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山中正裕容疑者、0.5ヶ月分の恨みで朝日放送設備の同級生社長をメッタ刺しにする裏で起きていたこと

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同級生殺人事件

信頼していたかつての同級生が、凶刃を隠し持った「修羅」と化していた――。東京都大田区のマンションで起きた音響設備会社社長殺害事件。逮捕されたのは、被害者が「会社を良くしたい」と自らヘッドハントした営業部長だった。

男を凶行に駆り立てたのは、あまりに身勝手で、あまりに短絡的な「プライド」だった。

 

二人の職場は「朝日放送設備」という会社。同社は主にホテルや国際会議場などで音響・照明・映像・同時通訳システムの企画、設計、施工、運用、保守までを一貫して行う専門会社だったようである。業界では知られた会社であり、設立から60年以上経っている老舗企業だった。

待ち伏せ、メッタ刺し、そして「はしご酒」

「口で言って分からないなら、痛い目に遭わせてでも考えを改めさせる必要があると思った」

取り調べに対し、淡々と、しかし戦慄すべき供述を続けているのは、山中正裕容疑者(45)だ。 1月8日午前、大田区のマンションの一室で、変わり果てた姿で見つかった会社社長・河嶋明宏さん(44)。その遺体には首や腹など10カ所以上もの刺し傷が刻まれていた。強い殺意がなければ、これほど執拗な攻撃はできない。

捜査関係者によると、山中容疑者の行動は計画的かつ冷酷そのものだったという。 7日の夜、河嶋さんの帰宅を狙ってマンション敷地内で待ち伏せし、部屋へ押し入り襲撃。さらに驚くべきは、その直後の行動だ。

「犯行からわずか30分後ですよ。山中容疑者は大田区内の飲食店で別の友人と合流し、未明まで3軒もの店をはしごして酒を飲んでいたんです。人を一人殺めた直後に、平然と酒を煽る。その神経は常軌を逸しているとしか言いようがない」(週刊誌記者)

 

「たかが0.5ヶ月分」が「許されざる裏切り」に変わる時

一体何が、45歳の分別ある男をここまで狂わせたのか。 動機の核心として浮上したのは、痴情のもつれでも巨額の横領でもなく、「ボーナスの減額」だった。

「これまで1.5ヶ月分だった賞与が、1ヶ月分に下げられた。理由も言われなかった」

山中容疑者はそう供述し、憤りを露わにしているという。実際に自宅からは、昨年12月に支給された約1ヶ月分相当の賞与明細が押収されている。 確かに給与ダウンは痛手だ。しかし、0.5ヶ月分の減額で、旧友の命を奪うことなどあり得るのか。

そこには、二人の間に横たわる「友人」と「主従」の複雑な歪みが見え隠れする。

 

「君の力が必要だ」親友からのヘッドハンティング

二人はもともと学生時代の同級生だった。 山中容疑者は広告やアパレル業界を転々とする生活を送っていたが、転機が訪れたのは約4年前。河嶋さんから直接、「会社を良くしたい。力を貸してくれ」と熱烈なラブコールを受けたのだ。

「前職より条件も良かったし、何より友人に頼られたことが嬉しかったんでしょう。当時は意気揚々と入社し、営業部長という肩書きも手に入れた。しかし、蜜月は長くは続きませんでした」(容疑者の知人)

友人として対等だったはずの関係は、会社という組織に入った瞬間、「査定する社長」と「査定される部下」に変貌する。 現場の不満、待遇への要求。山中容疑者はたびたび河嶋さんに直訴したが、経営者としての河嶋さんの判断はシビアだったのかもしれない。

「俺の言っていることがなぜ分からない」「あいつは俺を軽んじている」――。 積もり積もった小さな不満は、ボーナス減額というトリガーによって殺意へと引火した。

 

専門家が指摘する「距離感のバグ」

この悲劇について、犯罪心理学者の出口保行教授(東京未来大学)は「濃厚な人間関係の中で発生した軋轢」と分析する。

「待ち伏せや凶器の準備など計画性は極めて高い。相当な負の感情が蓄積していたのでしょう。殺人事件の加害者と被害者の面識率は9割を超えます。本来、言葉というコミュニケーションで解決すべきところを、『暴力で分からせる』という思考に陥った時点で、認知の歪みは決定的なものになっていました」

 

精神科医が見る「自己愛の傷つき」と「甘えの代償」

なぜ「言葉で解決できない」ほどの憎悪が生まれたのか。多くの企業の産業医も務める都内の精神科医は、容疑者の深層心理に「自己愛の深い傷つき(ナルシスティック・インジュリー)」があった可能性を指摘する。

「容疑者は『友人にわざわざヘッドハントされた特別な存在』という強い自負、ある種の自己愛を抱いて入社したはずです。しかし現実は、友人である社長からシビアな評価を下された。これは彼にとって単なる減給以上に、『自分という人間そのものの否定』であり、耐え難い屈辱だったと考えられます」

さらに、友人関係特有の「甘え」が事態を悪化させたという。

「友人だからこそ『言わなくても分かってくれるはず』『自分を特別扱いしてくれるはず』という、自他の境界線が曖昧な甘えがあったのでしょう。それが裏切られたと感じた時、相手を『思い通りにならない自分の一部』と見なし、激しい攻撃衝動、いわゆる『自己愛憤怒』が爆発した。自身のキャリアの停滞など、人生への不満をすべて成功者である友人に投影し、破壊することで精算しようとした悲劇的なケースと言えます」

「一方でこうした理由だけで人殺しまでするかというとあまり考えられないケースであり、表に出てきていない相応な理由があったということも多いに考えられるでしょう。いずれにしろ、今後の裁判を通してそうした点も明らかになっていくと思われます」

 

ネット上では今、「友達と起業してはいけない」「同級生が上司になるとロクなことがない」といった実感がこもった声が溢れている。

0.5ヶ月分のボーナスと引き換えに、山中容疑者は友人の命を奪い、自らの残りの人生をも棒に振った。「痛い目に遭わせて分からせる」。その身勝手な論理の代償は、あまりにも重い。

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ライター:

新聞社・雑誌の記者および編集者を経て現在は現在はフリーライターとして、多方面で活動を展開。 新聞社で培った経験をもとに、時事的な記事執筆を得意とし、多様なテーマを深く掘り下げることを得意とする。

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