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XENCE、金属3Dプリンターで未利用木材を再生する新建築モジュールを創出 WAAM技術で森林資源の循環に挑む

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XENCE、金属3Dプリンターで未利用木材を再生する新建築モジュールを創出 WAAM技術で森林資源の循環に挑む
提供:合同会社XENCE

建築ベンチャーのXENCEは、竹中工務店などと連携し、WAAM方式金属3Dプリンターを使った新たな建築モジュールを完成させた。未利用木材を生かし、地域資源とデジタル技術を結ぶ循環型建築の可能性を示した。

 

建築ベンチャーが挑んだ「森林資源×3Dプリンター」の実証建築

名古屋市の建築スタジオXENCE Architecture Studio(XENCE)は22日、竹中工務店とシモダフランジが共同開発を進めるWAAM方式金属3Dプリンターを活用し、実証建築「WOOD X NODE」の設計・施工を完了したと発表した。PR TIMESによると、金属3Dプリンターで造形したジョイントと、未利用の地方木材を組み合わせ、建築の地域性と多様性を取り戻す新しいモジュールを提示したという。

岐阜県に設置されたシェルターモジュールでは、3Dプリンター特有の自由曲面を生かした金属ジョイントが木材をつなぎ、従来とは異なる有機的な架構を構成した。

WAAM方式金属3Dプリンターが拓く建築スケールの可能性

建設業では近年、3Dプリンターが担う工程の幅が広がっている。中でもWAAM(ワイヤー&アーク付加製造)は、溶接技術を応用することで大型造形に対応でき、経済性にも優れるとされる。PR TIMESによれば、今回の実証では1辺50センチ前後のジョイントを20ピース製作し、実際の施工現場で組み上げた。

ジョイントの形状にはトポロジー最適化が導入され、必要な強度を保ちながら軽量化と施工性の向上を両立。XENCEは木材との接合精度を高め、多素材を前提とした新たな建築構造を構築した。

廃棄される“ミミ材”を建材へ再生 地方林業との連携が生む価値

 

木材は三重県熊野市の製材業者nojimokuと連携し、通常は廃棄される三日月状の周辺部材(ミミ材・チップ材)を採用した。製材工程で弾かれる副産材は、改めて建材としての用途が乏しかったが、3Dプリンター製ジョイントを介すことで用途が拡張された。

PR TIMESは、この取り組みが森林循環型社会の一端を形成すると指摘する。大量生産・標準化が前提の都市建築に対し、地域資源を前提とした小ロット生産を可能にするデジタルファブリケーションは、地方林業の新たな販路にもなる。

デジタルがつなぐ林業と建設 “分断されてきた産業”の再編へ

XENCE、金属3Dプリンターで未利用木材を再生する新建築モジュールを創出 WAAM技術で森林資源の循環に挑む

3Dプリンターを軸にした設計・施工は、素材の個体差が大きい木材をむしろ個性として扱い、多様性を許容する建築モデルをつくる。XENCEは、ばらつきに応じたジョイントの最適設計、小人数での組立による効率化などを実証した。

これまで林業・製材・建設は独立したサプライチェーンとして動いてきたが、デジタルを介することで直結できる可能性が浮かび上がる。地方産業の再編と、建築の個別対応を両立させる構図は、建設業の構造変革にもつながる。

3Dプリンターがつくる新たなサーキュラーエコノミー像

今後XENCEは、解体材や古民家の廃材から新たな建材を創出する実装へ踏み出す。現地ごとに形状の異なる梁や柱の継ぎ手を3Dプリンターで補い、新しい架構へ再設計する構想も進む。PR TIMESによると、木造密集地向けのシェルター計画など、複数のパイロットプロジェクトで展開を検討しているという。

循環型建築は、地域産業の自立と資源再生を同時に促す。XENCEは「3Dプリンター×建設業」を核に、地方創生、産業構造改革、SDGs対応の実装を進めようとしている。デジタルと地域資源が交わる点に、建築の未来を再設計する契機が見えてくる。

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サステナブル情報を紹介するWEBメディアcokiの編集部です。主にニュースや解説記事などを担当するチームです。

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