
PFUブルーキャッツ石川かほくが、特産「高松ぶどう」を活用したスパークリングワインを完成させた。地域の歴史を未来へつなぎつつ、能登半島地震の復興支援も重ねた新たな地域創生プロジェクトとなる。
1100本限定『KAHOKU BLUE 2025』発売、能登半島地震復興ワインとして注目集まる
PFUブルーキャッツ石川かほくが、かほく市特産の「高松ぶどう」を使ったスパークリングワイン『KAHOKU BLUE 2025』の販売を開始した。1100本限定で、ホームゲーム会場と公式オンラインストアで販売する。
完成披露記者会見には、かほく市長、JA石川かほく、高松ぶどう生産組合、醸造を担当した輪島市のハイディワイナリー、そしてPFUブルーキャッツの代表が出席した。
地域の生産者とスポーツチームが一体となって手がけた取り組みとして、会場は温かな空気に包まれた。
さらに本商品は、令和6年能登半島地震の復興支援を深化させる意味を込め、被災地・奥能登のハイディワイナリーで醸造を依頼。収益の一部は義援金として寄付される。
“高松ぶどうのアップサイクル”で地域農業・スポーツ・デザインをつなぐ新モデル
『KAHOKU BLUE 2025』の強みは、単なる特産品活用ではなく、地域課題を統合する“共創型アップサイクル”にある。
高松ぶどうは100年以上続く地域の象徴だが、農家の高齢化や事業承継の課題が指摘されてきた。今回のワインづくりでは、通常は流通に乗らないぶどうも活かし、価値を再形成する仕組みとして成立している。
ラベルとパッケージデザインは、チームのクリエイティブディレクターであり、日本を代表するアートディレクター・秋山具義氏が担当。
地域色を象徴する“青”を主軸に、誇りを語り合える一本として設計された。
ホームゲームでの乾杯、旅の記念、地域の贈答品など多様なシーンを想定し、ワインがコミュニケーションの媒体として機能する点も独自性の一つだ。
PFUブルーキャッツが描く「地域密着の再定義」と被災地ワイナリーへの醸造依頼の理由
このプロジェクトの背景には、クラブが掲げる「地域と共に歩む」という姿勢がある。
関係者のひとりは会見後、「応援されるだけのチームではなく、地域の物語を一緒につくっていきたい」と語った。
農業の担い手不足、産業の継承、震災被害からの再建——これらを分断せず、一つのワインに“地域の時間”を内包する意図がある。
被災した奥能登のワイナリーに醸造を依頼したのも、その象徴だ。製造過程そのものが支援活動となり、復興への思いを商品に刻む構造が生まれている。
スポーツチームが「地域経済と文化の循環」に関与するアプローチとして、全国的にも稀有な実践といえる。
スポーツチームが地域産業を支える“共創型サステナビリティ”の可能性
『KAHOKU BLUE 2025』が示すのは、地方のサステナビリティが“連携の質”によって大きく変わるということだ。
スポーツ、農業、行政、クリエイティブ、被災地の醸造所。
異なる立場の主体が連携し、単独では生み出せない価値を共有することで、地域のストーリーは新たな意味を帯びる。
地域ブランドの再構築や事業承継、災害復興など、各地が抱える課題を一つのプロダクトに凝縮した今回の取り組みは、地方創生の先行モデルにもなり得る。
ワインの味わいだけではなく、“地域をつなぎ未来へ継ぐ一本”として、その存在感は今後さらに高まっていくだろう。



