
LINEヤフーは2025年4月、リモートワーク制度を改定し、事業部門は原則週1回、その他の部門は原則月1回の出社を義務付けると発表した。
コロナ禍でフルリモートワークを導入していた同社の方針転換は、SNS上で大きな波紋を呼んでいる。「この先コロナが終息しても、ずっとリモートワーク」というかつての採用情報に触れ、「さすがに可哀想すぎて涙が止まらんぜ」と同情する声や、「フルリモートやめるって言ったら当然離職者が出ると想定される。…リストラなのでは」と推測する声も上がった。
かつての約束と方針転換の背景
LINEヤフーは2020年9月、フルリモートワークへの移行を発表。「この先コロナが終息しても、ずっとリモートワーク」と明言していた。今回の改定は、この発言と矛盾するように映る。
同社は改定理由を「新しいプロダクトを生み出すためには、コミュニケーションの質を強化することが必要。リモートワークの良さを生かすとともに、対面でのコミュニケーションの良さを今まで以上に取り入れる」としている。しかし、この説明に納得していない従業員もいるようだ。
対象となるのはLINEヤフーに所属する正社員・専門正社員・契約社員・嘱託社員・アルバイト。カンパニー部門に所属する社員は原則週1回の出社、開発部門やコーポレート部門などのカンパニー部門以外は原則月1回の出社が求められるようになるようだ。
リモートワークの光と影
リモートワークは、通勤時間の削減や柔軟な働き方を可能にする一方で、コミュニケーション不足や孤独感、評価の難しさといった課題も抱えている。LINEヤフーは、これらの課題を克服するために、対面でのコミュニケーションを重視する方向へ舵を切ったとみられる。
世界的な潮流は?
アマゾンは2024年から週5日オフィス勤務に戻している。ZoomやGoogleも、出社を促す方針を打ち出している。一方、完全にリモートワークを廃止する企業は少なく、ハイブリッド型を採用する企業が多い。
従業員への影響は?
今回の改定は、地方移住者や介護従事者など、フルリモートワークを前提に生活設計をしていた従業員に大きな影響を与える可能性がある。「親の介護があるのでフルリモートしか出来ませんっていう人が凄く増えてきている」というSNS上の声は、この問題の深刻さを物語っている。
地方に家を建てた従業員が東京へ引っ越さざるを得なくなるケースも想定され、「『お前ら東京に引っ越せ』というのは、詐欺に近い脱法的な優良誤認だろう」という批判も出ている。
ただ、フルリモートを謳っていた組織が出社しろと言ってくるのは、暗に「何人か辞めろ」というリストラ的メッセージとも言われている。
実際に生成AIの活用が想定以上の速さで伝播しつつあることで、今後ホワイトカラーの働き方は大きく変わることが確実視されている。会社へのエンゲージメントが低い人間は退職してもらった方がいいというのは経営層の心の声だろうから、リモートワーク縮小の踏み絵を踏めるかがよい試金石になるという意見もある。
未来の働き方は?
リモートワークのあり方は、企業の業績や従業員のニーズ、社会全体の状況など、様々な要因によって変化していく。企業は、従業員の多様な働き方を尊重しつつ、生産性を維持・向上させる方法を模索していく必要がある。専門家の間では、柔軟な働き方と対面でのコミュニケーションのバランスが重要だとする意見が多い。
変化への対応が問われる
LINEヤフーのリモートワーク縮小は、企業と従業員双方にとって、改めて理想の働き方を考える契機となるだろう。変化への対応力と柔軟な思考が、これからの時代に求められる。