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プルデンシャル生命で顧客被害31億円超 100人関与の不正は「管理不全」では済まされない

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プルデンシャル生命保険

外資系生命保険会社として「営業力」「高収入」「エリート集団」を売りにしてきたプルデンシャル生命保険で、企業の根幹を揺るがす重大不祥事が発覚した。社員や元社員約100人が、約500人の顧客から総額31億4000万円を不正に受領していたことが社内調査で判明した。同社は調査結果を金融庁に報告し、16日に公表。間原寛社長兼最高経営責任者は2月1日付で引責辞任するが、この規模、この期間、この被害額を考えれば、辞任1人で幕引きできる問題では到底ない。

 

プルデンシャル生命とは 営業至上主義で拡大した外資系保険会社

プルデンシャル生命保険は、米国系保険グループを母体とする生命保険会社で、日本では1980年代から事業を展開してきた。最大の特徴は、営業職員を「ライフプランナー」と位置づけ、顧客の人生設計全体に関与する存在として前面に打ち出してきた点にある。

高額な死亡保障や法人向け保険を主軸とし、営業成果に応じて高い報酬を得られる仕組みを構築することで、急速に業容を拡大してきた。

一方で、このビジネスモデルは営業成績を最優先する構造と表裏一体でもある。営業職員には大きな裁量が与えられ、顧客との関係性は極めて密接になる。

その結果、営業担当者は実質的に個人事業主に近い立場で活動することになり、企業側の監視や統制が及びにくくなるという弱点を抱えてきた。

本来、生命保険会社は顧客の資産や将来設計を預かる立場にあり、強固な内部統制と厳格な倫理管理が不可欠だ。しかしプルデンシャル生命では、営業の成果を重視するあまり、現場の行動を十分にチェックする体制が形骸化していた可能性がある。今回明らかになった大規模不正は、こうした営業至上主義と管理軽視の積み重ねが、限界点を超えて噴出した結果と見るのが自然だ。

 

社員106人が関与 顧客498人から30億円超を不正受領

社内調査によると、不適切な金銭受領が確認されたのは社員や元社員106人。

被害に遭った顧客は498人に上る。手口は、個人的な投資話やもうけ話を持ちかけて金銭を預かり着服する、あるいは金銭を借りて返済しないといったものだ。
受領額は在職中や退職後を含めて約30億8000万円。このうち約22億9000万円が顧客に返金されていない。これは「一部の不心得者」による問題ではない。

100人を超える人数が関与し、長期間にわたり見逃されてきた事実は、企業としての管理体制が事実上機能していなかったことを意味する。

 

社内制度を悪用した詐取 支社単位で繰り返された犯罪行為

さらに深刻なのは、プルデンシャル生命の制度や保険業務と関連した形での詐取が確認されている点だ。3人の元社員が在職中に8人の顧客から約6000万円をだまし取っていた。
熊本支社の20代の元社員は2021年から2025年にかけ、「社員しか購入できない株がある」「必ず利益が出て元金は保証される」などと虚偽の説明を行い、3人から約720万円を詐取。
東京・汐留支社の30代の元社員は2017年から2023年にかけ、架空の投資話を持ちかけ、同社の申込書類を悪用して4人から約5300万円を受け取っていた。会社の公式書類が犯罪に使われていたにもかかわらず、長年発覚しなかった事実は、管理のずさんさを通り越して怠慢と断じざるを得ない。

 

他社でも繰り返された生命保険業界の不祥事 構造的欠陥は放置されてきた

生命保険業界では、営業職員による不適切行為が過去にも繰り返し問題化してきた。

例えば明治安田生命保険では、保険金の不払い問題が社会問題となり、長期間にわたる組織的な管理不全が批判を浴びた。また日本生命保険や第一生命保険でも、営業職員による不適切な募集行為や顧客対応が問題となった事例がある。
これらはいずれも「一部の社員の問題」と説明されがちだが、共通するのは営業成績を最優先する文化と、現場に過度な裁量を与える構造だ。プルデンシャル生命の不祥事は、そうした業界全体の弱点が極端な形で噴き出したケースと言える。

 

社長辞任で終わらせるな 組織的犯罪レベルのガバナンス崩壊

今回の不祥事を巡っては、SNS上でも厳しい声が相次いでいる。

「100人以上が関与していて社長1人の辞任で済む話なのか」

「これはもう個人不正ではなく組織的犯罪ではないか」

「金融機関として致命的だ」といった投稿が拡散し、怒りと不信の矛先は経営陣全体に向かっている。

特に目立つのは、「知らなかったでは済まされない」という指摘だ。

営業職員が顧客から多額の金銭を受け取り、長期間にわたり発覚しなかったことについて、「内部監査は何をしていたのか」「コンプライアンス部門は機能していたのか」と、管理体制そのものを疑問視する声が多い。生命保険会社という、顧客の資産と人生設計を預かる立場にある企業に対する失望感は大きい。

また、「営業成績を上げれば多少の不正には目をつぶる企業文化があったのではないか」「成果至上主義が不正を助長したのでは」といった投稿も目立つ。これは単なる感情論ではなく、100人規模の社員・元社員が同様の行為に及んでいたという事実に基づく疑念だ。人数の多さは、個々の倫理観の欠如では説明できず、少なくとも組織ぐるみの管理不全、あるいは不正を見逃す構造が存在していたことを示唆している。

さらに、「社内調査だけで済ませようとしている点が一番危険だ」「第三者委員会を設置すべきだ」と、対応の不十分さを問題視する声も強い。

一般的な企業不祥事であれば、被害規模がこれほど大きい場合、外部有識者による検証や経営陣全体の処分が議論されるのが通例だ。それが示されない現状に、SNSでは「信頼回復より幕引きを優先しているのではないか」との疑念が広がっている。

プルデンシャル生命保険にとって、今回の問題は単なる不祥事ではない。顧客との信頼関係を基盤とする生命保険事業において、その信頼を組織的に損なった責任は極めて重い。社長辞任という象徴的な対応で終わらせるのではなく、経営陣全体の責任の所在を明確にし、再発防止策を具体的に示さなければ、社会の納得は得られないだろう。

SNSにあふれる厳しい声は、一時的な炎上ではない。金融機関としての根本的な姿勢を問い直せという、極めてまっとうな要求である。

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ライター:

千葉県生まれ。青果卸売の現場で働いたのち、フリーライターへ。 野菜や果物のようにみずみずしい旬な話題を届けたいと思っています。 料理と漫画・アニメが大好きです。

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