
韓国の人気ガールズグループ aespa(エスパ)の有明公演で「車椅子の人が立ち上がった」との投稿が拡散し炎上。実際には立てる障害者も多く、SNSでは誤解や偏見への指摘も。中国では健常者の車椅子レンタルやヘルプマーク悪用問題も発生。モラルと理解が問われる時代に。
「車椅子の人が奇跡を起こして立ち上がった」投稿が拡散し炎上
10月11日、韓国の人気ガールズグループ aespa(エスパ)が開催した日本ツアー・有明アリーナ公演をめぐり、SNS上で思わぬ炎上が起きた。
発端となったのは、「車椅子のファンがライブ中に立ち上がった」という一件の投稿だった。
X(旧Twitter)に投稿されたのは、ライブ後の観客の感想だった。
「今日の有明aespaエグすぎて車いすの人が奇跡起こして目の前で立ち上がったらしいの草すぎるWWWWWWWW」
投稿は瞬く間に拡散し、数千件以上のリポストを集めた。
投稿者は後にこう補足している。
「普通に立てないくらいの重い病気ならガチで奇跡起こしてるし、軽い病気ならそれはそれで全然いいし、何はともあれ車椅子席取るくらいの人が立ち上がるくらいaespaエグいってことだわな😎
もし偽ってるなら、、誰かがその内シバいてくれるでしょう🌝」
ライブの熱気を称える「ネタ投稿」のつもりが、「障害を偽装して車椅子席を取ったのでは」といった疑念を助長する内容として波紋を呼んだ。
「立てる車椅子利用者もいる」SNSでは冷静な意見も
一方で、コメント欄には冷静な意見も多く寄せられた。
「マジレスすると車椅子は一切立てない歩けない人だけじゃなく少ししか歩行したり自立できない人も使うから柵に掴まり立ちすることは奇跡でも不思議なことでも無いです」
「数分だけ立てるとか数歩歩くことはできるとかの車椅子の人もいるでしょ 片足骨折の人も少しは立てるし」
「ずっとたってられないとか、無理すれば杖で歩けるけど車イスのほうがいい人もいますもんね。車いすテニスの人も杖で歩ける人もいますし」
身体障害と一口に言っても、その程度や症状は千差万別だ。
つまり、「立ち上がった=健常者」ではないということだ。
身体障害の程度は人それぞれであり、立つことができる車椅子利用者も少なくない。
今回の投稿は、障害の多様性への理解を欠いた偏見のように感じたユーザーもいたようだ。
“偽装”車椅子利用やヘルプマーク悪用問題は中国でも炎上
しかし一方で、車椅子や障害者サポートを“偽装利用”する問題は海外でも議論を呼んでいる。
中国・上海ディズニーランドでは、健常者の観光客が「疲れるのが心配」として車椅子をレンタルし、優先レーンを使ったことで批判が集中。
さらに、中国の一部旅行代理店では、「身体障害者用のヘルプマークを持って観光すると親切にされる」として、観光客向けにヘルプマークを配布していたという噂も拡散している。
こうした“モラル崩壊”とも言える事例は、本当に支援を必要とする人の権利を奪う行為として社会問題化している。
“善意の炎上”が招く誤解、求められる想像力
今回のaespa有明アリーナ公演の一件は、「障害者を偽装する人がいるのでは」という不信感と、「障害の多様性を理解しない偏見」の両方が衝突した形だ。
SNSでは善意のつもりで放った言葉が、当事者を傷つけたり、誤解を生むことがある。
バリアフリー社会が進む一方で、本当に必要な支援を受ける人が肩身の狭い思いをしないためにも、支援の“見た目”だけに頼らない理解と想像力がより一層求められている。