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帝国劇場が休館、新劇場は2030年開業へ 「新・帝劇」最新計画まとめ

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帝国劇場
photoACより

日本の演劇文化を支えてきた帝国劇場が2025年2月末をもって休館する。1966年の開場以来、数々の名作を生み出してきた歴史ある劇場が、その役目を一旦終え、新たな舞台へと向かう。新しい帝国劇場は2030年の開業を予定しており、最先端の舞台設備や観客の快適性を追求した劇場へと生まれ変わる。本記事では、帝国劇場の歴史と最終公演、新劇場の計画について詳しく解説する。

 

帝国劇場、59年の歴史に幕

日本演劇界の象徴としての歩み

帝国劇場は1911年、日本初の西洋式大劇場として開場した。当時の日本には珍しかったイス席の導入や土足での入場許可、先進的なチケット販売システムなど、画期的な取り組みが話題を集めた。その後、関東大震災や戦争を経て、1966年に2代目帝国劇場が建設された。以来、日本におけるミュージカル文化の確立に大きく寄与し、多くの名作を上演し続けた。

上演された名作とその影響

帝国劇場では『レ・ミゼラブル』『ミス・サイゴン』『ラ・マンチャの男』『屋根の上のヴァイオリン弾き』などの海外ミュージカルが上演され、国内のミュージカル文化を発展させる役割を果たしてきた。また、近年では『千と千尋の神隠し』など日本オリジナルの作品も世界進出を果たし、帝国劇場から世界へと発信される舞台も増えている。

2025年2月末、帝国劇場が休館へ

最終公演とファンの思い

休館前のクロージング公演として、『レ・ミゼラブル』『Endless SHOCK』などの名作が上演された。そして2025年2月には『THE BEST ~New HISTORY COMING~』という集大成のコンサートが開催され、帝国劇場の歴史を振り返る内容が盛り込まれる。多くの観客が、思い出の詰まった劇場との別れを惜しんでいる。

休館を惜しむ声

SNSでは「帝劇は私の青春」「ここで観た舞台は一生の宝物」といった声があふれ、多くの人々にとって特別な場所であったことがわかる。帝劇前には最後の姿を見届けようと、多くのファンが訪れている。

「新・帝国劇場」最新計画

 

2030年開業予定の新劇場の特徴

新たな帝国劇場は、最新技術を取り入れた舞台機構や観客の利便性を向上させた施設として生まれ変わる。設計は、建築家の小堀哲夫氏が担当し、「THE VEIL(ザ・ヴェール)」というコンセプトのもと、皇居周辺の自然と調和した劇場デザインが採用される。

設計コンセプト「THE VEIL」

「帝国劇場 エントランスイメージパース」
新・帝国劇場 エントランスイメージパース(東宝より)

新劇場の建築デザインコンセプト「THE VEIL」は、帝国劇場が持つ歴史と環境を生かしたデザインとなる。皇居に面した劇場が、水のきらめき、美しい光、豊かな緑に包まれるような設計で、まるでヴェールをくぐるような感覚を体験できる空間となる。観客はエントランスからホワイエ、客席、舞台へと続く流れの中で、格式ある劇場空間を実感しながら観劇に臨むことができる。

設計者と関係者

・設計者:小堀哲夫(建築家・法政大学教授)
・PM/CM:日建設計コンストラクション・マネジメント株式会社
・劇場コンサルタント:株式会社シアターワークショップ
・設計事務所:小堀哲夫建築設計事務所

劇場の進化と利便性の向上

「帝国劇場 劇場内イメージパース」
新・帝国劇場 劇場内イメージパース(東宝より)

新劇場は、観劇体験の向上を目的に設計されている。劇場の配置を90度回転し、エントランスから客席、舞台までの動線を一直線にすることで、スムーズな入退場を可能にする。また、客席の傾斜を最適化し、すべての座席から舞台が見やすい設計となる。

バリアフリー対応の強化

新劇場では、アクセシビリティの強化も大きなポイントとなる。従来の劇場では車椅子席が1階のみに限られていたが、新劇場では2階にも設置。加えて、多目的トイレの充実や座席間のスペース拡大により、より多くの人々が快適に観劇できる環境が整えられる。

最先端の舞台機構を導入

現行の帝国劇場で使用されていた「盆」や「せり」は廃止され、フレキシブルなユニット機構が導入される予定。これにより、より多様な演出が可能となり、国内外の舞台芸術の発展を促す。また、舞台袖上部には、十分な作業性・安全性を確保したテクニカルギャラリーを設置し、世界レベルの舞台技術を採用する。

ロビー空間の充実と街との一体化

新劇場のロビーやホワイエは拡張され、自然光を取り入れた開放的な空間へと生まれ変わる。カフェやバーも併設され、観劇前後の時間を快適に過ごせる空間が整備される。また、有楽町駅側の南東の一角には、一般利用も可能なカフェが設けられ、劇場と街との一体感が生まれるよう計画されている。

「記憶の継承」も考慮

2代目帝国劇場の特徴的なデザイン要素の一部については、「記憶の継承」として劇場内に残すことが検討されている。特に猪熊弦一郎のステンドグラスなど、象徴的なアートワークの保存について議論が進められている。

日比谷通り側から望む外観イメージパース
新・日比谷通り側から望む外観イメージパース(東宝より)

新・帝国劇場への期待

 

進化する劇場体験

「新しい帝劇での公演が待ち遠しい」「どんな舞台演出が可能になるのか楽しみ」といった期待の声が多く寄せられている。演劇関係者からも「日本の舞台芸術の新たな拠点になる」との意見があり、劇場の進化に注目が集まっている。

2030年、劇場の新たな歴史が始まる

2025年の休館は多くのファンにとって寂しいニュースだが、新たな劇場が完成することで、日本の演劇文化はさらなる進化を遂げることになる。最先端の設備を備えた「新・帝国劇場」が、再び演劇の聖地として多くの観客を迎える日を楽しみにしたい。

【参照】新・帝国劇場 設計者決定のお知らせ(東宝)

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ライター:

女性向け雑誌にて取材・執筆及び編集に従事。独立後は、ライフスタイルやファッションを中心に、実体験や取材をもとにリアルな視点でトレンドを発信。読者が日々の生活をより豊かに楽しめるような記事を提供し続けていることがモットー。

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