
探偵ナイトスクープで放送された12歳長男の依頼が炎上している。番組で映し出された家庭の姿に、ヤングケアラーではないかという強い批判と心配の声が相次いだ。
放送直後から炎上 笑いの裏で視聴者が見た現実
視聴者から寄せられた奇想天外な依頼を「探偵」たちが体当たりで解決することで知られる人気バラエティー番組、探偵!ナイトスクープ。1月23日の放送回で紹介された1本の依頼が、放送直後からSNS上で急速に拡散し、炎上状態となった。
番組は終始、軽快な演出と笑いを交えて進行した。しかし視聴者が目にしたのは、子どもが子どもとして過ごす余地をほとんど持てていない現実だった。多子世帯の奮闘を描いた感動的なエピソードとして受け取るには、あまりにも重い負担が12歳の少年に集中していた。
SNSでは「これは笑えない」「見ていて胸が苦しくなった」「バラエティーで流していい内容ではない」といった声が放送直後から相次ぎ、番組内容を巡る議論は一気に加熱した。
12歳の長男が出した切実な依頼「1日だけ次男になりたい」
この日、お笑いコンビ・霜降り明星の「せいや探偵」が調査したのは「6人兄妹の長男を代わって」という依頼だった。スタジオには澤部佑が特命局長として座り、竹山隆範が局長補助、増田紗織が秘書を務めた。
依頼者は広島県在住の小学6年生の少年(12歳)。6人兄妹の長男で、下には10歳、8歳、5歳、2歳、0歳のきょうだいがいる。両親は共働きで、母親は会社経営者、父親はその仕事を手伝っているという。
家庭内の家事は主に父親と少年が担い、両親が仕事で不在の時間帯には、少年が弟妹の面倒を見ている。食事の準備、洗濯物の片づけ、おむつ替えといった作業は日常的で、特別なことではないと語られる様子が印象的だった。
「同級生は自由に遊んでいて羨ましい。正直、長男をやるのに疲れた」。少年はそう打ち明け、「生まれてから長男しかやったことがない。1日だけでもいいから次男になりたい」と依頼の理由を語った。この言葉が、多くの視聴者に強い衝撃を与えた。
せいや探偵が体感した長男の日常 終わりのない家内労働
せいや探偵が依頼者の自宅を訪れると、玄関先で出迎えたのは少年と父親だった。しかし、その背後ではすでに弟たちのけんかが始まり、落ち着いて会話ができる状況ではなかった。
ほどなくして父親は仕事へ向かい、家の中には幼い兄妹とせいや探偵だけが残された。
そこから先、休む間はほとんどなかった。泣き出した子をあやし、おむつを替え、別の子が騒げば抱き上げる。昼食の時間になれば、人数分のサンドイッチを用意し、食べこぼしを片づける。赤ちゃんが眠れば次は別の子の世話と、作業は途切れることなく続いた。
一方、依頼者の少年は「見てるだけでいいから楽」と語り、ソファに座ってその様子を眺めていた。
本人にとっては、それが日常であり、代わってもらって初めて「楽」だと感じる立場に回ったにすぎない。その対比は、視聴者にとっても残酷なほど分かりやすかった。
せいや探偵は開始からそれほど時間が経たないうちに疲労を隠せなくなり、「これは大変やな」と漏らす場面もあった。食後には大量の食器の後片づけが待ち、洗濯物をたたみ、赤ちゃんを寝かしつける。ようやく一段落したかと思えば、別の子が泣き出す。家内業務は循環し、終わりが見えない。
番組内で描かれたのは、特別な一日ではない。少年が普段から担っている「長男の役割」を、せいや探偵がそのまま引き受けただけだった。にもかかわらず、大人であるせいや探偵が短時間で疲弊していく様子は、この生活が12歳の子どもにとってどれほど過重かを雄弁に物語っていた。
視聴者からは、「数時間で限界なのに、これを毎日やっているのか」「これは手伝いではなく労働」「学校から帰ってこれが待っていると思うと胸が痛む」といった声が相次いだ。家事や育児が無償であるがゆえに、その負担が見えにくくなっている現実が、せいや探偵の体験を通じて浮き彫りになった形だ。
この場面は、単なるバラエティー企画を超え、長男の日常が「家族の支え」ではなく「代替要員」として機能してしまっている可能性を、視聴者に強く印象づける結果となった。
「長男、米炊いて」母親の一言が招いた激しい批判
放送終盤、帰宅した母親。せいや探偵が家から出た瞬間「くらのすけー(長男)、米炊いて!7合!」と声をかける場面があった。この何気ない一言が、視聴者の怒りに火を付けた。
SNSでは「そのくらい自分でやれよ」「いつもこうなんでしょ?完全に役割を押し付けている」「親の感覚が麻痺している」といった批判が噴出した。
母親のInstagramで発信されている大家族の様子と、番組で映った長男の疲弊した表情との差を指摘する声も多い。また放送直後から母親のInstagramには批判コメントが殺到している。
「親が忙しいなら、なぜ家政婦やシッターを雇わないのか」「裕福そうなのに、なぜ子どもに全部背負わせるのか」「これは育児放棄に近い」「勝手に子供増やして、その皺寄せが長男かよ」という厳しい意見も相次ぎ、単なる感想を超えた社会的批判へと発展している。
美談では済まされないヤングケアラー問題 刺さる批判と深い心配
ヤングケアラーとは、本来大人が担うべき家事や育児、介護などを、日常的に引き受けている子どもを指す。日本では長らく家庭内の問題として見過ごされてきたが、近年ようやく社会問題として認識され始めた。
今回の放送を受け、SNSでは「これは典型的なヤングケアラー」「お手伝いという言葉で誤魔化してはいけない」との声が相次いだ。「頑張っていてえらい、で済ませた瞬間に支援は遠のく」「子どもを美談の材料にするな」といった、強い言葉も目立つ。
また、「この子が将来、燃え尽きてしまわないか」「勉強や友人関係に影響が出ていないか」「心が壊れてしまわないか心配だ」と、少年の将来を案じる声も後を絶たない。怒りと同時に、深い不安が広がっているのが実情だ。
番組内で、せいや探偵が少年を抱きしめながら「お前はまだ小学生や。大人になんかなんなよ」と語りかけた場面は、多くの視聴者の涙を誘った。それは同時に、家庭や社会が果たすべき役割を突きつける言葉でもあった。
12歳の長男が口にした「1日だけでも次男になりたい」という願いは、決して特別な家庭だけの話ではない。今回の放送は、ヤングケアラー問題がすぐ隣にある現実であることを、多くの人に突きつけた。



