
9歳差の出会いと苦節の道のり
三浦璃来は2001年12月17日生まれの24歳、兵庫県宝塚市出身。身長146センチの小柄な体ながら、ジャンプ力と豊かな表現力が武器だ。ディズニーアニメに憧れ5歳でスケートを始め、シングルからペアへ転向したのは14歳。初パートナーとの解消後、新たな挑戦を模索した。
木原龍一は1992年8月22日生まれの33歳、愛知県東海市出身。身長174センチの安定したリフト技術が強み。シングル時代を経て2013年からペアに転向し、ソチ2014、平昌2018と2度の五輪を経験した。パートナー交代を繰り返し、2019年には引退も視野に入れていた。
そんな木原に、三浦が自ら声をかけたのが2019年夏。「一緒にやりませんか?」という一言から始まった。トライアウトで息がぴったり合った瞬間、二人は運命を感じたという。コーチはカナダのブルーノ・マルコット氏とメーガン・デュハメル氏。9歳差の「年下女子が先輩を誘った」逆転ストーリーが、ここからスタートした。結成当初は国際大会で苦戦を強いられた。怪我や木原の腰椎分離症などの試練もあった。特に2023年から2024年にかけて木原の腰の故障でグランプリシリーズと全日本を欠場。
短いシーズンで四大陸選手権と世界選手権で銀メダルを獲得したが、悔しさが残った。二人は「二人で一つ」と互いを支え合い、復活を遂げた。
世界を制した黄金期と五輪への布石
2022北京五輪ではペア7位、団体銀メダルに貢献。日本ペアの歴史を塗り替える第一歩となった。2023年には世界選手権優勝、四陸選手権優勝、グランプリファイナル優勝と主要大会を制覇。
日本初の年間グランドスラムを達成した。2024年から2025年にかけて再び故障を乗り越え、世界選手権2度目の優勝、四陸選手権優勝と完全復活を果たした。世界王者として迎えたミラノ五輪では、団体戦のフリーで今季最高点をマークし、日本銀メダルに大きく貢献した。
五輪史上最大級の逆転劇
ペアフリー当日、SPで73.11点の5位発進。首位とは6.90点差だったが、二人は「もうやるしかない」と腹をくくった。フリーでは映画「グラディエーター」の音楽に乗り、トリプルツイストリフト、スロー3回転ルッツ、3回転トウループコンビネーションなど高難度要素を完璧に決めた。
SPで失敗したリフトも力強く成功。演技終了後、木原が雄たけびを上げ、三浦が驚きの表情から笑顔に変わる。抱き合って号泣する姿に会場はスタンディングオベーションとなった。
フリー158.13点は世界歴代最高。合計231.24点で逆転金メダル。現行採点方式でのペア史上最大級の逆転劇となり、日本ペア初の五輪メダルが金という夢のような結末を迎えた。銀はジョージアのメテルキナ・ベルラワ組、銅はドイツのハーゼ・ボロディン組。
「宇宙一!」の熱い解説 高橋成美さんの涙と絆
テレビ中継の解説を務めた高橋成美さん(34)は、木原と2014年ソチ五輪でペアを組んだ元パートナー。演技中から「すごい、すごい、すごい、すごい、すごい、すごい!!」と8連発で絶賛し、「この演技、宇宙一ですよ!」と興奮の声を上げた。
金メダル決定後には涙声で「こんなうれしいことないですよ」「こんな最高の気分に合う日本語なんて思いつかないです…」「この2人じゃなきゃダメでしたね。この2人だから世界の頂点に立ちました」と嗚咽まじりに語り、視聴者をさらに感動させた。
インタビューでは木原から「なるちゃんがいたから、俺たちが…来られた…」と感謝され、高橋さんも「でも今のりくりゅうじゃなきゃ、金メダルは本当になかったの!」と泣きながら返した。三浦も「私たちだけでは獲れなかった」と周囲への感謝を述べ、最後に3人で「ペア大好き!」と絶叫。日本のペア競技の礎を築いた高橋さんの存在が、この金メダルをよりドラマチックに彩った。
祝福の嵐 日本中が涙と歓喜
演技直後からSNSは祝福の声で埋め尽くされた。
「SP5位からフリー世界最高点で金!五輪史上最大の逆転すぎる」
「号泣しながら見た、真央ちゃん以来の感動」
「木原くんの雄たけびと璃来ちゃんの笑顔…この絆が最高」
「日本ペアの歴史を変えた二人にありがとう」と感動の投稿が相次いだ。
木原の男泣きに三浦が優しく背中をさするシーンも話題に。
「どっちが年上かわからない尊さ」「これまでの苦労が全部出た涙」と共感の声が広がった。
鍵山優真選手の「りくりゅう神」という言葉にも多くの賛同が集まり、日本中が早朝から歓喜に包まれた。りくりゅうの物語は、引退寸前からの再出発、怪我の克服、互いの信頼がもたらした奇跡だ。五輪金メダルは二人の努力の結晶であり、日本フィギュアの新たな金字塔となった。これからも輝き続ける二人に、心からの拍手を送りたい。



