
元卓球日本代表の福原愛(37)が再婚と妊娠を公表した。人生の新たな節目を迎えた形だが、祝福一色とは言い難い。背景には、かつて世間を騒がせた不倫疑惑と裁判がある。栄光と転落を併せ持つ元国民的スターの歩みを、過去の報道とともに検証する。
再婚と妊娠の公表が呼んだ複雑な反応
福原愛が一般男性との再婚と妊娠中であることを明らかにしたのは、12月22日に配信された女性セブンプラスの独占インタビューだった。記事では再婚に至るまでの経緯や今後の展望が語られ、ふっくらとしたお腹を抱えた近影も掲載されている。新たな命を授かったという報告自体は本来、祝福されるべき話題である。
しかし世間の反応は一様ではない。祝意と同時に、過去の騒動を想起する声が目立つのが現実だ。福原は幼少期から「愛ちゃん」の愛称で親しまれ、卓球界の象徴的存在として活躍してきた。その一方で、私生活においては不倫疑惑や訴訟といったスキャンダルが報じられ、イメージは大きく揺らいだ。今回の再婚報道には、その記憶が色濃く重なっている。
台湾での結婚生活と元日本代表の転機
福原は2016年9月、リオデジャネイロ五輪後に台湾の卓球選手・江宏傑(36)と結婚した。国境を越えたトップアスリート同士の結婚は大きな話題を呼び、2017年10月には長女、2019年4月には長男が誕生した。2018年10月に現役を引退した後は、台湾を拠点に家族とともに生活し、母としての顔を前面に出す姿も多く報じられていた。
だが、この穏やかな生活は長く続かなかった。夫婦間のすれ違いや育児、仕事を巡る価値観の違いが指摘される中、2021年7月に江との離婚が成立する。国民的スターの離婚は、アスリートとしてのキャリア以上に私生活が注目される存在であるがゆえ、世間の関心を強く集めた。
横浜デート報道と不倫疑惑の波紋
離婚に先立つ2021年3月、女性セブン(小学館)が報じたのが、横浜での「2泊3日デート」疑惑だった。福原が日本滞在中に一般男性と親密な時間を過ごしていたとされ、当時は既婚中だったことから不倫疑惑として大きく取り上げられた。
スポーツ紙記者によると、福原は会社設立と代表取締役就任に伴う手続きのため、日本に単身で滞在していた。直撃取材に対し福原は、相手男性について「精神的に不安定な私をサポートしてくれる友人の1人」と説明し、ホテルでは別々の部屋に宿泊したと釈明した。それでも、報道は世間に強い衝撃を与え、福原のイメージは大きく揺らいだ。
再婚相手と裁判まで発展した対立
その後、相手男性が早稲田大学卒の大手商社マンであり、今回の再婚相手であることが明らかになる。問題は、男性も当時既婚者だった点だ。2021年12月、週刊文春(文藝春秋)は、男性の離婚時期や福原との同棲状況を詳報した。
さらに事態を複雑にしたのが、男性の元妻による反論だった。2022年3月、週刊文春の取材に対し元妻は、「当時は別居中で夫婦関係が破綻していた」という説明を否定し、横浜デートはダブル不倫であり略奪愛だったと主張した。元妻は福原を提訴し、不貞行為や離婚による精神的苦痛への慰謝料として合計1100万円を請求する事態にまで発展する。
最終的に2022年11月、福原は公式サイトで提訴が取り下げられたことを報告した。法的な争いは終結したものの、一連の経緯が福原の社会的評価に与えた影響は小さくなかった。
冷ややかな視線の先にある再出発
今回の女性セブンプラスのインタビューで、福原は再婚相手との正式な交際開始は前夫との離婚成立後、2021年末以降であると説明している。また、再婚の決め手については、相手家族から「結婚して家族として歩んではどうか」と背中を押されたことが大きかったと語った。
再婚と妊娠のニュースは、日本のみならず中国や台湾でも報じられた。前夫の江も代理人を通じて「祝福」とコメントしているが、その言葉は「人の平安と幸福を祈る」という意味合いが強く、日本的な祝意とはやや異なるニュアンスを含むとされる。
国民的スターとしての輝かしい過去と、私生活での大きなつまずき。その両方を知る世間の視線は、今回の再婚報道にも重なり、どこか距離を保ったものとなっている。福原愛の再出発は、静かな祝福と消えない記憶が交錯する中で始まったと言えるだろう。



