
YouTube番組『令和の虎(FC版Tiger Funding)』で脚光を浴び、「仲介手数料無料」を武器に急成長していた不動産ベンチャー「逆転ホーム」(運営:株式会社逆転、代表取締役:加藤聖矢氏)。
若者を中心に支持を集めていた同社だが、現在その公式サイトは閉鎖され、関連するYouTube動画も次々と非公開になるなど、“異常事態”が発生している。
ネット上では以前から「連絡が取れない」「倒産したのではないか」という噂が飛び交っていたが、その裏側で起きていたあまりに杜撰な経営実態と、不可解な「計画倒産」疑惑が明らかになった。
事の発端は、2026年2月1日にYouTubeチャンネル『ひとり開業チャンネル』(運営:株式会社ビルズ・松原氏)が公開した告発動画だ。そこには、元社員とFC加盟オーナーによる、耳を疑うような証言が収められていた。
「明日から来なくていい」2026年1月4日に届いた“死刑宣告”
動画に出演した元社員の証言によると、Xデーは2026年の年明け、1月4日の夕方に訪れたという。 正月休みが明け、翌日から業務再開というタイミングで、突如として全社員が入っているグループLINEに加藤聖矢社長(当時)側から通知が届いた。
「会社を倒産することになりました」 「本日で契約終了です」
メッセージには事務的な文面で「個別のやり取りは対応しない。以降の質問は全て弁護士へ」と添えられており、社員たちは一方的に切り捨てられた形だ。
同社の求人サイトには「人間関係+仕事の働きやすさを重視」「美容エステ通い放題」といった甘い言葉が並んでいたが、その最期は、未払い給与の精算も不透明なまま、失業保険に必要な離職票の発行すら拒否されるという冷酷なものだった。
竹之内社長の“擁護ツイート”と食い違う実態
この騒動を複雑にしているのが、『令和の虎』の虎(投資家)であり、同社を支援していた竹之内教博社長の過去の発言だ。 逆転ホームを巡っては、2025年秋頃から既に「店舗が撤退しているのではないか」という噂が流れていた。これに対し、竹之内氏は2025年10月7日 午前9時52分、自身のXで以下のように強く反論していた。
「実際には撤退していません。(中略)加盟店の方に迷惑をかける可能性があるからと伝え、名前を変えて続けてくれても良いと告げたところ、何店舗かが名前を変えて今も営業している状態です」
竹之内氏はこれを「詐欺被害によるやむを得ない名称変更」と説明し、事業は継続していると強調した。しかし、動画で語られた現場の実態は、竹之内氏の説明とは大きくかけ離れていた。
元社員の証言によれば、加藤社長とは2025年10月頃から連絡が取れなくなっていたという。まさに竹之内氏が擁護ツイートをした時期と重なる。現場では給与明細の発行もストップし、不安が広がっていた最中の出来事だった。
同じ場所、同じ内装で…翌日に出現した「別の看板」
さらに動画内で波紋を呼んでいるのが、「計画倒産」の疑惑だ。 元社員によると、倒産通知の翌日である1月5日、閉鎖されたはずの名古屋市内の店舗で、なんと「別の名前の不動産会社」が、同じ住所、同じ内装のままで営業を開始していたという。
「一部の事情を知らされていたスタッフだけが事前に新会社に移り、何も知らされていない私たちは解雇されました」(動画内の元社員証言より)
加藤社長が主張していた「7000万円の詐欺被害」についても、社内では「実際の被害額とは桁が違うのではないか」という疑念が渦巻いていると語られている。
「来年2月には全国20店舗」加藤社長が語っていた“野望”と現実
倒産の衝撃をより大きくしているのは、代表である加藤聖矢氏がかつてSNS等で語っていた“輝かしい未来”との落差だ。 加藤氏の過去のInstagramの投稿には、社員との食事会を楽しげに報告する様子とともに、以下のような野心的な言葉が綴られていた。
「最近はフランチャイズ展開で皆に全然会えないから 皆と話せて楽しかったわ」 「来年2月位には逆転ホーム全国20店舗になり、早くこのサービスを全国に広めて利用者数を増やしたいから、もっとSNS力入れて、店舗も展開して行こう」 「もう27歳になったし20代ラストスパート もっと頑張らないとな!!」
投稿には「20代ラストスパート」という言葉とともに、若き経営者としての高揚感が滲み出ている。

また、オフィスでの集合写真では、お菓子を片手に笑顔を見せる加藤氏と、リラックスした様子の若いスタッフたちが写っており、求人資料で謳っていた「人間関係+仕事の働きやすさを重視」する“アットホームなベンチャー”の空気を漂わせていた。
しかし、その全国20店舗の夢を語っていたはずの時期から1年後、彼が社員たちに突きつけたのは、あまりにも冷酷な現実だった。
「契約書すら返ってこない」FCオーナーの絶望
被害は社員だけではない。同動画にはFC加盟オーナーの山田氏(仮名)も出演し、本部の実態を語った。山田氏によると、加盟契約書は送ったものの、本部からの控えが返送されず、契約書が手元にない状態が続いていたという。 2025年10月以降は本部と音信不通になり、今回の倒産についても直接の連絡はなかった。
現在、FCチャンネルのホームページからは逆転ホームのページが削除され「Not Found」となっている。YouTube上の関連動画も削除されるなど、事態の収拾というよりは、まるで最初から無かったかのような“隠蔽”とも取れる対応が進んでいる。
「仲介手数料無料」という革新的なモデルで業界に風穴を開けると期待された若きベンチャー。しかしその実態は、労働者の権利を踏みにじり、関係者を混乱に陥れるあまりにお粗末な結末だった。



