
スマートゴミ箱「SmaGO」は、都市を循環の起点へと変える新インフラとして広がり始めている。ETHICAL DESIGN WEEK TOKYOで示された最新の成果が、日本の街づくりに新たな問いを投げかけた。
ゴミ箱が“資源の入口”に変わるとき
フォーステックが展開するSmaGOは、自動圧縮機能で従来型の約五倍の容量を実現し、太陽光と通信技術によって街の管理を最適化する。全国で六百台に迫り、ごく自然に都市の風景に溶け込む存在になりつつある。
捨てた瞬間から資源循環が始まる──そんな社会の実装が現実味を帯びてきた。
街を“困らせる”インフラ不足の正体
ETHICAL DESIGN WEEK TOKYOでは、同社担当者が登壇し、SmaGOが果たす役割を紹介した。
留学先のオランダで、清潔さを支えるのは市民の意識ではなく公共ゴミ箱そのものだと実感した経験を語り、日本では訪日客が「街にゴミ箱がないこと」に戸惑う状況が続いていると指摘した。
必要な場所に必要な数を。SmaGOは、その配置をデータで導く。
表参道モデルが示す「都市が軽くなる」という事実
三年継続中の表参道・原宿エリアでは、回収頻度が四分の一に減り、景観の維持はもちろん、CO₂排出や人手負担の軽減にも効果が表れている。
分別行動も自然と定着し始め、街の空気そのものが変わりつつある。
街に置かれた装置が、都市の“性格”を変える。そんな変化が足元で進む。
都市計画を更新する“可視化”という力
SmaGOに蓄積される投棄データは、街の使われ方を映す。混雑の傾向も分別状況も、数字として姿を現す。
その裏付けが、公共インフラをどこに、いかに配置すべきかという政策判断を支えていく。
都市が意思を持ってアップデートされるための基盤が、いま整いつつある。
足元の小さな装置から未来は動き出す
使い捨て前提の社会から抜け出すには、日常の風景を構成する仕組みが変わらなければならない。
誰もが見過ごしてきた装置が、都市と人の関係を静かに書き換える。
SmaGOは、その変化の先頭に立つ存在となっている。
とりわけ、表参道と原宿で三年にわたり進む実証は、都市インフラとしての可能性を裏づける。日本特殊陶業が協賛し、ヘラルボニーのアートをまとったSmaGOが設置された同エリアでは、散乱ゴミが抑えられ、回収の負担が大幅に軽くなった。従来の四分の一程度の回収頻度で維持管理が可能になったことで、二酸化炭素排出の抑制や作業現場の負担軽減にも結びついている。分別の意識が高まり、街の表情にも目に見える変化が生まれた。



