日立ソリューションズが実施した調査で、サステナビリティ推進におけるデジタル技術の重要性を93%のビジネスパーソンが認識していることがわかった。一方で、サステナビリティ推進の目的が「企業ブランディング」から「従業員エンゲージメント向上」に変化するなど、外的要因から内的要因へのシフトが見られる。
【調査結果概要】※株式会社日立ソリューションズ調べ
「サステナビリティに関するビジネスパーソン意識調査」
・調査期間:2023年8月9日~8月14日
・調査方法:インターネットリサーチ
・調査対象:従業員数300名以上の国内企業に勤めるビジネスパーソンで、課長以上のビジネスリーダー層または経営者・役員1,000名 (製造業、情報通信業、建設業、サービス業など10業種)
サステナビリティとDXの関係性を調査
株式会社日立ソリューションズは、国内企業に勤務する1,088名のビジネスリーダー層を対象に「サステナビリティに関するビジネスパーソン意識調査」を実施した。
この調査は、企業が持続可能な社会の実現に向けてどのような取り組みを行っているか、またその目的や課題について明らかにすることを目的としている。
特に今回は、「デジタルトランスフォーメーション(DX)」がサステナビリティ推進において果たす役割に焦点を当てた。
調査の結果、回答者の93%がサステナビリティ推進にデジタル技術を活用する重要性を認識していると答えた。生成AIやセキュリティ技術への関心が高まりを見せる一方で、課題として人財不足やコスト負担が挙げられた。また、「IT推進部門が全社的にデジタル技術の利用を推進している」と答えた割合は58%にとどまり、特に卸売業・小売業では46%と最も低い結果となった。
サステナビリティ推進の主目的、「従業員エンゲージメント」に変化
調査では、サステナビリティ推進の目的に関しても大きな変化が見られた。
昨年の調査では「企業ブランディング」が最も多く挙げられたが、今年は「従業員エンゲージメント向上」が1位となり、外的要因から内的要因へのシフトが明確になった。「顧客エンゲージメント・ロイヤルティ向上」が2位、「事業機会・新しい付加価値の創出」が3位に続き、従業員や顧客など、人とのつながりを重視する傾向が見られる結果となった。
日立ソリューションズは、この変化について「労働力不足が深刻化する中で、企業が人財の確保や定着を経営課題として真剣に捉えている表れであり、従業員の満足度や働きがいを高める取り組みにシフトしている」と分析している。
エネルギー管理やデータセキュリティが重要分野に
サステナビリティ推進において、具体的に取り組まれている分野として最も多く挙げられたのは「エネルギー管理」だった。この分野は昨年に続き1位を維持しており、環境課題への取り組みが引き続き企業の主要課題であることを示している。次いで「データセキュリティ」「お客さまのプライバシー」が上位にランクイン。情報化社会が進展する中で、データの適切な取り扱いやセキュリティ対策が重要視されていることがわかった。
また、「従業員参画、ダイバーシティの包摂性」が昨年の8位から4位に大きく順位を上げた。これは、人々の多様性を尊重し、働く環境の改善や活用を促進する動きが加速していることを反映している。たとえば、リモートワークの活用や職場環境の整備が具体的な取り組み例として挙げられる。
日立ソリューションズが描く「協創」の未来
調査の中で、サステナビリティ推進にデジタル技術を利用する理由として最も多く挙げられたのは「協創」であった。これは、多様な立場のステークホルダーと協力し、新しい価値を創造する取り組みだ。ビジネスパーソンの約39%がこれを選択しており、複雑化する社会課題の解決には協創が不可欠であるという認識が広がっていることがうかがえる。
日立ソリューションズは、オープンなコミュニティ「ハロみん」を立ち上げ、さまざまなセクターの人々と協働しながら社会課題の解決に取り組んでいる。加えて、生成AIやセキュリティ技術に関する研究開発を進め、日本企業の課題解決を支援するための活動を強化している。同社は「環境価値・社会価値・経済価値のトレードオン」を目指し、協創を通じて持続可能な社会の実現に寄与していく方針だ。