
ソフトバンクグループの孫正義会長が主導する形で、韓国の主要財閥トップらが米フロリダでトランプ大統領と会合したことがわかった。韓国メディアの中央日報によると、18日にフロリダ州パームビーチのトランプ・インターナショナル・ゴルフクラブでゴルフ会合が行われ、サムスン電子の李在鎔(イ・ジェヨン)会長、SKグループの崔泰源(チェ・テウォン)会長、現代自動車グループの鄭義宣(チョン・ウィソン)会長、LGグループの具光謨(ク・グァンモ)会長、ハンファグループの金東官(キム・ドングァン)副会長らが出席したという。
孫氏が企画、トランプ氏も参加
会合は南アフリカ出身のプロゴルファー、ゲーリー・プレーヤー氏の90歳の誕生日を祝う目的で行われたとされるが、中央日報によれば、トランプ大統領と親交が深い孫正義氏が企画した行事だという。
トランプ氏は午前9時過ぎにマールアラーゴを出発し、ゴルフ場に到着後、夕方に再び私邸に戻った。参加者の詳細な組み合わせや会話内容は公表されていない。ホワイトハウスは「確認を控える」とコメントし、現場は厳重な警備が敷かれていた。
一方、韓国の経済紙・聯合ニュースは15日の時点で、孫氏が韓国財界トップを米国に招いたことを報じていた。会合の主な議題は、ソフトバンクグループが米オープンAIなどと進める人工知能(AI)インフラ整備計画「スターゲート」に関する協議とされる。
「スターゲート」構想と対米関税交渉
「スターゲート」は、AI開発に不可欠な半導体・電力・データセンターを結ぶ広域インフラ構想で、サムスン電子やSKグループはすでに協力を表明している。両社は半導体メモリー「DRAM」の供給やデータセンター建設でソフトバンクと連携し、オープンAIのサム・アルトマンCEOとも連携関係を構築している。
今回の会合では、この構想に関連する投資計画のほか、韓国政府が進める対米関税交渉の支援も話し合われたとみられる。韓国政府は同時期、金容範(キム・ヨンボム)政策室長や金正官(キム・ジョングァン)産業通商部長官がワシントンで交渉の最終協議に臨んでおり、財界トップらの訪米はこれに合わせたものとみられる。
韓国側は、米国による関税引き下げと引き換えに総額3,500億ドル(約52兆9,000億円)の対米投資を進めており、今回の会合は投資の細部調整や米政府への説明の一環だった可能性がある。
孫正義氏の米政界人脈と再始動
孫氏とトランプ氏の関係は古く、2016年の大統領選後にも両者は会談している。孫氏はその際、米国内での雇用創出を掲げた投資計画を発表しており、AI・半導体を軸に再び米国との連携を強化している。
今回のフロリダでの会合は、孫氏が主導するAIインフラ事業と、韓国勢の産業政策が重なる形で行われた。トランプ政権2期目の対アジア戦略や、経済安全保障の枠組みづくりにも影響を与える可能性がある。
現地ではトランプ支持者が車列を歓迎するなど、政治的な注目度も高かった。トランプ氏はこの後、マールアラーゴに滞在し、19日夜にワシントンへ戻る予定だという。