
「不便を楽しむ」という奇妙なルールを掲げ、20年も愛され続けるイベントがある。株式会社シティライフNEWが仕掛ける「ロハスフェスタ」だ。単なるエコイベントと侮るなかれ。そこには、現代のビジネスパーソンが喉から手が出るほど欲しがる「ファンを熱狂させるサステナビリティ」の正解が隠されていた。
万博公園に現れる700の物語と「不便な」熱狂
春風が吹き抜ける大阪・万博記念公園。 2026年春、芝生広場を埋め尽くす700ものテントには、作家の魂が宿る一点物のアクセサリーや、思わず喉を鳴らすオーガニックグルメが並ぶ。
しかし、一歩会場に足を踏み入れると、ある異変に気づくはずだ。 誰もが手にしているのは、使い捨てのプラ容器ではなく、自宅から持参した色とりどりの「マイ食器」なのだ。
「ごみを出さない」という、一見すると来場者に負担を強いるルール。 だが、ここではそれが不自由どころか、自分たちが地球を救っているという一種のステータスに昇華している。
家庭の「汚れた油」が巨大イベントを動かす

このイベントの真骨頂は、目に見えない「エネルギーの裏側」にある。 会場の片隅に設けられたエコリサイクルコーナー。 そこには、来場者がわざわざ自宅から運んできた「使用済みの天ぷら油」が次々と集まってくる。
実は、この汚れた油こそがロハスフェスタの心臓部だ。 回収された油はバイオディーゼル燃料へと精製され、なんと会場内で使用する電力のすべてをまかなうことを目標としている。
他社がカーボンオフセットを「金で買う」中、シティライフNEWは「人の繋がり」でエネルギーを創出した。 この徹底した循環モデルこそ、他者の追随を許さない圧倒的な独自性だ。
「小さなエコ」を20年貫き通した執念の哲学
なぜ、これほどまでにストイックな運営が可能なのか。 その答えは、2006年の開始当初から一貫して掲げる「みんなの小さなエコを大きなコエに」という哲学に集約されている。
大きな組織が旗を振るのではなく、個人の「少しの工夫」を束ねて大きなうねりを作る。 間伐材やロスフラワー、さらには看板用のテント布さえもバッグに蘇らせるアップサイクルの精神は、同社が地域情報紙の制作で培った「徹底した現場主義」から生まれている。
便利さを追求した結果、失われた「手触り感のある暮らし」。 それをエンターテインメントとして再定義した点に、同社の先見性がある。
綺麗事ではない「稼ぐサステナビリティ」の極意
この祭典が教えてくれるのは、サステナビリティとは我慢ではなく、最高の「顧客体験」になり得るという事実だ。 株式会社シティライフNEWは、地域と密着し、作り手と使い手を「共感」という鎖で繋ぎ止めた。
企業の社会的責任を数字だけで語る時代はもう終わった。 どれだけの人を巻き込み、どれだけ熱狂的な「当事者」を生み出せるか。 20周年を迎えるロハスフェスタの熱気は、これからのビジネスが目指すべき北極星を示している。



