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伊藤園、純利益94%減の衝撃 自販機事業「136億円減損」で挑む構造改革

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伊藤園自販機販売減損

伊藤園は1月27日、2026年4月期の通期連結業績予想を大幅に下方修正すると発表した。自販機事業の不振に伴う巨額の減損損失計上により、最終的なもうけを示す親会社株主に帰属する当期純利益は、従来予想の160億円からわずか10億円へと93.8%減少する見通しだ。

売上高こそ堅調に推移するものの、利益構造の急激な悪化が浮き彫りとなった今回の発表は、株式市場や飲料業界に波紋を広げている。

 

コスト増と販売減の二重苦、自販機ビジネスの限界

修正の主因となったのは、同社が長年抱えてきた自動販売機事業の収益性悪化である。発表によると、同事業に関連する固定資産について、連結全体で135億9400万円もの減損損失を第3四半期に計上する。原材料費や物流費、人件費といったコストの上昇が止まらない一方で、肝心の販売数量は低下の一途をたどっており、将来の収益回収が見込めない「重荷」と判断された形だ。

今回の業績修正における数字の動きは極めて対照的である。売上高は前回予想から50億円上振れし4950億円を見込む一方、本業の儲けを示す営業利益は55億円減の200億円、経常利益は47億円減の210億円へと引き下げられた。これは、主力の商品販売自体は価格改定効果などで売上規模を維持・拡大できているものの、自販機チャネルの維持コストがそれを食いつぶし、さらに今回の会計処理が最終利益を根こそぎ奪った構図を示している。

 

「膿出し」の意図

業界に精通する証券アナリストは、今回の決算発表を単なる業績悪化ではなく、伊藤園による「不退転の構造改革」の狼煙(のろし)であると分析する。注目すべきは、同社が自動販売機事業を完全子会社である「ネオス株式会社」へ承継させるタイミングに合わせて、この巨額損失を計上した点だ。

過去1年間の伊藤園の開示情報や市場動向を振り返ると、同社は主力ブランド「お~いお茶」を中心とした積極的な値上げ戦略で、原材料高騰分を吸収しようと努めてきた。スーパーやコンビニエンスストアなどの小売店ルートではその戦略が一定の成果を上げ、今回の売上高上方修正に寄与したと考えられる。しかし、自販機チャネルにおいては、消費者の節約志向やコンビニコーヒーの台頭により、値上げがさらなる客離れを招くという悪循環に陥っていたことは想像に難くない。

 

アナリストは、今回の減損処理を「将来のV字回復に向けた外科手術」と予測する。事業を子会社へ移管する前に資産価値を徹底的に切り下げることで、来期以降の減価償却費負担を軽減させる狙いがあるからだ。これは、不採算資産という「膿(うみ)」を今期中に完全に出し切り、本体の財務体質を健全化した上で、子会社主導によるドラスティックな拠点統廃合やオペレーションの効率化を進める布石と言えるだろう。

見かけ上の利益は消滅したが、経営陣が聖域なきコスト削減へ舵を切ったことは、中長期的にはポジティブな転換点となる可能性を秘めている。

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ライター:

金融機関と不動産会社での勤務経験を経て2014年より金融関係や不動産関係を中心としたフリーライターとして活動。金融関係をはじめ不動産やビジネスのジャンルを中心に執筆しています。

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