千葉県四街道市の株式会社ウインターハートは、中古車売買や自社メディアの制作・運用を行う企業。対面での中古車売買のほかに、新車・中古車の総合情報サイト「新型車・中古車情報館」や、新車値引き情報の専門サイト「カーネビ」などを制作・運営しています。強みは、見積もり内容を第三者の立場から精査して適正化するという付加価値。スポーツカーをチューニングしたり、中古車の買取・販売も行っている斉藤良男社長のクルマの知識は筋金入りで、販売業者の見積りから交渉可能な費用を見つけて、具体的な価格交渉のアドバイスをするなどきわめて実用的なサービスを提供しています。今回は、斉藤良男社長に、業界が抱える課題も交えたお話を伺いました。
―株式会社ウインターハート設立のきっかけを教えてください。
私は元来のクルマ好きで、かつてはチューニングしたスポーツカーに乗っていたんです。日産のスカイラインGT-Rに乗っていた私はそれなりに名が知られており、取材を受けて雑誌に出たり、自分でもチューニングカー雑誌のライターとして記事を書いたりしていました。さらに中古スポーツカーを何台も購入したりして、新車・中古車売買に関する業界知識や、業務の流れについての知見、ノウハウも身に付いていました。そのうち、クルマを紹介するサイトを自作するようになり、サイトの制作を覚えてサラリーマンを辞めて、ウェブ制作業者として独立したんです。板金屋さんなど当時のクルマ仲間のサイト制作から始めて、少しずつ仕事を増やしていきました。サイト制作を請け負いつつ、手が空いたときに自分のサイトを作っていましたが、何年か前に自分のサイトとして「新型車・中古車情報館」というサイトを立ち上げました。このサイトをマネタイズするため、クルマの一括査定サイトの広告を貼っておいたのですが、かなりヒットして一日に約1万人の訪問者が来てくれるようになりました。こうなると、広告として貼ってある一括査定サイトに誘導するよりも、自分で中古車売買を手掛けた方がお客さまにメリットが提供できるのではないかと思い、それでウェブ制作のほかに中古車売買業も手掛けるようになり、このタイミングで法人化して株式会社ウインターハートを設立しました。
―御社の特徴である「値引き情報」とはどういったものでしょうか。
中古車売買を始めたものの、買取金額ではどうしても一括査定サイトに敵わず、思うようにいかない状況がありました。その現実を理解した時、私はお客さまの利益を第一に考え、正直に「一括査定サイトの方が高く買い取りますよ」とお伝えすることにしました。これは今でもそうしています。その上でも私に売ってくれるというお客さまに対して何かできることはないかと考え、クルマを買う際の価格交渉のアドバイスを始めました。お客さまから業者が出した見積書を見せてもらうと、不要と思われる費用がいくつも計上されているケースがほとんどです。これらは指摘すればカットしてもらえることが多いのですが、多くの購入者は知識が無いために見積りを疑わず、言われるままの金額を支払っています。たとえば「納車費用」、これはかつて、業者が自宅まで車を乗ってきて納車するという方法があったらしく、その名残です。今ではそのような納車などほとんどありませんし、そもそも納車を依頼しておらず、こちらから取りに行くのが実際です。また、下取り車に関する「手続代行費用」も同様です。本来は買った側が名義変更をしなくてはいけないわけですし、車買取業者ならクルマを買い取る場合はそのような費用は一切取りません。もうひとつ、「査定料」もそうです。他の業界で査定料を取るところはほとんどないのに、ディーラーでは慣例になっています。
―クルマの知識をお持ちの斉藤社長ならではのサービスですね。
もちろん業者に任せた方が良い部分もありますが、自分でできる手続きなどは自分で行うことで、価格交渉ができることがあります。業者と買い手側の情報格差によって、立場の弱い一般人である買い手側が不利になっているケースが多いので、私が提供するアドバイスは喜んでいただけるのですね。こうしてニーズもあることがわかり、付加価値として提供するようになりました。一般的にはクルマの売買は人生にそう何度も行うものではないですし、特段クルマに詳しくない人も多いわけですから、私の持つマニアックなクルマの知識が役に立てばと。下取り金額は一括査定サイトよりも安いかも知れませんが、代わりにそういった点でお客さまの利益になればということで情報を提供しています。対面での中古車売買と、自動車関係を中心とした自社メディアの運営というふたつの事業のどちらも同じように力を入れ、両輪として営んでいます。なにより私が大のクルマ好きですし、もともとのウェブ制作もクルマを紹介するというところから入っていますから、ウェブ、対面という形はどうあれ、クルマには関わっていきたいですね。今では、新車・中古車の総合情報サイトの「新型車・中古車情報館」、そこから派生した対面での中古車売買のほかに、「カーネビ」という新車値引き情報専門サイトも立ち上げ、運営しています。
ステークホルダーとの向き合い方
ヤマモト様は、私が中古車の買い取りを始めたものの、なかなかうまくいかないという時期に、紹介で来てくださったお客さまです。うちではそんなに高く買えませんよとお伝えしても、『ちゃんとした人だからと紹介されて来たから私に売りたいんだ、買い取ってほしいんだ』とおっしゃっていただき、他の買取サイトよりも買取金額が安いことを承知の上で売ってくださいました。
そのときに「私に代わりにできることはないだろうか」と考え、新車への買い換えを検討されていたヤマモト様に業者の見積書を見せていただいたたところ、ここは自分で手続きをすれば削れますよ、こういう風に価格交渉するとよいのではないでしょうか、とアドバイスしました。結果、その通りになり、すごく喜んでいただけました。こういう第三者の視点から見積もりを見てアドバイスするサービスは需要があるんだなと気付くきっかけになった、転機を与えてくれたお客さまです。
ステークホルダーとしては社員にあたりますが、実は私の母でもあります。私が書いたクルマ関係の記事の誤字脱字のチェックや校正なども行ってくれますし、お客さまが来れば接客、洗車作業も行ってくれますし、かなり多くのことを任せています。私が行う根幹となるメインサービスに付随する、周りの部分の業務をオールマイティーに幅広く担ってくれています。おかげで私はメインの業務に集中できますし、接客等もきちんと行ってくれて評判も良いので、とても助かっています。私の仕事がうまくいくように段取りを組んで、流れを止めないようにサポートしてくれる、とても優秀な従業員です。いつも感謝しています。
私がサイトに貼っている一括査定サイトを紹介していただいている広告主です。一括査定サイトもたくさんありますから、悪質なサイトなどおかしなサイトを貼ってしまっては、私のサイトも信用を失くしてしまいます。その点、レントラックスさんは信頼できるサイトを選別して紹介してくれますので、安心して自分のサイトに貼ることができます。私はクルマ関係以外のサイトも制作・運営していますが、サイトごとに広告として貼るのにふさわしいサイトを選んで紹介してくれます。いまはコロナ禍ですからオンラインでの打ち合わせになりますが、コロナ禍以前は何度も訪問して打ち合わせしていた、深いお付き合いのある取引先です。安心してパートナーにできますので、ありがたいと感じています。
弊社が加入している四街道市商工会でいつも相談させていただいているのが佐倉さんです。資金面でも相談に乗ってくれますし、補助金や助成金関係の情報があればすぐにメールで教えてくれます。特に、今は新型コロナ関係の助成金や補助金などで新しいものがあればすぐに知らせてくれます。弊社は無借金ですが、融資などの情報も教えてくれます。助成金や補助金関係の制度の情報は、周知されるものではなく、情報があまり回ってきません。知らないものがたくさんありますから、随時情報をくれるのは助かります。佐倉さんは知識も豊富で、相談すればアドバイスもくれます。それから、佐倉さんは商工会のウェブ担当の方なので、私のサイトを掲載してくれたり、またこういう風に載せたら良いですよと相談に乗ってくださったりもします。経営に関することと、ウェブ関係の両面でお世話になっており、とても頼りになる存在です。
私は昔から環境問題に興味がありました。クルマと環境問題とは切っても切れない関係にあり、大手自動車メーカーも2030年までにガソリン車撤廃という流れがあります。私としては、メーカーが作った良いクルマをサイトで紹介するという形で、環境に貢献できればと思っています。メーカーが自分たちのものを良いと言うのは当たり前なので、第三者の視線で良いものは良いと発信したいですね。たとえば、つい最近トヨタのアクアがフルモデルチェンジし、とても燃費が良くなりました。今回のフルモデルチェンジで二代目になりますが、プレスリリースによれば、初代アクアの販売によって1,240万トンものCO2が削減されたそうです。初代でもそれだけ燃費に優れていたのに、今回のフルモデルチェンジではカタログ燃費でWLTCモードが約37〜8km、ということは実燃費で30kmぐらい走れることになります。これはかなりの燃費の良さです。こうした素晴らしいクルマを私のサイトで紹介し続けられればと思います。
かつては燃費の悪いスポーツカーに乗っていた私ですが、今では環境に良いクルマに乗って、環境に良いクルマが売れる社会づくりに貢献したいと思っています。売れなければメーカーも作りませんから、環境に良いクルマが売れるような発信を続けていきたいですね。
新車の価格はどんどん上がっています。年に一度、一部改良を行い、その1〜2年後にマイナーチェンジ、その後にフルモデルチェンジというように、同じクルマでもしょっちゅう改良しています。この度に価格が上がり、その上がり幅も大きいのが現状です。これでは未来世代の方たちはなかなか買えないですよね。車離れなどと言われていますが、価格が高くなったことも原因だと思います。実際に若い世代を対象としたアンケートを見ると、クルマを買わない理由として費用面を挙げる回答が最も多い結果となっています。
そういった問題に対して私が貢献できるのは、若い世代の方たちが少しでも安く買えるような情報を提供することだと思っています。私のサイトを通じてでも、対面での中古車買取を通じてでも、私の持つ知識や情報をお伝えすることで、未来世代のネックとなっている費用面の負担が減り、少しでも安く、適正な価格で買うお手伝いができればと。また、たとえば業者の見積りの中で、より適正な見積もり交渉ができそうな項目ですとか、そういった知識が少しでも広がって、クルマの売買を取り巻く状況が改善していけば良いなと、そういう未来を目指して事業を行っています。
<企業概要>
会社名:株式会社ウインターハート(winterheart Inc.)
所在地:〒284-0015 千葉県四街道市千代田2丁目6番8号
事業内容:中古車売買業務、自動車メディアの運営、Webサイトの企画・制作・保守・管理
https://winterheart.co.jp/(企業サイト)
https://car-nebi.com/(新車値引き情報サイト)
https://car-guide01.com/(新車・中古車の総合情報サイト)
代表取締役:斉藤良男
(ライター:富井友樹)