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広島カープ・新井監督が来季続投決定 2年連続Bクラスからの逆襲へ「麦のように頑張る」

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新井貴浩監督
新井貴浩監督 公式インスタグラムより

マツダスタジアムのグラウンドに、新井貴浩監督が姿を現した。9月の終盤、雲が垂れ込める空の下で行われた全体練習。キャッチボールを交わす若手選手を前に、指揮官の表情はどこか吹っ切れたように見えた。すでにチームは2年連続のBクラスが確定している。それでも来季続投が決まり、4年目へと歩を進める決意を固めた。

 

オーナーの信頼は揺らがず

24日、球団は新井監督の来季続投を事実上決定した。契約は単年だが、就任当初から「5年を基本路線」と位置づけており、その方針に変わりはない。松田元オーナーは「成果を必ず出してくれると思っている」と力を込め、信頼を強調した。

今季は59勝74敗5分け(24日時点)。勝率5割に届かず、クライマックスシリーズ進出争いからも早々に脱落した。しかし、オーナーは「若い選手を積極的に使う姿勢は見えた。次世代の核になりそうな選手が出てきている」と評価する。

 

若手の台頭と育成の手応え

3〜5年後を見据えた育成路線。中村奨成はプロ8年目でようやく存在感を放ち、小園海斗は首位打者争いに名を連ねるまでに成長した。ドラフト1位ルーキーの佐々木泰も非凡な打撃センスを披露。投手陣では社会人出身の森翔平がローテーションを完走し、玉村昇悟も自己最多勝利をマーク。さらに2年目の常広羽也斗や高太一も夏場以降の一軍で経験を積んだ。

一方で、一部主力の不振や、勝ちパターンを担う投手の伸び悩みも明白だった。松田オーナーは「下(2軍)から十分に送り出せず、監督にとって残念なことだったと思う」と語り、現場への理解を示した。

 

「情がありすぎる」OBの指摘

ただ、球界OBからは手厳しい声も上がる。元大洋ホエールズの内野手で解説者の高木豊氏は、自身のYouTubeでこう語った。
「新井は人柄が良くてナインを家族のように思っている。それは素晴らしいことだが、勝負事では情が邪魔になる。采配に徹しきれない場面が多かった」

昨年は9月に20敗を喫し、今季も6連敗を含む5勝13敗と失速。シーズン終盤の弱さはファンにとっても悔しい現実だ。高木氏は「もう一度勉強し直して戻ってくるのも一案」と勇退説に触れつつ、「将来もう一度指揮を執ってほしい監督の一人」と期待も口にした。

 

ファンの声は賛否両論

SNSやコメント欄でも、新井監督の続投には賛否が分かれる。
「ポジティブな考え方に好感が持てる」
「情が厚すぎて采配に影響しているのでは」
「優秀なコーチ陣の刷新が必要」
「ファンが望むのは強いカープ。危機感をもっと持つべきだ」

その一方で、「新井監督が辞めたら寂しい」という声も多い。温厚な人柄と誠実さがファンの心を掴んでいるのは間違いない。だが、勝利を渇望する気持ちが強いからこそ、辛辣な意見も噴出する。

 

「麦のように」逆襲を誓う4年目へ

批判も期待も受け止めながら、新井監督は静かに覚悟を示した。
「任せていただき、ありがたいこと。育てるために知恵を出し、辛抱強くやっていきたい。麦のように頑張っていきたい」

引用した「麦のように」という言葉は、漫画『はだしのゲン』の一節に由来する。踏まれても、踏まれても立ち上がる麦のように。少年時代から胸に刻んできた言葉を改めて噛みしめた。

雲の切れ間から光が差し込むマツダスタジアム。打撃練習に汗を流す若手の姿を見つめながら、新井監督は来季への決意を固める。育成と勝利の両立という難題に挑む4年目。踏まれても立ち上がる“麦”のように、広島カープの再生を誓う。

 

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ライター:

広島県在住。福岡教育大学卒。広告代理店在職中に、経営者や移住者など様々なバックグラウンドを持つ方々への取材を経験し、「人」の魅力が地域の魅力につながることを実感する。現在「伝える舎」の屋号で独立、「人の生きる姿」を言葉で綴るインタビューライターとして活動中。​​https://tsutaerusha.com

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