
気温の上昇が続き、エアコンの稼働時間が長くなりがちな夏場。だが、冷房の設定次第で電力消費には大きな差が出る。温度設定を下げる前に「風向」「風量」「運転モード」を見直すことで、涼しさと節電の両立が可能となる。エアコンの効率的な使用法に加え、冷房以外の節電対策や熱中症予防の基本もあわせて紹介する。
風量は「強」、風向は「水平」が節電の基本
NBC長崎放送(2025年5月21日配信)によると、冷房中の暑さ対策として「設定温度を1℃下げる」よりも「風量を強くする」ほうが、消費電力はおよそ半分で済むとされている。これは、エアコン内部のファンを動かす消費電力が、温度を下げる際に稼働するコンプレッサー(圧縮機)に比べてごくわずかであるためだ。
また、エアコンの風向を「斜め下」ではなく「水平」に設定することも、節電に有効だという。冷気はもともと下に溜まりやすく、「斜め下」の風向では部屋全体を冷やすのに時間がかかる。これによりエアコンは「まだ室温が高い」と誤認し、余計な運転を続ける結果となりやすい。一方、「水平」の風向にすることで、空気が均等に冷やされ、効率的な冷房が実現する。
「自動運転」の方が「弱」よりも省エネ
日中の長時間稼働時において、「風量・運転モード:弱」と「自動」を比較した場合、節電効果が高いのは「自動」だとされる。理由としては、「弱」運転では空気の循環が不十分となり、冷却効率が落ちるため、結果的に運転時間が長くなってしまうからだ。エアコンメーカーのダイキンによると、「自動」の方が最大で約3割の電力削減になるという。
冷房以外でできる節電と暑さ対策
エアコンに頼らずとも、生活の工夫で電力消費は抑えられる。以下に代表的な取り組みを挙げる。
- 遮熱カーテンやすだれの活用:直射日光を遮ることで室温の上昇を防ぎ、冷房効率を高める。
- LED照明への切り替え:白熱電球と比較して電力使用量が大幅に少なく、発熱も抑えられる。
- 冷感グッズの活用:首元を冷やすネッククーラーや、冷感素材の寝具などは体感温度を下げる効果がある。
- 断熱シートや窓の気密性強化:外気の侵入を防ぎ、冷気の流出も防止。
熱中症対策も忘れずに
節電と両立させる形での熱中症対策も不可欠だ。特に高齢者や子ども、持病を持つ人には注意が求められる。次のポイントが基本とされる。
- こまめな水分補給(塩分も適度に)
- 室温が28℃を超える場合は冷房の使用をためらわない
- 夜間でも室温が下がらない場合はタイマーを使いながら冷房を活用
- 涼しい服装と通気性のよい寝具の利用
暑さを「我慢」するのではなく、「賢く」対処することで健康と経済の両立が図れる。
メーカーの指針と住環境の違いにも注意
ダイキンによると、これらの節電方法はあくまでも一例であり、建物の構造や断熱性、日当たりなどの住環境によって結果は異なる可能性があるという。よって、家庭ごとの使用状況を見ながら最適な使い方を見つける工夫も求められる。