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明治、尾西食品とBeer the Firstが挑む酒造の新境地

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明治、尾西食品とBeer the Firstが挑む酒造の新境地
提供:株式会社Beer the First

乳製品の製造過程で生じる脱脂粉乳や、災害食の要であるアルファ米の端材。これら未活用の「資源」を、嗜好品という新たな価値へと昇華させる試みが始まった。東京都の支援プログラムを起点に、大手の食品メーカーとスタートアップが手を携え、食の循環を日常の彩りに変えようとしている。

 

未活用の脱脂粉乳とお米が成城石井の棚に並ぶまで

2026年3月、高級スーパー「成城石井」の店頭に、一風変わったクラフトビールが並ぶ。株式会社Beer the Firstが展開するブランド「UTAGE BREWING」が世に送り出す「WHITE BREW」と「RICE ALE」だ。この二つの商品には、これまでの飲料開発とは一線を画す背景がある。

前者は乳業最大手の株式会社明治が抱えるSNF原料(脱脂粉乳)を、後者は尾西食品株式会社のアルファ米製造過程で発生する端材を、それぞれ主要な原料の一部として活用している。東京都が主導するオープンイノベーションプログラム「TiBカタパルト」によって引き合わされた三社は、単なるコスト削減や廃棄処理ではない、ポジティブな解決策として「酒造」を選択したのだ。

大手とスタートアップが溶け合う「共創」の妙手

他社の追随を許さない独自性は、本来なら廃棄、あるいは低価値な飼料などに回されていた原料を、付加価値の高い「クラフトビール」という文脈へ完全に変換した点にある。通常、食品メーカーにとって製造工程の端材は「負の遺産」になりがちだが、Beer the Firstはそれを「唯一無二のフレーバーを引き出す素材」と定義し直した。

例えば、明治の脱脂粉乳を用いた「WHITE BREW」は、乳素材特有のまろやかさを活かしたウィートエール(白ビール)に近い仕上がりとなり、尾西食品の米を用いた「RICE ALE」は、日本人の味覚に馴染む軽快なキレを実現している。単なる社会貢献という看板に甘んじることなく、嗜好品としての「美味」を追求したことが、成城石井での先行販売という市場評価につながったといえるだろう。

効率の代償を「宴(うたげ)」で癒やす哲学

 

この取り組みの根底には、UTAGE BREWINGが掲げる「おいしく、楽しく、食品ロスを解決する」という思想が流れている。坂本錦一代表は、サステナブルな活動を一過性のブームや、消費者に忍耐を強いる「義務」にしてはならないと説く。

「アップサイクルだからこそ出せる味わいがある」という彼の言葉は、現代の大量生産・大量消費モデルに対する静かなアンチテーゼだ。効率化の過程でこぼれ落ちた素材に光を当て、それを囲んで人々が語らう「宴」の場を作り出す。この哲学があるからこそ、異なるバックグラウンドを持つ大手企業が、自社の貴重な原料を託すに至ったのである。

食の未来を醸造する「越境のリーダーシップ」

今回のプロジェクトから学べるのは、企業規模の壁を越えた「越境」の重要性だ。自社のリソースだけでは解決できない課題も、スタートアップの柔軟な発想と技術を掛け合わせれば、新たな収益源へと化ける可能性がある。

また、環境配慮を「コスト」ではなく「ブランドストーリー」に昇華させる手腕も、これからのビジネスパーソンに必須の視点だろう。私たちは一献のビールを通じて、社会課題を飲み干し、ポジティブな変化を実感することができる。こうした「日常の消費に意味を持たせる仕組み」こそが、持続可能な社会への確かな一歩となるはずだ。

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ライター:

サステナブル情報を紹介するWEBメディアcokiの編集部です。主にニュースや解説記事などを担当するチームです。

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