間違いないだろう。しかし、小泉政権下の竹中氏の行動はおそらくその時は日本のためを思ってのものだったろうし、それだけであれば今日これほど批難されることはなかっただろう。

竹中氏が蛇蝎のごとく嫌われる理由は、自身の政策によって需要が拡大し、恩恵を受けたであろう人材派遣会社のパソナグループの会長に後日天下ったことに他ならない。これにより、「自身の進めた派遣労働拡大政策で、パソナが利益を得たのではないか」という利益相反の疑惑が根強く残っている。バカではないのだから、それが他者から見たらどういう見え方をするかわからないわけではなかろう。おそらく利権に塗れたクソ野郎と思われてもよいという覚悟をもって、パソナグループの会長を13年間務めたのだから、現在のやることなすこと批判される姿も許容せねばなるまい。

かつての経済学者はもっと高邁な精神をもっていたと思う。少なくとも、自身が広げた業界の特定企業に素知らぬ顔で天下るような倫理観の持ち主はいなかったのではないか。竹中氏は今回自身の番組で、最近の日本人の倫理観の低下を嘆いているが、同じことなのだ。まぁ、要は日本人みんな倫理観が下がっているということだろう。

ベーシックインカム導入

しかし、ここまで嫌われた竹中氏だが、おそらく氏の評価を改める方法が一つだけある。番組のなかで維新の政策にも触れているのだが、竹中氏は高校無償化が従来の維新の政策から見たら異質のものではないかと喝破していた。そのうえでベーシックインカム導入の可能性などを探る方が維新らしいだろうと言及している。実はベーシックインカムについては竹中氏は導入に前向きな一面がある。

ここで思うのは、社会の変革を志してきた竹中氏の評価が改まるとすれば、これほど貧富の格差が広がり、不公平感が漂う日本に於いて、全員が公平な恩恵を受けるベーシックインカムを導入させるまで手引きすることかもしれない。

 

竹中平蔵氏は「改革者」か「既得権益の象徴」か

竹中平蔵氏は、日本経済の改革を主導した功績を持つ一方で、非正規雇用の拡大や格差の拡大を招いた責任を問われ続ける存在でもある。今回の万博リングをめぐる疑惑も、彼の経歴と絡めて疑念を持たれやすい状況となっている。

竹中氏は現在も経済学者として活動を続けており、2月には資産運用をテーマにしたセミナーにも登壇している。大阪・関西万博を議論するのは続いており、竹中氏の主張がどこまで世論に影響を与えるのか、今後の動向が注目される。

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寒天 かんたろう

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ライター歴25年。月刊誌記者を経て独立。伝統的な日本型企業の経営や大学、高校、通信教育分野などの取材経験が豊富。

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