
サッカー日本代表として飛躍を続ける中村敬斗選手(25)が、フランスでのプレー中にまで追跡される深刻なストーカー被害に遭っていた。
11月14日、千葉県警はストーカー規制法違反の疑いで、埼玉県在住の川野美由紀容疑者(65)を逮捕。国際親善試合の帰国直後に執拗なメッセージが送られていたとされ、人気上昇中の若手アタッカーに降りかかった異常事態の全容を追った。
川野美由紀容疑者(65)逮捕 SNSでの執拗なメッセージが発端に
11月14日、千葉県警がストーカー規制法違反で逮捕したのは、埼玉県在住の川野美由紀容疑者(65)。全国紙社会部記者によると、川野容疑者は自らをフリージャーナリストと名乗り、中村敬斗選手に対しSNSのダイレクトメッセージを複数回送信していたとされる。
11月9日から10日にかけ、性的関係を要求する内容のメッセージが送られた疑いが持たれているが、容疑者本人は「記憶にありません」と否認している。
これらのメッセージは、中村選手がガーナ代表との国際親善試合に出場するため帰国した直後のタイミングで送られており、動向を把握した上での接触だった可能性が浮上している。
フランスまで“2〜3回渡航”の異常行動 現地警察も関与した追跡の深刻度
ストーカー行為は国内にとどまらなかった。スポーツライター藤江直人氏は、中村選手が報道陣を前に明かした内容をこう語る。
「川野容疑者と直接面識はなかったようですが、所属クラブのスタッド・ランスが本拠地とするフランス北部ランスに、彼女が2〜3回来ていたことを示唆する発言がありました。本人はかなり恐怖を覚えていたようです」
中村選手はフランスの警察にも相談し、容疑者は現地で一度拘束され釈放されていた。
それでも被害が止まらず、千葉県我孫子市出身の中村選手の関係者が10月中旬に我孫子署へ相談。今回の逮捕に繋がった。
代表での活躍と急上昇する人気 その裏で芽生えていた危険の影
2023年3月にA代表としてデビューした中村敬斗選手(1999年7月28日生まれ、25歳)は、爆発的な成長を遂げているアタッカーだ。三菱養和SCからガンバ大阪に加入した後、オーストリア・LASKリンツを経てフランスのスタッド・ランスへ移籍。切れ味鋭いカットインと正確無比なシュートを武器とし、“シュートの魔術師”の異名も得ている。
今年10月のキリンチャレンジカップではブラジル代表を相手に同点弾を叩き込み、一躍脚光を浴びた。来年のW杯代表でも主力として期待されている。
端正な顔立ちからファン層は幅広く、今年6月には私服カットも収めたフォトブックを出版するなど、人気はさらに加速していた。
しかしその分、SNSを通じた不特定多数との接点が増え、今回のようなリスクが生じやすい環境にあったのも事実だ。
SNSに残された“異常な愛情表現”とSNS時代の著名人リスク
NEWSポストセブン取材班は、川野容疑者のものとみられるSNSアカウントを確認している。投稿のほとんどは中村選手の名前や写真と共に、強い思い込みを感じさせる内容が綴られていた。
〈あなたのおかげで幸せです。敬ちゃんが一生懸命プレーする姿を見て感動しました〉
〈一日も早く私たちの婚姻届を一緒に出しに行けることが本当に嬉しい〉
〈愛が深まり結婚できる日が近づいて幸せです〉
フランスの街並みと思われる写真に「今日はここで待っています」と添えた投稿もあり、行動を把握し接触を試みる意図がはっきり読み取れた。
さらに中村選手のSNS投稿に対し、女性のアカウントから大量のハートマークが返信されていたことも確認されている。
ストーカー犯罪に詳しいジャーナリストはこう指摘する。
「著名人のSNSは“生活の一部”が可視化されるツールです。何気なく写った背景から居場所を特定され、実際に訪れるケースは増加しています。今回のように海外まで追跡される例は危険性が非常に高いと言えます」
SNSの利便性が、同時に著名人を危険にさらす“入口”となる現実が浮き彫りになっている。
若き才能が安心してプレーできる環境へ
今回の逮捕は、あくまで深刻な被害の一端が法的措置により可視化されたにすぎない。
世界で戦う若い才能が、競技と関係のない不安要素に悩まされる状況は、スポーツ界全体の損失だ。
中村敬斗選手は、日本代表の未来を担う存在として期待されている。
その実力を最大限に発揮するためには、ファンやメディア、社会全体が選手の安全確保に対する意識を高め、リスク管理の重要性を共有する必要がある。



