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RWAトークンがもたらす現実資産の新たな価値(企業価値とESG #15)

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RWA(現実試算)トークン化がもたらす新たな価値

ブロックチェーンは、現実世界の資産をトークン化することで、金融や投資に新たな可能性を提供することができます。

その中でもRWAトークンは、ESGの観点からも新たな価値を創造するとともに、流動性やコストなどの面でメリットを享受できるでしょう。

一方でRWAトークンには、現実資産との整合性や規制などの課題もあります。本稿では、RWAトークンの概要と意義、活用方法と注意点について、投資家や企業の視点から解説します。

RWAトークンとは

RWAトークンは、Real World Asset(現実資産)の略で、現実世界に存在する資産をブロックチェーンでトークン化したものです 。

トークン化とは、資産を(必要であれば)分割し、所有権や収益権をデジタルトークンとして発行することです。

トークン化された資産は、ブロックチェーンの特性を活用して、流動性や透明性を高めることができます。

RWAトークンは、現実資産の種類によってさまざまなカテゴリーに分類されます。例えば、以下のようなものです。

  • 債券型:現実資産に連動した債券をトークン化したもの。例えば米国債、企業債、地方債など
  • 資産型:現実資産そのものをトークン化したもの。例えば美術品、不動産、宝石など
  • 収益型:現実資産から生み出される収益をトークン化したもの。例えば音楽、映画、ゲームなどの著作権、宿泊施設や農業などの事業収益など


RWAトークンは、現実資産のトークン化において重要な役割を果たすでしょう。RWAトークンは、現実資産の価値をブロックチェーン上に反映し、デジタル証券市場における取引や投資の対象となります。

また、ESGの観点からも、持続可能な投資や社会的インパクトを生み出す可能性があります。

RWAトークンとESGの関係

RWAトークンは、ESGの観点からも価値を創造することができるでしょう。RWAトークンは、以下のようなメリットを持ちます。

持続可能な投資の促進

RWAトークンは、現実資産の価値やパフォーマンスをブロックチェーン上に可視化し、投資家に情報を提供できます。

これにより、投資家はESGに関するデータや指標に基づいて、持続可能な投資を行うことができるでしょう。

例えば、環境に配慮したエネルギー資源やインフラ、社会に貢献する教育や医療、ガバナンスに優れた企業や組織などの現実資産に投資することができます。

社会的インパクトの創出

RWAトークンは、現実資産の所有権や収益権を分散化し、流動性やアクセシビリティを高めることができます。これにより、投資家だけでなく一般の人々も、現実資産に関わることができるでしょう。

例えば、美術品や不動産などの高額な資産を小額で共有することができます。

また、音楽や映画などの資産をファンやコミュニティと共有することもできます。アイデア次第では、社会的インパクトを生み出すことにつながるかもしれません。



RWAトークンには、ESGに関する価値を創造するメリットがありますが、同時に課題やリスクもあります。例えば、以下のような課題やリスクです。

現実資産とトークンの整合性の確保

RWAトークンは、現実資産とトークンの間に法的や技術的な橋渡しをする必要があります。

現実資産の所有権や収益権をトークンに反映させるには、信頼できる第三者機関やスマートコントラクトなどの仲介が必要です。しかし、これらの仲介にはコストや時間、信頼性などの課題があります。

また、現実資産の価値や状態が変化した(劣化や破損など)場合、トークンにもそれを反映させる必要がありますが、その方法や基準は、まだ確立されていません。

ESGに関するデータや指標の信頼性と検証性の確保

RWAトークンは、ESGに関するデータや指標をブロックチェーン上に記録し、投資家に情報を提供することができます。

しかし、これらのデータや指標は、どのように収集され、分析され、評価されるのでしょうか? またそれらは、どの程度の信頼性や検証性を持つのでしょうか? RWAトークンは、ESGに関するデータや指標の信頼性と検証性を確保するために、標準化や監査などの仕組みを整備する必要があるでしょう。

規制や税制の整備

RWAトークンは、現実資産とトークンの間に規制や税制の整備が必要です。現実資産とトークンは、異なる法的な性質を持ちます。現実資産は物理的な資産であり、所有権や収益権が法的に保護されます。

一方でトークンは、デジタル資産であり、所有権や収益権が法的に認められているかどうかは、国や地域によって異なります。

また、現実資産とトークンの売買には、それぞれの税制が適用されますが、その内容や計算方法は、まだ明確ではありません。

RWAトークン導入のメリット

企業やプロジェクトはRWAトークンを導入・活用することで、以下のようなメリットが期待できるでしょう。

流動性の向上

RWAトークンで現実資産を分割し、デジタルトークンとして発行することで、流動性を向上させることができます。

流動性とは、資産を売買する際の容易さや速さのことです。高額な現実資産は、売買に時間や手間がかかります。

しかしRWAトークンは、ブロックチェーン上のデジタル証券市場で小口化され、迅速に取引することができます。

これにより、投資家は現実資産にアクセスしやすくなり、資産の価格もより適正に反映されるでしょう。

コストの削減

現実資産のトークン化によって、コストを削減することができるかもしれません。

ここで言うコストとは、資産の売買にかかる費用や手数料のことです。現実資産は多くの場合、仲介者や中央機関を介して売買されます。

しかしRWAトークンは、ブロックチェーンの特性を活用して、仲介者や中央機関を排除することができます。これにより、投資家は売買にかかるコストを削減することができるでしょう。

透明性の向上

ブロックチェーンの特性を活かし、情報の透明性を向上させることもできるでしょう。

透明性とは、資産の情報や履歴が公開されている度合いのことです。現実資産は、情報や履歴が不完全な場合もあり、不正や詐欺のリスクがあります。

しかしRWAトークンなら、情報や履歴を不変で公開することができます。これにより、投資家は資産の信頼性や安全性を確認することができるでしょう。

RWAトークンの活用と注意点

RWAトークンは、投資家や企業にとって有用なツールとなるでしょう。例えば、投資家や企業にとって、以下のように活用できます

投資家の視点

RWAトークンは、投資家にとって、現実資産へのアクセスを拡大し、ポートフォリオの多様化やリターンの向上を可能にするでしょう。

現実資産の流動性、コスト、透明性を改善することで、投資家は、低額で迅速に現実資産に投資することができます。

また、ESGに関するデータや指標を提供することで、持続可能な投資を行うことができます。

さらに、RWAトークンは、現実資産の種類やカテゴリーが豊富であることから、自分の好みや目的に合わせて、現実資産に投資することができるでしょう。

企業の視点

RWAトークンは、企業にとって、資金調達やリスク管理やステークホルダーとの信頼構築などの面でメリットをもたらします。

企業が保有する現実資産をトークン化することで、企業は、資金調達の選択肢や柔軟性を増やすことができるでしょう。

また、企業が保有する現実資産の価値やパフォーマンスをブロックチェーン上に記録することで、企業はリスク管理の効率性や精度を向上させることもできます。

さらに、企業が保有する現実資産の情報や履歴を公開することで、企業は、ステークホルダーとの信頼構築やコミュニケーションを強化することができるでしょう。



一方で、RWAトークンを活用する際の注意点には以下があります。

投資家の視点

RWAトークンは、投資家にとって現実資産への投資を容易にしますが、それは現実資産のリスクや変動性を無視できるということではありません。

RWAトークンは、現実資産に連動していますので、現実資産の価値や状態が変化した場合、トークンの価値や収益も変化します。

また、RWAトークンは、規制や税制の整備が不十分な場合、法的な不確実性や負担に直面する可能性があります。

さらに、RWAトークンは、現実資産とトークンの整合性や、ESGに関するデータや指標の信頼性や検証性などの問題にも注意する必要があるでしょう。

企業の視点

RWAトークンは、企業にとって資金調達やリスク管理やステークホルダーとの信頼構築などの面で、メリットをもたらすでしょう。

しかしそれは、現実資産の管理や保全を怠れるということではありません。

現実資産をトークン化することで、企業は現実資産の価値やパフォーマンスをブロックチェーン上に反映させることができますが、それは現実資産の管理や保全を放棄できることを意味するわけではありません。

むしろ、トークンの価値や収益を維持するためには、現実資産の管理や保全を徹底すること必要があります。

また、RWAトークンは、企業にとって規制や税制の整備が不十分な場合、法的な不確実性や負担に直面する可能性があります。

現実資産とトークンの整合性や、ステークホルダーとのコミュニケーションなどの問題にも注意する必要があるでしょう。



RWAトークンは、投資家や企業にとって、現実資産へのアクセスや価値の創造などの面で活用するメリットがありますが、同時に、現実資産のリスクや変動性、管理や保全などの面で注意する必要があります。

出典・参考:
デジタル証券とRWAトークンの動向|日本総研 (jri.co.jp)
リアルワールドアセット(RWA) – WOR(L)D ワード|大和総研の用語解説サイト (dir.co.jp)
国際金融機関で加速する「現実世界の資産(RWA)のトークン化」 市場への影響は? | Wealth Road

次回のコラムでは、「RWAトークンと企業価値の関係」について解説します。

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ライター:

1986年、埼玉県生まれ。2012年より、大手人材会社のアウトソーシングプロジェクトに参加。 プロジェクトが軌道に乗ったことから2014年に独立し、その後は主にフリーランスとして活動中。 2014年、一時インドネシア・バリ島へ移住し、その前後から暗号資産投資、不動産投資、事業投資を始める。 現在は、複数の企業で経営戦略チームの一員としてM&Aや企業価値向上、海外進出等に携わるほか、バリ島ではアパート開発と運営を行っている。

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