
MINI宮崎で行われたアップサイクルワークショップに40名が参加した。廃ペットボトルキャップを100%原料に再生し、MINIロゴのキーホルダーを制作。つくる体験を通じて、循環の価値を生活の延長線で捉える試みが広がった。
廃プラを“資源”に変えるMINI宮崎の体験型イベント
NPO法人唐津Farm&Food(Precious Plastic 唐津)は、MINI宮崎ショールームで「サーキュラエコノミーワークショップ」を開催したと発表した。廃ペットボトルキャップを素材に、参加者が射出成形機で“MINIロゴキーホルダー”を制作するアップサイクル体験が中心となった。当日は親子連れやMINIオーナー、学生など約40名が参加したという。
プラスチックが溶け、型に流し込まれ、ロゴとして姿を変えていく過程を目の前で確かめる時間は、資源循環を具体的に理解できる貴重な機会となった。身近な廃材が“資源”として再び活かされる瞬間を共有し、参加者同士の会話も自然と深まっていった。
キーホルダー製作で体感するアップサイクルのリアル
ワークショップでは、回収されたキャップを粉砕し、色を選び、成形機に投入する一連の工程を自ら体験した。工程がシンプルで年齢を問わず参加しやすい点が好評で、親子が並んで機械を覗き込む姿もみられた。
完成したキーホルダーを手に記念撮影する参加者の表情には、自分の手で循環をつくり出した実感が宿っていた。プラスチックの再資源化は、専門的な設備に頼るだけでなく、誰でも参加できる「小さなアクション」であることを示した形だ。
MINIの“BIG LOVE ACTION”と重なる循環へのまなざし
MINIが掲げる「BIG LOVE ACTION powered by MINI.」は、身近なアイデアから未来を育てるという思想を軸にする。廃プラスチックに新たな役割を与える今回の取り組みは、その理念と自然に重なった。
Precious Plasticの仕組みは、オランダ発のオープンソース型循環システムで、唐津Farm&Foodはこれを地域に根ざした形で運営している。回収・粉砕・再成形の工程を地域で完結させる活動は、MINIの“小さな一歩を積み重ねる”姿勢と強く響き合う。
双方が掲げる価値観は異なるようでいて、未来を「自らつくる側」に人々を引き込む点で共通している。
ショールーム×ものづくりが生む新しい地域参加モデル
廃プラスチックを素材にしたワークショップは、ブランド体験の場でもあるショールームと高い親和性を持つ。参加者が手を動かすプロセスは、車のデザインや世界観に触れる時間とも調和し、従来の展示とは異なる関係性を築いた。
唐津Farm&Foodが提供するプログラムは、素材や色、形などの調整が可能で、地域性や店舗の空気感に合わせた企画構築が大きな特徴だ。今回の宮崎での開催は、こうした柔軟性を生かし、地域の環境教育とブランド体験を結びつける試みとして位置づけられる。
未来へ静かに広がる“つくる循環”の輪

会場では、再生プラスチックを使ったクリスマスオーナメント作りも行われ、参加者は願いを書き込んでツリーに飾った。オーナメント作りはショールームで継続開催され、来場者が季節とともにアップサイクルに触れられる仕組みが整えられている。
また、唐津南高校の卒業生がスタッフとして参加し、地域とブランドのつながりが自然に生まれた点も印象的だった。唐津Farm&Foodは大阪・関西万博のBLUE OCEAN DOMEでワークショップを行うなど、国内アップサイクルの先進事例として注目されている。宮崎で生まれた“小さなアクション”が、全国へ静かに広がる可能性を示したと言える。



