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渋谷区「迷惑ハロウィーン禁止」へ。過去の混乱から学ぶ2025年の徹底対策

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渋谷 ハロウィーン
DALLーEで作成

東京・渋谷区が2025年のハロウィーン対策を発表した。区長・長谷部健は今年のキーワードを「禁止だよ!迷惑ハロウィーン」と掲げ、例年課題となってきた路上飲酒やゴミの放置、暴行などの迷惑行為を断固として排除する方針を示した。渋谷はいつの間にか日本のハロウィーンの代名詞となり、仮装姿の若者や訪日外国人が集まる一大スポットと化してきたが、その裏ではトラブルが頻発してきた歴史がある。

 

 

渋谷とハロウィーンの歴史

渋谷のハロウィーンが全国的に注目を集めるようになったのは2010年代半ばだ。ハチ公前やセンター街に若者が集まり、仮装して写真を撮り合う光景がニュースで取り上げられたことで一気に拡大した。当初は「自由で楽しいイベント」と受け止められていたが、やがて路上飲酒、ゴミの大量放置、暴走車両や器物破損など、マイナスの側面が目立つようになった。

2018年にはセンター街で軽トラックが横転させられる事件が発生し、街の安全が大きな社会問題として浮上。2022年には韓国・梨泰院で雑踏事故が起き、多数の死者を出したことも記憶に新しい。群衆事故の恐ろしさが国際的に認識されたことで、渋谷区も「放置すれば同じ惨事が起こりうる」と警戒を強めてきた。

2023年には「渋谷は、ハロウィーンをお休みします」という異例の呼びかけを行い、区として来街を控えるよう求めた。2024年も引き続き規制を強化し、夜間の路上飲酒を条例で禁止するなど、強い姿勢を打ち出した経緯がある。

 

2025年の新たな取り組み

2025年のハロウィーン当日は金曜日に当たり、多くの人出が予想される。そこで区が発表した具体的な対策は次の通りだ。

<ハチ公像の仮囲い>

渋谷の象徴であるハチ公像は人々の撮影スポットとして常に人だかりができる。今年は10月30日夕方から11月1日朝まで、像を仮囲いで覆い隠す。目的は像の保護と人流整理であり、期間中はハチ公像そのものを見ることができない。

<路上飲酒と酒類販売の規制>

夜間の路上飲酒は条例で禁止されているが、さらに今年は10月31日18時から翌朝5時まで、渋谷駅周辺の58店舗に対し酒類販売の自粛を要請する。喫煙所も閉鎖され、公共空間での飲酒・喫煙はほぼ不可能となる。

<電動キックボードの停止>

急増するシェア型電動キックボード「LUUP」による走行も、混雑した街中では事故の危険が高い。そこで10月30日夕方から11月1日朝まで、渋谷駅周辺のLUUPポートは貸出・返却を全面停止する。

<警備体制の強化>

31日夜から翌朝にかけて警備員125人を配置。さらに3日間で延べ90人の区職員が啓発活動に従事する。警察と連携して交通規制も実施し、場合によっては公共交通機関や歩行者の導線を変更する可能性もある。

 

外国人観光客への対応

ハロウィーンの渋谷には訪日外国人が数多く集まる。ここ数年は軽い仮装ではなく、本格的なコスプレ衣装で参加する人が増え、SNS映えを求めて人の流れが集中する傾向が見られる。区は今年から英語に加え、中国語、韓国語を併記したポスターを作成し、多言語での注意喚起を強化する。海外メディアにも協力を要請し、国際的にも「渋谷での迷惑行為は受け入れない」という姿勢を明確にする。

 

区長の強いメッセージ

長谷部区長は会見で「迷惑ハロウィーンをする方は来ないで欲しい」と繰り返した。良識ある楽しみ方をする人と、騒動を引き起こす人をはっきり分ける狙いだ。区は「親子の仮装パレードや家庭でのイベントは歓迎する」としつつ、渋谷という街そのものを「騒ぎの場」として利用する行為を否定している。

 

迷惑ハロウィーンからの脱却は可能か

渋谷のハロウィーンは、もともと企業主催のイベントではなく、自然発生的に人が集まり成長してきた。そのため主催者不在の「場」が混乱を招いてきたともいえる。区の規制が強まる一方で、他の地域や商業施設では子ども向けイベントや仮装パレードが拡大しており、楽しみ方は多様化している。

2025年の渋谷は、象徴的なハチ公像すら姿を隠し、酒も電動キックボードも規制される。もはや「お祭りの場」ではなく「来ないでほしい街」として発信しているのが現状だ。かつては自由さが魅力だった渋谷のハロウィーンが、いまや厳格な規制の象徴へと変わりつつある。

 

渋谷のハロウィーンはどこへ向かうのか

「楽しいハロウィーンは家庭や地域で」。渋谷区の呼びかけは、かつての自由で開放的なイメージとは対照的だ。雑踏事故や迷惑行為を防ぐため、象徴であるハチ公像さえ仮囲いで覆い隠す今年の対策は、街を守るための強い意思の表れでもある。
2025年の渋谷は「騒ぎに来る場所ではない」という姿勢を鮮明にした。迷惑ハロウィーンからの転換点となるのか、それともさらに規制を強化せざるを得なくなるのか。その答えは10月31日の渋谷の光景に示されるだろう。

 

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ライター:

広島県在住。福岡教育大学卒。広告代理店在職中に、経営者や移住者など様々なバックグラウンドを持つ方々への取材を経験し、「人」の魅力が地域の魅力につながることを実感する。現在「伝える舎」の屋号で独立、「人の生きる姿」を言葉で綴るインタビューライターとして活動中。​​https://tsutaerusha.com

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