
人気歌い手のluzさんが8月19日に急逝。32歳の若さでの訃報に、所属事務所は深い悲しみを表明。15周年ライブを目前にした突然の別れに、ファンの間で衝撃と悲しみが広がっている。
突然の訃報に衝撃広がる
人気歌い手として活動していた luz(ルス/本名:帯刀光司)さんが、8月19日に急逝した。32歳だった。 所属事務所・株式会社ESPERANZAは20日、公式サイトおよび公式X(旧Twitter)を通じて訃報を発表した。
発表文は「【訃報のお知らせ】」と題され、「弊社所属のアーティスト luz(本名:帯刀光司)が、2025年8月19日、急逝いたしました。あまりに突然の出来事に、関係者一同、深い悲しみに暮れております」と伝えている。さらに「生前に賜りましたご厚情に心より感謝申し上げますとともに、謹んでお知らせ申し上げます」と謝辞を述べ、ファンや関係者への感謝の意を記した。
参照:【訃報のお知らせ】(luz)
葬儀は近親者のみで執り行いへ
所属事務所は、葬儀について「ご遺族の意向により近親者のみにて執り行われる予定」と説明。「ご遺族のご意向を尊重し、詳細につきましては公表を差し控えさせていただきます。何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます」とコメントしている。突然の別れにファンは動揺を隠せず、SNSには「信じられない」「受け止められない」といった投稿が相次いだ。
15周年ライブは中止に
今回の訃報にあわせ、8月31日に品川インターシティホールで予定されていた 「luz ANNIVERSARY LIVE『XV(フィフティーン)』」の開催中止も発表された。
事務所は「チケットの払い戻し等今後の対応につきましては、後日、ご購入時にご登録いただいたメールアドレスへご案内いたします」とし、ファンに謝罪した。
記念すべき活動15周年の節目に企画されていた特別公演が直前に中止となったことで、ファンの悲しみはさらに大きなものとなっている。
luzさんの歩み ― ネット発の人気歌い手
luzさんは1993年7月23日生まれ。2010年に動画共有サイトへ歌ってみた動画を初投稿し、独自の低音ボイスと表現力で瞬く間に注目を集めた。
ボーカロイド楽曲を中心にカバーを重ね、ネット発の歌い手として着実に支持を広げていった。
その後、絵師・動画師のRAHWIA氏、ボカロPの奏音69氏と共に結成したクリエイターユニット「Royal Scandal」での活動もファンの間で高い人気を誇った。耽美的な世界観とストーリー性を持つ楽曲群は、ニコニコ動画やYouTubeを中心に熱狂的な支持を得ている。
2017年には自身のレーベル「XYZP(XYZ Production)」を設立。ソロとしてもアルバムや全国ツアーを展開し、アニメ主題歌も担当するなど、ネット発の枠を超えて幅広く活動してきた。
数々のライブと作品
2021年には4thアルバム『FAITH』を携え、全国7都市をめぐるツアーを開催。2023年には5枚目のアルバムをリリースし、TVアニメ『ダークギャザリング』の主題歌も担当。ライブパフォーマンスは圧倒的な歌唱力と演出で知られ、観客との一体感を大切にする姿勢は多くのファンの心をつかんでいた。
試練の時期 ― 薬物事件と活動休止
一方で、2024年には心身の不調により活動休止を発表。その直後、違法薬物所持の疑いで逮捕され、同年5月に懲役1年8か月・執行猶予3年の有罪判決が確定した。所属レーベルのポニーキャニオンとの契約は解除され、ユニットからの離脱も余儀なくされるなど、厳しい状況に直面していた。
それでも、所属事務所は「心身の疲弊があった」と説明し、luzさん本人もSNSで謝罪文を発表。「犯した過ちを見つめ、日々を重ねながら愛する大切な皆様と再び逢える日を祈り続けています」と更生への意欲を示していた。
復帰への意欲と最後の言葉
今年に入り、luzさんは8月31日の活動15周年記念ライブに向けて準備を進めていた。7月には「15年分の感謝も、覚悟も、全部このライブに込めます」とSNSで意気込みを表明。ファンも復帰の場を心待ちにしていた。
しかし8月8日には「本当に全てに限界来てる いつこの呪いから解き放たれるんだろう 光なんてもうとっくにないんだよ」と投稿。ファンからは心配の声が寄せられていた。その言葉が最後の投稿となった。
luzさんが残したもの
ネット発の歌い手としてキャリアを築き、メジャーシーンでも活躍したluzさん。順風満帆ではなかったが、その歌声と独自の美学は、多くの人の心を動かし続けた。
所属事務所は「ファンの皆様に大変ご心配をおかけすることを深くお詫び申し上げます」としつつ、今後はチケット払い戻しなどの対応を進めていくと発表している。
突然の別れに戸惑うファンも多い中、その歌声と表現は音楽シーンに確かな足跡を残した。
最後に
人気歌い手・luzさんの死去は、多くのファンにとって受け入れがたい出来事となった。32歳という若さ、活動15周年を目前にした時期での訃報は、音楽シーン全体にも大きな衝撃を与えている。
活動中止となったライブの舞台に彼の姿を見ることは叶わなかったが、残された楽曲や映像は、これからもファンに寄り添い続けるだろう。
「光なんてもうとっくにないんだよ」とつづった彼の言葉の背景に何があったのかは分からない。しかし、彼の音楽に救われた人々の声は今もSNSにあふれている。
――luzさん、どうか安らかに。