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広陵、秋季広島大会で新体制初陣を快勝

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広陵高校

― 暴力事件による辞退と処分を経て、信頼回復への第一歩

圧巻の23得点で決勝進出

秋季高校野球・広島大会地区予選2回戦が30日、広陵グラウンドで行われ、広陵が油木を相手に23-0の大勝を収めた。五回コールドでの決着となり、翌31日の地区予選決勝に駒を進めた。

試合は初回から広陵が主導権を握った。1イニングで8点を奪うと、続く二回にはさらに9点を追加。序盤から試合を決定づけ、油木投手陣を圧倒した。五回終了時点で23点差がつき、規定によりコールド勝ち。広陵の攻撃力と集中力が際立つ一戦となった。

 

新監督として初陣を飾った松本健吾氏(34)

試合後、「とにかく自分たちの野球をするだけだと思っていました。私は与えられた役割をやるだけだと思っております」と語り、冷静な表情を崩さなかった。

監督就任の経緯を問われると「それは学校の判断ですので」と多くを語らず、「どなたからも応援してもらえるようなチームを目指しております。まずはあしたの試合に勝てるようにしたい」と決意を示した。

球場には両校の保護者が声援を送り、テレビ局4社を含む約20社の報道陣が詰めかけるなど、異例の注目を集めた。取材の質問は試合に関するものに限定され、緊張感を漂わせた。

 

夏の甲子園途中辞退という衝撃

広陵の名が全国に響いたのは、今夏の全国高校野球選手権大会での異例の途中辞退だった。大会中に部員間での暴力行為が発覚し、学校側は大会本部に辞退を申し入れた。甲子園で勝ち進んでいた名門が突然姿を消すという事態は、ファンや関係者に大きな衝撃を与えた。

調査の結果、数名の上級生が下級生に対し、練習中や寮生活の場面で殴打や蹴りを繰り返すなどの行為があったことが判明。

被害を訴える部員が複数名にのぼり、体罰や暴力が黙認される風土が存在していたことが明らかになった。学校側の初動が遅れたことも、強い批判を浴びた。

暴力をふるった部員については、加害者とされた上級生数人に謹慎処分や退部措置がとられた。被害を受けた生徒のケアを行うとともに、再発防止策として外部有識者を交えた調査委員会を設置。

学校は「二度とこのようなことを起こさない」と再発防止の誓いを表明した。

さらに、練習環境の見直しや監督・コーチによる定期的な面談制度の導入、暴力・ハラスメントを防止するためのホットライン設置も発表された。

だが一部保護者やOBからは「処分が軽すぎる」「学校の説明はまだ不十分」との声があがり、納得感を欠くとの批判も根強い。

責任を取る形で退任したのが、中井哲之前監督(63)だ。中井氏は1990年代から長く広陵を率い、春夏通算で甲子園に20回近く出場。

2007年夏の決勝では、佐賀北との死闘を演じ、名将としての地位を確立した。多くのプロ野球選手を育成し、「広陵ブランド」を全国に広めた功労者であった。

しかし今回の暴力事案によって、その名声は大きく揺らいだ。「勝利を優先するあまり、内部の規律が緩んだのではないか」という批判は、長年積み上げた功績を覆い隠すほどの重さを持った。

 

松本健吾新監督の挑戦

新監督に就任した松本氏は34歳。若い世代の指導者として、「自分たちの野球」を掲げ、従来の強権的な指導からの転換を図る。会見で繰り返した「役割を果たす」という言葉には、組織としての責任を重視し、一歩ずつ信頼を取り戻す覚悟がにじんだ。

ただし、学校側は依然として取材対応を制限し、透明性を十分に示せていない。説明責任を果たす姿勢が見えなければ、再び不信感を招きかねない。信頼回復への道のりは長い。

 

ファン・OBの声

再出発に際し、スタンドやSNSには様々な声が寄せられた。

「夏の辞退は本当にショックだった。でも今日の試合を見て、また応援したい気持ちになった」(40代男性OB)
「勝つことは大事。でも高校野球は教育の一環。暴力を二度と繰り返さないでほしい」(60代女性ファン)
「松本監督の姿勢は誠実に見える。若い指導者だからこそ、時代に合ったチーム作りができるはず」(30代男性会社員)

一方で厳しい意見も根強い。
「辞退の経緯や処分について、学校の説明は不十分。勝ったからといって許される問題ではない」(50代男性)
「まずは暴力をなくす具体的な仕組みを示してほしい。信頼は時間をかけてしか戻らない」(20代大学生)

応援する気持ちと厳しい目線が交錯しているのが現状だ。

 

信頼回復への第一歩

23-0という圧勝は、単なる勝利ではなく「広陵が再び歩み出す覚悟」を示すものだ。だが信頼は勝利の積み重ねだけでは取り戻せない。学校、指導者、選手が一丸となり、暴力を根絶する取り組みを継続することこそが求められる。

広陵はこれまで数々の名勝負を演じ、全国の舞台で輝きを放ってきた。その伝統と誇りは揺るがない。しかし、真に応援されるチームへと生まれ変わるためには、競技力と同時に人間性と誠実さを示し続けなければならない。

松本新監督の下、広陵は再び全国の檜舞台に立つことができるのか。信頼回復への険しい道のりは始まったばかりだ。


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ライター:

千葉県生まれ。青果卸売の現場で働いたのち、フリーライターへ。 野菜や果物のようにみずみずしい旬な話題を届けたいと思っています。 料理と漫画・アニメが大好きです。

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