
主力商品であるマヨネーズやタマゴ加工品から出る卵殻を、箸や鉢などのプロダクトへ再生し、環境負荷軽減と価値創造を両立させたケンコーマヨネーズの独自の挑戦に迫る。
廃棄物「卵殻」のアップサイクルでCO2排出量を削減
ケンコーマヨネーズは持続可能な社会の実現を目指し、主力製品の製造過程で発生する卵殻を再利用するアップサイクルへの取り組みを強化している。同社はマヨネーズやタマゴ加工品の生産に伴い排出される卵殻を、特殊な加工を経て箸 鉢 トレーといった新たなプロダクトに再生し 環境負荷の軽減と資源の有効活用を図っている。この取り組みの具体例として 約一年の歳月をかけて開発された卵殻配合の箸が挙げられる。卵殻を炭化し樹脂と混合したペレットを成形することで 従来の合成樹脂製品と比較してCO2排出量を削減できる利点を生み出した。現在この箸は自社工場の食堂で活用され 今後利用範囲を拡大する方針だ。また卵殻配合のエコ鉢は 希望する従業員に野菜栽培キットと共に配布され 環境意識の向上と廃棄物削減に繋がるCSR活動としても機能している。
加工業者との連携と「抗菌作用」という付加価値
同社の取り組みの独自性は単なる廃棄物削減に留まらない 付加価値の創造と工程を跨ぐ連携力にある。卵殻はその処理に特有の課題 卵殻膜の処理 匂いが伴う厄介な廃棄物であった。同社はこれらの課題を加工業者の特殊技術と高温処理によって解決した。さらに卵殻をアルカリ化させることで 卵殻由来の抗菌作用という衛生的な利点を新製品に付与することに成功した。例えば 箸やトレーへの活用はこの抗菌効果という機能性が後押しした形である。複数の業者を跨ぐ炭化 樹脂混合 成形といった一連の工程を円滑に進めるため 同社がハブ役となり 各協力業者間の調整に注力した点も多角的なアップサイクルを実現できた要因として特筆される。これは自社の生産工程の枠を超えて サプライチェーン全体で環境貢献を目指すという意志の現れと言える。
「心身と環境」への貢献を目指す哲学
このアップサイクルへの挑戦の背景には 同社が掲げる心身 こころ からだ いのち と環境 食を通じて世の中に貢献するという企業理念が深く根差している。主力製品の製造で生じる廃棄物を単にコストとして処理するのではなく 環境 社会 健康への貢献を指標としたサステナビリティ方針に基づき 環境負荷軽減と価値創造を同時に実現しようとする哲学が窺える。卵殻の再利用は 同社の事業の根幹である食を通じて 地球環境と人々の生活に貢献しようとする明確な意志の具現化に他ならない。従業員が参加するエコ鉢を活用したCSR活動も 環境への配慮を自分ごと化させる同社の企業文化を象徴している。
廃棄物を「資源」と見抜くビジネス視点
ケンコーマヨネーズの卵殻アップサイクルから現代のビジネスパーソンが学ぶべきは 廃棄物を資源 リソースと見抜く視点と サステナビリティを競争力に変える力である。多くの企業にとって廃棄物の処理はコストセンターとなりがちだが 同社はそれを機能性 抗菌作用 や新規性 エコプロダクト を備えた高付加価値素材へと転換させた。これは廃棄物処理コストの削減だけでなく 新しい製品カテゴリの創出や 環境意識の高い消費者 取引先への訴求力を高めることに繋がる。この取り組みは 今後の循環型経済 サーキュラーエコノミー を牽引する企業のモデルケースの一つとなるだろう。



