
複合プラスチックの焼却依存が続く日本で、循環型素材の台頭が現実味を帯びてきた。esa×京都大学大学院が共同研究成果を発表し、独自再生材「Repla」がCO₂排出を最大87%削減できることが明らかになった。ESG対応を支える素材転換の動きが加速する。
複合プラを「燃やさない」。esa×京大がReplaのLCA結果を発表、CO₂最大87%削減
プラスチックの適正なリサイクルが課題となるなか、esaは京都大学大学院総合生存学館およびエネルギー科学研究科との共同研究を進めてきた。その成果によると、同社独自の再生プラスチック「Repla」は、従来のバージンプラスチックに比べ製造工程におけるCO₂排出を約87%抑制。バイオプラスチック比でも約83%削減するなど、環境負荷を大幅に軽減できることが確認された。
再生材を50%混合した袋製造工程でもCO₂排出42%削減を実証。包装・容器分野を中心に、国内外での採用拡大が期待されている。
複合プラスチックをそのまま再生──独自技術「esa method」の強み
焼却や埋立に回される廃プラスチックの7割は複合プラとされる。性能向上と引き換えにリサイクルが難しく、資源循環のボトルネックとなってきた。
esaは複合樹脂を分離せずに溶解・圧縮し、そのままペレット化する技術「esa method」を開発。コスト面と品質面を両立させることで、従来見過ごされてきた廃材を価値ある材料へ転換する。未利用資源の活用力こそ、競争力の源泉である。
ESG・脱炭素時代の「サーキュラーマテリアル」 企業採用を後押しする科学的根拠
今回の評価は、京都大学研究チームがLCA(ライフサイクルアセスメント)を実施。最先端のデータベースを用い、地球温暖化係数、人発がん性毒性、化石資源枯渇など複数指標で効果を可視化した。
「数字で示せる」ことは、企業の意思決定を大きく促す。脱炭素の実効性を求められるESG経営において、素材転換の説得力はますます重要になる。
代表取締役の黒川周子氏は「今後の市場展開を後押しする大きな一歩」と述べ、実装領域の拡大に意欲を示す。
50%再生材でもCO₂42%削減 袋製造工程で実証された効果
LCA分析では、Replaを50%混合した袋製造工程において、Bio-PE比でCO₂排出を42%削減できると試算された。人発がん性毒性61%、化石資源消費61%の低減も確認されている。
包装材を扱う事業者にとって、環境負荷削減と実用性の両立を図れる選択肢が明確になった格好だ。国際市場でも求められる環境基準に応えやすい素材として注目度が高まる。
複合プラ循環の実装へ 資源循環を前提とした“設計思想”が産業を変える
再生材活用が進めば、製品設計段階から環境負荷を小さくする発想が求められる。複合プラを「使い捨て仕様」とする時代は終わりつつある。
esaは産学官との連携を深め、安定供給と品質保証の仕組みづくりに踏み込む構えだ。焼却依存からの転換は容易ではないが、循環を前提とした設計思想が広がれば、素材選択の基準そのものが変わる。
資源を未来につなぐ技術と市場が整いつつある。廃棄物を“次の資源”に変える循環の実装が、持続可能な経済の土台となっていく。



