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インフルエンザ流行拡大 子どもの異常行動はなぜ起きる?原因・症状・予防接種の効果まとめ

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子どもの異常行動
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インフルエンザ感染と子どもの異常行動 原因の最新知見と予防接種の意義 流行拡大に伴い、対策の再点検を

11月18日の民放報道によれば、今年はインフルエンザ感染の広がりが例年より早い。東京都内では療養中の小学生が転落する事故があり、厚生労働省は発熱後二日以内に起きやすいとされる「子どもの異常行動」に注意を呼びかけている。専門家は「原因は抗インフルエンザ薬ではなく、感染そのもの」と指摘し、熱が下がっても安心はできないとしている。

インフルエンザ感染下の異常行動とは

急に走り出す、窓やベランダに近づき外へ出ようとする、意味不明な言動や混乱が突然起きることがある。こうした行動は事故に直結する危険性が高い。
厚労省の注意喚起でも、発熱後二日以内に多いとされ、全国の家庭や教育現場に警戒が求められている。

原因は感染そのものが引き起こす「脳機能の一時的な障害」

かつては抗インフルエンザ薬との関連が議論されたが、複数の疫学研究の結果、服用の有無にかかわらず異常行動が生じ得ることが示されている。厚労省は、インフルエンザそのものによる症状である可能性が高く、薬の有無や種類にかかわらず注意が必要との立場を示している

医学的に分かってきた“4つ”の背景

原因何が起きているか特徴/例
①高熱による一時的な脳の混乱(せん妄)脳の認知機能が乱れ、現実との境が曖昧になる徘徊、急に立ち上がる、混乱、奇声
②サイトカイン過剰(過度の免疫反応)ウイルス排除への反応が強まり、脳浮腫などが起こり得る会話不能、反応低下、激しい興奮
③子どもの脳の未成熟性危険予測・衝動抑制が不十分飛び降り、外へ走り出す
④発熱初期のリスク増大免疫反応と高熱がピークに発熱後2日以内に多発が確認

脳の「危険回避」の機能が抑えられ、衝動的な行動に結びつきやすいことが、事故の背景となる。

危険サインと家庭での対策

次の症状がある場合は、早期相談・受診が必要になる。

  • 呼びかけへの反応が弱い、視線が合わない
  • 危険な行動が止められない
  • 意識がもうろうとしている
  • けいれんが続く、または繰り返す

厚労省は、小児・未成年者がインフルエンザと診断された場合、治療開始から少なくとも二日間は一人にしないこと、窓や玄関を施錠し、高層階ではベランダに面していない部屋や1階で療養させることなどを求めている。

都道府県別流行状況

厚労省と国立感染症研究所のまとめによると、2025年第45週の定点医療機関当たり報告数は全国平均21.82人で、前週の14.90人から1.46倍に増加した。都道府県別では、宮城47.11人、埼玉45.78人、神奈川36.57人など、東北・関東の複数県で警報レベルとされる30人を超えている。

その後、埼玉県では第46週に定点当たり70.01人とさらに急増し、県は詳細な警戒情報を公表している。

インフルエンザ予防接種の効果

厚労省の資料によると、

  • 65歳以上の高齢者施設入所者では、発病を34〜55%、死亡を82%阻止
  • 6歳未満の小児では、発病防止に対する有効率は約60%

と報告されている。

ワクチンは発症そのものを完全に防ぐものではないが、入院や死亡などの重症化リスクを大きく下げる点で「最後の防波堤」と位置付けられる。

予防接種の費用と制度

インフルエンザワクチンは任意接種で、一般成人の自己負担は多くの医療機関で1回3000〜5000円程度が相場とされる。

65歳以上などの高齢者については、多くの自治体が助成を行っており、自己負担は1000〜2000円程度に抑えられるケースが多い。

接種者数(使用量)の推移と課題

日本感染症学会の資料では、2024/25シーズンのインフルエンザワクチン使用量は2307万本(供給量2722万本)で、2010/11シーズン以降最も少ない水準となったと報告されている。65歳以上の接種率は54.6%にとどまり、十分とは言い難い。

この学会報告によると、2024/25シーズンの日本は、定点当たり報告数のピークが64.39と、1999年の現行体制以降で最大規模の流行となった。その背景要因の一つとして、ワクチン接種率の低下と、使用量の少なさが指摘されている

事故を防ぐ「社会の安全網」としてのワクチン

インフルエンザは、感染そのものが子どもの脳機能を一時的に乱し、異常行動や脳症の引き金になり得る。異常行動そのものを完全に防ぐ薬は存在しないが、感染者を減らし、重症化を抑えるワクチンは、結果として事故のリスクを間接的に下げる。

流行の早期化と接種率の低下が同時に進む中で、予防接種は個人の「自己防衛」を超え、社会全体で子どもの安全網を厚くする行為といえる。
保護者、教育現場、医療機関、自治体が役割を分担しながら、異常行動による事故を一件でも減らすための備えが問われている。

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SHOEHORN くつべらマン

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児童養護施設の職員。特に中学~新卒年齢の若者の生活・医療・福祉・自立支援に従事している。勤務時間外では、様々な職業の方へ取材活動を実施しており、大人になる若者たちへ情報を提供している。

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