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松本人志「DOWNTOWN+」登録者50万人突破 開始20日で急成長、年商70億円規模の可能性も

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DOWNTOWN+
DOWNTOWN+(ダウンタウンプラス)公式インスタグラムより

11月1日夜9時。暗いスタジオに柔らかな照明が戻り、松本人志が姿を現した瞬間、長い沈黙が破れた。

活動休止から約1年10か月。ファンの視線が一斉に画面に吸い寄せられたその夜、復帰の舞台となった「DOWNTOWN+(ダウンタウンプラス)」は、開始20日で登録者50万人を突破したという。

だが、この数字が意味するのは単なる人気の証明ではない。読者の財布感覚に引き寄せて試算すれば、このサービスが生み始めている“経済圏”の大きさが見えてくる。

 

 

11月1日の夜、スタジオに戻ってきた松本人志

11月1日。画面越しに見えるスタジオは、どこか緊張した空気に包まれていた。
暗がりの奥に待機していた松本人志が歩み出ると、わずかな間をおいて拍手と歓声の波が押し寄せた。生配信のコメント欄にも「おかえり」「待ってた」「泣いてしまいそう」といった言葉が流れ続け、そのスピードは一時的に視認できないほどだった。

約1年10か月の休止を経た復帰は、ファンにとって“瞬間を共有すること自体が価値”になるイベントだった。DOWNTOWN+は10月24日の事前登録開始から20日で加入者が50万人を超え、その背景には復帰をリアルタイムで見届けたいという熱量が確かに存在する。

松本は生配信で飾らない笑みを見せながら、自身の休止期間や今後の構想を語った。その姿は、テレビよりも距離が近く、どこか素の表情に近いものだった。ファンはその空気ごと受け取りたくて、DOWNTOWN+に集まっているのだと感じさせた。

 

年齢を超えて“50万人”が集まった理由

加入者の中心は40〜50代だが、20代の若いユーザーも少なくない。テレビで育った世代と、ネットでダウンタウンを知った世代。その両者が同じ場所に集まる現象は、これまでのバラエティ文化ではあまり見られなかったものだ。

SNSでは、熱狂と同時に冷静な視点も散見された。「お試し感覚で登録した人も多いはずだ」「半年後、一年後にどこまで維持できるのかが本当の勝負だ」という意見もある。いわば、初期の登録者には“熱心なファン”と“様子見の視聴者”が混在している状況だ。

それでも、わずか20日で到達した50万人という数字は異例である。その一部は、復帰という瞬間を共有したいという感情に突き動かされて加入した人もいただろう。しかし、サービスの更新頻度やコンテンツ内容に触れ、続ける価値を見出し始めている人々も確実にいる。

こうした熱量の分布が、DOWNTOWN+が持つ潜在力を示している。

 

登録者50万人が生む“経済圏” 

ここで、一度立ち止まり、読者の財布感覚に寄せてDOWNTOWN+の規模を捉え直してみたい。
月額1100円という料金は、Netflixより高く、Amazonプライムビデオよりも高い。だからこそ、「どれだけの人が実際に支払ったのか」という数字には、より重みがある。

登録者が50万人。その全員が月1100円を支払ったと仮定すると、単純計算で月5億5000万円、年間66億円に到達する。これはもはや芸人個人の企画というスケールではなく、中堅企業一社に匹敵する売上規模だ。地方のテレビ局ひとつの年間売上に肩を並べるほどの金額でもある。

実際には、年間プランを選ぶユーザーも一定数いるため、月換算すれば一人当たりおよそ917円になる。その場合でも、年間55億円前後の売上が見込まれることになる。サービス開始からわずか数週間で、ひとつの新しいメディア産業が立ち上がった計算だ。

さらに、松本の相方・浜田雅功が本格的にコンテンツへ参加すれば、登録者が追加で数十万人伸びる可能性もある。「ダウンタウン2人が揃う」という価値は、長年ファンを続けてきた層には計り知れない響きを持つ。もしも登録者が100万人に達した場合、売上は年間132億円を超える。これは、もはや独立した放送局のような規模になり、吉本興業全体のビジネス構造すら変えかねない影響力を持つことになる。

こうした試算を踏まえると、DOWNTOWN+は単なる配信サービスではなく、笑いの経済圏として拡大しつつあると言える。その渦の中心に松本人志が立っているという構図は、テレビ時代にはなかった新しい形の影響力だ。

 

割高なのになぜ人が集まる? ファン心理と“ここでしか見られない距離”

月額1100円という金額は、他の大手配信サービスと比べれば決して安くはない。しかし、加入が伸び続ける理由は、単に松本の復帰という話題性だけではない。

ひとつは、視聴者が“直接推しにお金を払う”感覚に移行していることだ。テレビは無料で届けられるものだったが、今の視聴者は「好きなものに払う」ことに抵抗がなくなっている。ダウンタウンのように30年以上笑いを作り続けた存在に対して、1100円を払うことにむしろ納得感を覚える層がいる。

また、DOWNTOWN+のオリジナル番組には、テレビでは見せない松本の表情がある。たとえば、餃子を作りながら小峠英二と談笑する番組回では、松本が椅子から落ちそうなほど笑い転げる姿が映っていた。普段のMC松本とは違う自然体の空気が視聴者を惹きつけ、SNSには「こういう距離感が見たかった」という声が溢れている。

こうした、ここだけの空気への期待が、DOWNTOWN+を継続視聴する理由になっている。

 

地上波ではできない企画をどこまで突き詰めるのか

一方で、このサービスの今後を占ううえで、自由度という要素が大きな意味を持つ。地上波ではコンプライアンスの問題で企画が差し替わるケースが増え、バラエティの作り手たちの間には「テレビではもう攻めた笑いが作れない」という不満が広がっている。

DOWNTOWN+は、そうした制約から距離を置いた新しい実験の場として期待されている面もある。“古き良きバラエティー”を現代版にアップデートしながら試せる環境は、制作陣にとって魅力的なはずだ。

しかし、自由であることは同時にリスクでもある。現代の視聴者は、法的に問題のない内容でも、倫理的な違和感があればSNSを通じて批判し、炎上につながることも多い。DOWNTOWN+は、そのバランスをいかに保つかが試されるフェーズに入っている。

 

本当の勝負は“これから”始まる

開始から20日で50万人という数字は、たしかに衝撃的だった。しかし、サブスクの世界では“初速”よりも“継続率”こそが最も重要だ。

ある視聴者はこう言う。「いまはオープン直後の熱気があるからいい。でも、本当に大事なのは1年後や3年後だ」。
その言葉のとおり、動画配信サービスが生き残るには、常に新しい面白さを提供し続けなければならない。

松本人志の構想、浜田雅功の合流、そして新たなオリジナル番組の展開。
DOWNTOWN+が描く次の一手が、この巨大なファンコミュニティをどこまで広げられるかを決める。

復帰を支えた50万人の視線は、すでに次の展開に向かっている。

 

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ライター:

広告代理店在職中に、経営者や移住者など多様なバックグラウンドを持つ人々を取材。「人の魅力が地域の魅力につながる」ことを実感する。現在、人の“生き様“を言葉で綴るインタビューライターとして活動中。

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