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尾身茂氏「感染防止効果は乏しかった」発言に波紋広がる SNSは怒りと疑問の声、世界のワクチン総括との違い

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尾身茂 謝罪
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元新型コロナ対策分科会会長の尾身茂氏が、6月8日放送の読売テレビ『そこまで言って委員会NP』に初出演し、番組内で「感染防止効果は、残念ながらあまりなかったワクチンです」と明言した。この発言は放送直後からSNS上で大きな波紋を呼び、「当時これを言ってくれていれば」「なぜ止めてくれなかった」といった投稿が続出している。

 

「そこまで言って委員会NP」初登場、尾身氏が接種判断の真意を釈明

尾身氏は番組内で、「若者は重症化しにくく、ワクチンの副反応が強いため、接種は本人判断でと初期から訴えていた」と釈明した。しかし、共演した元大阪府知事の橋下徹氏や漫画家の倉田真由美氏らからは「そう聞いていなかった」「接種推奨と受け取っていた」との声が上がり、記憶や認識のずれが露呈した。

番組のテーマは「新型コロナ総括スペシャル」。黒木千晶アナウンサーから「どういう思いでこのスタジオに」と問われた尾身氏は、「とんだところに来てしまったなと。ただ、自分の発言が正確に伝わっていないと感じていたので、説明する機会をいただいた」と述べ、出演の意図を語った。

番組では、ウイルス学者の宮沢孝幸氏、医療ジャーナリストの森田豊氏、元衆院議員の豊田真由子氏、作家の竹田恒泰氏ら10人以上が議論に加わり、mRNAワクチンの効果、副反応、データの信頼性などをめぐって白熱したやり取りが繰り広げられた。

 

SNS「もっと止めてくれたら…」と怒り噴出、信頼への揺らぎ

番組の放送直後から、SNS上では大きな反響が広がった。とりわけ尾身氏の「感染防止効果はあまりなかった」との発言に対しては、当時の記憶と照らし合わせながら、多くのユーザーが率直な思いを投稿している。

ある視聴者は、「もっと早くそう言ってほしかった。私の大切な人はそのワクチンを信じて接種し、体調を崩しました」と書き込み、専門家としての説明の遅れに失望感をにじませた。

また、「尾身茂先生と宮沢孝幸先生が共演するなんて驚いた。バトルを期待したけど、冷静で真摯な議論だった」と、番組構成に一定の評価を寄せる声も見られた。

一方で、「政府は『打てば感染しない』と宣伝し、未接種の人には社会的制裁のような扱いをした。当時の報道や政策は振り返られるべきだ」と、当時の世論形成の在り方を問題視する意見も相次いだ。

 

さらに、「ワクチンに反対していたわけではないけれど、良い面だけを強調し、リスクや限界については語られなかった。その情報の非対称性が怖かった」という、情報の偏りに対する不信の声も目立った。

別のユーザーは、「私も接種したが、いま後遺症のような症状に苦しんでいる。自分の判断とはいえ、きちんとした情報があれば違う選択をしたかもしれない」と、個人の苦悩を吐露している。

こうした投稿群は、尾身氏個人への非難にとどまらず、コロナ禍における専門家・行政・メディアの役割と説明責任をあらためて問い直すものとなっている。

海外のワクチン総括:各国はどう整理したのか

 

アメリカ(CDC/ACIP)|2024年10月時点

米国CDCの報告によれば、65歳以上の入院予防効果は約45~46%、18歳以上の外来抑制効果は33%。ブースター接種の対象は、高齢者と免疫不全者が中心。2024–2025シーズン以降は「年1回の高リスク層向け接種」へと戦略を転換しつつある。

※出典:CDC MMWR, October 2024

カナダ(公衆衛生庁/NACI)|2024年9月時点

NACIは、XBB.1.5対応ワクチンが高齢者や持病を持つ人々に対し、入院・重症化の予防に「非常に高い効果」があったと評価。後遺症(Long COVID)抑制にも寄与するとし、秋冬には再接種を推奨。

※出典:PHAC/NACI Statement, September 2024

 

欧州(WHO欧州地域事務局)|2024年12月時点

欧州53カ国を対象にしたWHO欧州の分析では、コロナ関連入院を54%、死亡を51%減少させたと報告。特に高齢者・基礎疾患保有者には引き続きワクチンの有効性が高いとされ、対象限定型の接種戦略が展開されている。

※出典:WHO Europe Regional Report, December 2024

日本(厚生労働省)|2024年7月時点

厚労省の公表データによると、XBB.1対応ワクチンの入院予防効果は60歳以上で44.7%、18歳以上で入院62%・救急受診58%。65歳以上ではブースター接種後、7~59日で54%、60~119日で50%の入院抑制が確認された。接種の目的は重症化・入院抑制に重点を移し、高齢者や基礎疾患を持つ人に対する接種が推奨されている。

※出典:厚生労働省「新型コロナワクチンの有効性等に関する資料」令和6年7月時点

 

科学と説明責任のアップデートを

今回の議論は、科学的知見の変化に対する「公的説明の不在」が、社会的信頼を損ねる大きな要因であることを浮き彫りにした。多くの国がワクチンの“再定義”を進めるなか、日本でも効果とリスクを透明に提示し、「誰に」「なぜ必要か」を明確にする戦略の再構築が求められている。

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寒天 かんたろう

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ライター歴26年。月刊誌記者を経て独立。企業経営者取材や大学、高校、通信教育分野などの取材経験が豊富。

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