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自由診療の再生医療で初の死亡例 厚労省、都内のクリニックに業務停止命令 50代女性が再生医療治療中に急変死

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東京都中央区のクリニックで再生医療を受けていた外国籍の50代女性が治療中に急変し、搬送先の病院で死亡が確認された。厚生労働省は安全性に重大な問題があると判断し、クリニックに業務停止の緊急命令を出した。再生医療の自由診療で死亡事例を受けて緊急命令が出されるのは初めてであり、今後の制度運用に大きな影響を与える可能性がある。

 

患者が再生医療中に急変、死亡確認

東京都中央区にある「東京サイエンスクリニック」で、慢性的な体の痛みを訴えていた外国籍の50代女性が再生医療を受けていた最中に容体が急変した。厚生労働省によると、女性は8月20日、自身の脂肪組織から採取・培養された幹細胞を点滴で投与されていたが、治療の途中で体調が急速に悪化。別の医療機関へ救急搬送されたが死亡が確認されたという。

この事例は、患者が再生医療の自由診療を受ける中で死亡に至った国内初のケースとして報告された。厚労省は27日にクリニックから報告を受け、29日付で緊急の業務停止命令を出した。

厚労省が初の緊急命令を発動

厚労省は「再生医療等の安全性の確保等に関する法律(再生医療安全性確保法)」に基づき、東京サイエンスクリニックに対して再生医療の提供停止を命じた。また、細胞の加工を担っていた「コージンバイオ 埼玉細胞加工センター」に対しても製造の一時停止を命じている。

厚労省は今回の措置について、「患者が死亡し、その原因が明らかでない以上、同様の治療によってさらなる健康被害が発生する恐れがある」と説明している。死亡事例に基づいて緊急命令が発出されたのは、制度施行以来初めてである。

アナフィラキシーショックの可能性も

 

クリニック側は厚労省に対し、女性が急性のアレルギー反応であるアナフィラキシーショックを起こした可能性があると説明している。ただし、厚労省は「経緯を踏まえると再生医療との関連を否定できない」としており、原因の解明を急いでいる。

専門家の間では、自己の細胞を用いる再生医療であっても、培養や加工の過程で予期せぬ免疫反応が起こる可能性が指摘されてきた。厚労省は今後、立ち入り調査を行い、投与された細胞の加工過程や治療手順に問題がなかったかを詳細に調べる方針だ。

クリニックの背景と法人名変更

今回の命令を受けたクリニックは、かつて「ティーエスクリニック」の名称で運営されていた。その後、運営法人は「一般社団法人TH」から「一般社団法人日本医療会」へ名称を変更し、クリニック名も「東京サイエンスクリニック」と改められた。名称変更は死亡事例の報告直後に届け出られており、厚労省は経緯についても注視している。

同クリニックは、慢性的な疼痛患者に対し、自身の脂肪由来幹細胞を培養し、点滴投与する再生医療を提供していた。説明資料では「炎症を抑制する効果が期待できる」としていたが、科学的な有効性や安全性については十分な検証が行われていない。

自由診療として広がる再生医療の実態

 

再生医療は、細胞や組織を利用して損傷した機能を回復させる先端医療として注目を集めている。しかし、保険診療として認められている範囲は限られており、多くは自由診療の形で提供されているのが現状だ。

自由診療では価格や治療内容が医療機関ごとに異なり、効果や安全性に関する科学的根拠が十分でないケースも少なくない。厚労省は2014年に「再生医療安全性確保法」を施行し、計画の届出や審査委員会の設置などを義務付けたが、自由診療の分野では実際の監督が追いついていないとの指摘もある。

患者死亡を受け広がる不安

今回の死亡事例は、再生医療のリスクを改めて浮き彫りにした。特に「自己細胞を使うから安全」というイメージが一般に広がっていたが、必ずしもそうではないことが明らかになった。

患者の急死を受け、ネット上では「自由診療の再生医療は大丈夫なのか」「規制を強化すべきでは」といった声が多く見られる。医療消費者の立場から見れば、専門的な治療であるほど安全性の確保が不可欠である。

今後の調査と再発防止策

 

厚労省は今後、クリニックと加工施設への立ち入り調査を実施し、細胞加工物の製造過程や品質管理の実態を調べる。また、再生医療の提供体制全般に問題がなかったか検証し、必要に応じて制度改正も検討するとしている。再生医療安全性確保法は、患者保護を目的に設けられた制度だが、今回の事例はその限界を示すものでもある。緊急命令の発出は再発防止のための一歩だが、今後の制度運用がより厳格になる可能性がある。

参照:再生医療等の安全性の確保等に関する法律に基づく緊急命令について(厚生労働省)

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ライター:

新聞社で記者としてのキャリアをスタートし、政治、経済、社会問題を中心に取材・執筆を担当。その後、フリーランスとして独立し、政治、経済、社会に加え、トレンドやカルチャーなど多岐にわたるテーマで記事を執筆

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