
全国で新型コロナウイルスの感染者数が7週連続で増加している。流行中のオミクロン株派生型「NB.1.8.1」、通称「ニンバス」は、従来株に比べて喉に強く付着しやすく、特徴的な症状として「カミソリを飲み込んだような強烈なのどの痛み」が報告されている。専門家は、猛暑やお盆の人の移動が重なり、9月上旬まで感染拡大が続く恐れがあると警鐘を鳴らす。
全国で7週連続増加
厚生労働省の集計によると、全国の新型コロナ感染者数は7週連続で増加。7月以降、オミクロン株から派生した「NB.1.8.1」(通称ニンバス)が各地で確認されている。東京都や愛知県の医療機関では、7月から患者数が週を追うごとに増加しており、1医療機関あたりの報告数は6人を超えるケースもある。
“カミソリを飲み込んだ”ような喉の痛み
東京歯科大学の寺島毅教授は、ニンバスの最大の特徴として「カミソリを飲み込んだような強烈なのどの痛み」を挙げる。過去に複数回感染した人でも、今回の喉の痛みは「これまでで最も強い」との声があり、水を飲むだけで声が出るほどの痛みを訴える例もあるという。その他の症状は風邪に近く、重症化は比較的少ないが、高齢者や基礎疾患のある人は注意が必要だ。
猛暑とお盆が感染拡大を後押し
寺島教授は、感染拡大の背景に「ウイルスが喉に付着しやすく変異している可能性」を指摘。さらに、猛暑によるエアコン使用で換気不足や空気の乾燥が進み、喉の防御力が低下していることも感染リスクを高めているとみられる。お盆休みの帰省や旅行で人の移動が増え、密閉空間での接触機会が増加したことも要因とされる。
流行ピークは9月上旬か
新型コロナの流行は12週周期で推移する傾向があるとされ、寺島教授は「9月上旬ごろまでは増加傾向が続く」と予測。感染防止には、手洗い、マスク、消毒といった基本的な対策を継続し、体調不良時は高齢者との長時間接触を避けるよう呼びかけている。また、喉の痛みが強く、水分摂取も困難な場合は、速やかに医療機関を受診することが推奨される。