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女性議員へのセクハラ問題を終わらせるために—制度改革と社会の意識変革を

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議会での女性議員へのセクハラ

国際女性デー(International Women’s Day)が3月8日に迫っている。この日は、女性の地位向上や差別の払拭を目指す国際的な連帯の日だ。

しかし、日本の地方議会では、いまだに女性議員へのセクシュアルハラスメントが深刻な問題となっている。

 

根強く残るジェンダー格差とハラスメントの実態

地方議会における女性議員へのセクシュアルハラスメントの実態が改めて浮き彫りになった。時事通信の3月2日の報道によれば、地方議会の女性議員の約3人に1人がセクハラを受けた経験があるという。特に女性の少ない議会では、訴えることすら困難な環境が続いている。これは単なる個人の問題ではなく、政治の機能そのものを損なう深刻な社会問題だ。

この問題の背景には、地方議会におけるジェンダー格差が根強く残る現実がある。総務省の調査によれば、都道府県議会や市区町村議会に占める女性の割合は全国平均でわずか17.4%。さらに、女性議員ゼロの自治体議会も224に上る。女性が少数派である環境では、ハラスメントを訴えたとしても議会全体の空気によってかき消されてしまうことが多い。

 

議会でのハラスメント事例

報道された地方議会におけるセクハラ事例では、富山県内のある市議会では、女性市議が宴会でダンスを強要され、拒否すると「ノリが悪い」と責められたケースが報告されている。さらに、青森県の町村議会では、女性議員が男性議員から「子どもをもっと産めるだろう」と発言され、不快な思いをしたという証言もある。

こうした行為が今なお地方議会で横行している現実は、日本の民主主義の成熟度そのものを問う問題である。

SNSの声—理不尽な環境に疑問の声

SNSでは、こうした状況に対し、強い違和感を覚える声が多く上がっている。

「女性議員が勇気を出して声を上げても、逆に居心地が悪くなるという話は、理不尽だなと思います。議員としての能力や実績とは全く関係のないところで、女性が我慢を強いられるのは、住民にとっても損失だと思う」

「昔ながらの男性だと、『触っても減るものではない』などという偏った考えの人がいるのも事実です。また、記事にあるような事例のどこがセクハラなのか、わからない人もいると思う。つまり、セクハラの何たるかが理解できていないのである。候補者男女均等法とかも大事だけど、そうしたところから理解を深めていく必要があるように思う」

「昭和のノリ」でセクハラをする人がいるのは、何も議員だけではない。しかし、そういう人たちは「昔はこれくらい普通だった」と言い訳することが多い。だが、今は令和。時代が変われば常識も変わるし、昔OKだったからといって今も許されるわけがない。

特に議員は公人であり、自分たちの振る舞いが時代に合っているかどうかを考える責任があるはずだ。セクハラは言語道断であり、それを問題視しない環境もまた問題だ。地方議会だけではなく、社会全体で「今はもう通用しない」という意識を徹底しなければ、いつまでも被害者は減らない。

 

海外の事例と日本の遅れ

海外の地方議会では、セクハラ対策が進んでいる例もある。フランスでは2018年に議員間のセクハラを防ぐための厳格な規制が導入され、議会内でのハラスメントが発覚した場合、即時処分が下される仕組みがある。スウェーデンでは、議員向けのハラスメント防止研修が義務化され、被害者の相談窓口が充実している。アメリカでは、多くの州議会がセクハラ報告制度を導入し、被害者が安心して訴えられる体制を整えている。

こうした国々と比較すると、日本の地方議会における対応はまだまだ遅れていると言わざるを得ない。

 

制度改革と社会の意識変革が必要

こうした意見からもわかるように、単にハラスメント対策を強化するだけではなく、セクハラが「なぜ問題なのか」を理解するための教育が不可欠だ。

政府は2021年に候補者男女均等法を改正し、国や自治体にハラスメント防止の義務を課したが、実効性のある対策は進んでいない。ハラスメントを防ぐには、自治体が第三者機関による相談窓口を設置し、被害者が報復を恐れずに訴えられる仕組みを整えることが不可欠だ。また、議会内での研修を義務化し、性差別的な言動が政治の場にふさわしくないことを明確にする必要がある。

政治とは、一部の特権層のものではなく、すべての人のためにある。女性が声を上げることを躊躇するような環境では、健全な民主主義は成り立たない。議会は全ての住民のためのものだという原点に立ち返り、この問題を抜本的に解決するための取り組みを進めるべき時が来ている。

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寒天 かんたろう

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ライター歴25年。月刊誌記者を経て独立。伝統的な日本型企業の経営や大学、高校、通信教育分野などの取材経験が豊富。

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