ピジョン「シュポット」に窒息リスク 分解状態での誤作動に注意喚起、無料交換を開始

ベビー用品大手のピジョン株式会社は2025年8月6日、電動鼻水吸引器「SHUPOT(シュポット)」について、部品の取り扱いによっては窒息やけがのリスクがあるとして、無料で安全対策済みの部品への交換を呼びかけた。対象は2023年6月から2025年7月までに製造された製品。同社は公式サイトでの確認と申込を推奨しており、すでに特設ページを開設している。
使用中止を呼びかけ 原因は分解後の誤作動
危険が潜むのは、製品の破損や初期不良ではなく、使用後の分解状態での誤作動にある。問題の部品は「鼻水キャッチャー」と呼ばれる構造で、衛生的に保つためにふたと内部セパレーターを取り外すことができる仕様になっている。
しかし、この分解された状態で子どもが電源を誤って入れてしまうと、本体の吸引口がむき出しのまま作動し、強力な吸引により口や鼻を直接引き込む危険性があるという。
同社はこの構造上のリスクを「使用方法の一部が想定外だった」と認めたうえで、「製品に不具合はないが、安全性を高めるための改良を行う」としている。
無料交換の対象製品と申込方法
無料交換の対象は、2023年6月から2025年7月までに製造された「シュポット」シリーズの一部。使用者は以下の3ステップで対象製品の確認と交換申込が可能だ。
- 本体裏面の「シリアル番号(MFG. No. または Serial No.)」を確認する
- ピジョンの特設サイトにアクセスし、番号を入力して対象製品かどうかを判定する
- 対象の場合は、氏名・住所などを入力して申込を完了させる
改良部品は後日郵送される予定で、それまでは分解後の状態で製品を放置しないよう強く呼びかけている。
中古品やフリマ経由でも交換可能
フリマアプリや中古品で購入した製品であっても、シリアル番号が該当していれば無料交換の対象となる。正規購入者であるかどうかにかかわらず、すべての子どもの安全を最優先とする姿勢を、同社は明確にしている。
なお、改良後の部品には、仮に分解状態でスイッチが入っても吸引力が働かないような新たな安全対策が講じられているという。
ユーザーの行動が問われる事案に
今回の事案は製品設計そのものよりも、ユーザーの行動と組み合わせたときに生じるリスクが問題となったケースである。事故を未然に防ぐためには、製品の取扱説明書を正しく理解し、分解時の管理を徹底することが重要だ。
ピジョンは今後、説明書やパッケージ上での注意喚起も強化する構えを示しており、「安全に対する信頼に応えるため、迅速に対応していく」とコメントしている。
メーカー対応の評価も注目に
同社は事故発生前の段階で自主的にリスクを公表し、速やかに無償交換へと動いた点が評価されている。消費者にとっては、メーカーの迅速な対応と情報公開姿勢が安心材料となる一方で、今後の製品設計・安全基準への議論にも影響を与える可能性がある。
使用者はまず、自宅の製品が対象かどうかを確認し、該当していれば速やかに交換を申し込む必要がある。対象製品を使っている家庭にとっては、決して見逃せない安全上の問題だ。