企業のステークホルダーとして顧客・関係企業と共に最も重要なのが社員です。今回は東京足立区に拠点を構え、高い技術力と画期的な商品の開発・製造で「特殊シャッター業界の雄」と評される株式会社横引シャッターの営業主任、渡辺裕さんにお話を伺いました。
株式会社横引シャッターはその名の通りキオスクなどに設置されている横に引くタイプのシャッターを専門に取り扱っている会社です。また同社は「定年なき雇用」「ガン患者の雇用」「無借金経営」などの様々な特徴的な施策でも注目を集めています。
2014年に同社に入社した渡辺さんは、2021年に30歳を迎え、現在は営業主任を務めています。彼がなぜ同社を選んだのか、そして今はどのような気持ちで日々の業務にあたっているのか。それらのことを伺いながら、企業にとって最も身近なステークホルダー、社員と会社の繋がりについて見ていきます。
代表取締役 市川慎次郎さんから渡辺さんへのメッセージ
成長速度に勢いがあり、とても一生懸命に学んでくれている社員です。よく伝えているのは、これからは中間管理職を目指していけということ。昔彼に「僕なんかは社長の息子というイメージがついていたが、社長の息子だからできたのではなく、やる気があったからできたのだということを渡辺を通して、証明する」と言いましたね。やる気を示して真剣に証明していくんだ。それをやり続けて、実際に証明してくれたと思っています。この点は本当に感謝しています。渡辺みたいな社員があと3人ぐらいいると、会社が変われると思っている。渡辺に聞きたいこととしては、早く結婚したほうがいいんじゃない? いつ結婚するのですか? 結婚式のスピーチで何を喋っちゃいけないのかだけは事前に教えてください。
横引シャッターなら自分を成長させてくれると感じ、入社を決意
――渡辺さんへの市川社長のメッセージからご紹介しました。
社長が結婚式のスピーチのことまで考えてくださっているいるとは思いませんでした(笑)。
――まず、渡辺さんの入社の経緯についてからお伺いしてもよろしいですか?
私は建築に興味があったので就職活動をしていた時、建築関係の会社で仕事ができればいいなと思っていました。ある時就活サイトを見ていたら「横引シャッター」の名前が目に入って。面白い名前の会社だなと思って応募しました。
――第一印象はいかがでしたか?
説明会、そして面接を受けているうちに、学生の時の友達の家が近くにあったことを思い出したりして親近感が湧きました。そして何より、ここだったら自分を成長させてくれる、しっかり面倒を見てくれそうだと感じることができたので入社を決めました。
――どういった点を見て「成長させてくれる」と思われたのでしょうか。
社長面接で市川社長とお会いした時です。その時は面接というよりも打ち合わせみたいな感じで、将来どうしたいの?どんな風になりたい?と色々と聞かれました。その中で私が、他の人よりもしっかり仕事をして、給料もいただき欲しい車や家を買いたいと話したら、市川社長は「じゃあ何とかするよ。うちの会社に入れば大丈夫だから」と。その言葉は今でも胸に残っています。
――他に市川社長に言われて心に残っている言葉はありますか?
最も心に残っているのは「最短距離で上まで伸ばせるからね」。
辛い時にこの言葉を思い出すと、乗り越えてやろう、頑張ろうという気持ちにさせてくれます。
ちょっと違うシャッター屋だなと思われたい
――株式会社横引シャッターには過去に約9億円にも及ぶ多額の借金を抱えていた時代があります。今でこそ無借金経営を貫いていますが、渡辺さんは会社が借金を返済し立ち直っていく道のりを共にしてきたと思います。入社してから今までの間で仕事の中身は変化してきたでしょうか。
私が入社した2014年は、返済の目処もつき会社が過渡期に入ったころでした。ですから働いているうちに会社が良くなっていくのが目に見えて分かりました。仕事も以前は躓いていた部分がスムーズに進められるようになった。例えば過去にはお客様から「こんなことはできます?」と問い合わせを受けてもお断りせざるを得ないことが多々ありました。しかしそれを、今ではお受けできるようになった。できる仕事の幅が広がったのが一番大きいと思います。
――それは株式会社横引シャッターが特殊シャッターの業界で確固たる地位を打ち立てていった歩みと重なるようです。
シャッター業界の大手各社と比べて、弊社は「特殊シャッター」という他社が手を出しにくい分野が強みで、お客様にお喜びいただける製品を作っているという自負があります。今後はもっと弊社の認知度を上げていきたいと考えています。そしてシャッターといえどオシャレな、ワンランク上の製品を追求していきたい。ちょっと別のところとは違うシャッター屋だな、と周りから思ってもらいたいですね。
「社員は家族」と本気で思っている会社
――改めて今のお仕事について、どうお考えですか?
とても誇りに感じています。私は営業なので、お客様と打ち合わせをし、提案を重ねて話を詰めていくのが主な仕事です。私の提案とお客様の希望が実を結び、実際にシャッターが出来上がったのを見ると、自分とお客様、そして会社で製品を作ってくれている従業員や取り付けてくれた人々のことを思い胸が熱くなります。「こんなに良い製品を作ったんだぞ」と誇りに思う瞬間です。
――ズバリ、渡辺さんにとって会社とはどういった存在ですか?
同世代の友人の中にはせっかく就職しても2、3年で辞めてしまった者も多くいます。私はそんなことは全く考えないで今までやってきましたが、それは仕事が楽しいからです。ですから会社がどういった存在かと聞かれたら、やっぱり生き甲斐の場所なのかなと思います。
また弊社は高齢者雇用やガン患者の雇用なども率先して行っている会社です。それは「社員は家族」という、どこの会社でも謳われている言葉を本気で実践しているから、と市川社長は話しています。実際に社員は皆、本当の家族のように接し合っています。プライベートのことなども気兼ねなく話していますし、休みの日にこんなことをしたよ、とか打ち解けた話ができる。
社員一人ひとりが会社の歯車になって動くのではなく、皆で協力して一致団結してやっています。それは他の会社にはない弊社の大きな特徴だと思います。
――社員に対してとても手厚い会社だと聞きます。
福利厚生に関してはもちろんのことなのですが、例えば病院にいかねばならないから午前中お休みをいただきたい、と話をしても休みにしないでそのまま行ってきちゃっていいよ、と言ってもらえたり。そういう点でも温かい会社だと思います。
新型コロナが蔓延する以前は新年会や暑気払いなどで年に3回くらいは皆が集まる機会がありました。残念ながら昨年はできませんでしたが、それでも新年にあたって社員全員にお節料理が配られて「同じ場所で時間を共有することはできないけれども、同じ物を食べて共有しよう」と。そういうところが結構いいな、と思っています。
それに他社に就職した同世代と話をして、給料が上がった?という話題になっても自分が一番上がっていて額の大きさにびっくりされる。それもうれしいですね。
――市川代表からのメッセージにもありましたが、将来会社を背負って立つ人材として期待されているようですね。
以前、忘年会や新年会などの席でもっと頑張れ、期待していると社長や他の社員から聞き、うれしかったです。そんなことを言われるとは思っていなかったので。会社の事業も拡大し、シャッター以外にも建具や扉など、多様に取り扱えるようになっています。それらを含めてお客様のニーズに幅広く応えられる会社にしていきたい思いが私にはあります。自分たちで限界を作らず、何事にも挑戦する気持ちで臨んでいきたいですね。
――最後に、渡辺さんにとって株式会社横引シャッターはどういう場所なのでしょうか?
私が新人で入社した時は、営業のことも業界のことも何も分かりませんでした。それから1つずつ、小さいことから大きなことまで何もかも教えてもらいました。ですから私にとって会社は親です。社会人としての自分の親のような存在だと思っています。
――本日はお忙しい中、ありがとうございました。
<プロフィール>
株式会社横引シャッター 営業主任 渡辺裕
1991年生まれ
2010年 山梨県立吉田高校 卒業
2014年 和光大学 卒業
2014年4月 株式会社横引シャッター 入社
横引シャッターへ入社後、3年目で営業部主任に昇格
(その後、中古のBMWを購入)←社長から入れるように話がありました。笑
現在に至る。
<企業概要>
株式会社横引シャッター
https://www.yokobiki-shutter.co.jp/
所在地 東京都足立区綾瀬6-31-5
TEL:03-3628-4500(代)FAX:03-3628-1188
代表者 市川 慎次郎(いちかわ しんじろう)
設立 1986年(昭和61年)4月3日