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日野自動車、米国での不正認証問題 制裁金16億ドル

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日野自動車
日野自動車より

日野自動車が米国でのエンジン認証不正問題を巡り、巨額の制裁金16億ドルを支払うことが決定した。問題発覚から裁判、制裁決定に至るまでの経緯、そして同社の経営に与えた影響について詳しく解説する。

 

エンジン認証不正問題 概要

日野自動車は2025年1月19日、米国でのエンジン認証不正問題を巡り、罪を認めるとともに、総額16億ドル(約2,400億円)にのぼる制裁金の支払いが確定した。デトロイトの連邦地方裁判所において、日野自動車の有罪答弁が受理されたことにより、同社は5億2,176万ドルの制裁金に加え、10億8,700万ドルの没収金を支払うことになった。

この問題は米国司法省が発表したもので、同社に対して5年間の保護観察処分が科され、その間、米国へのディーゼルエンジンの輸入は禁止される。企業としての信頼を大きく損なった日野自動車は、今後どのように信頼回復と経営再建を進めていくのかが問われている。

不正問題の経緯

日野自動車のエンジン認証不正問題は、複数年にわたり、同社が米国の排ガス規制に関連するデータを不正に改ざんしていたことに端を発する。米国の環境保護庁(EPA)などの調査によると、同社はエンジンの排出ガス性能を意図的に操作し、実際の環境負荷を低く見せかけていたとされる。

問題が発覚したのは2022年。EPAの検査において、日野自動車のディーゼルエンジンが規制基準を満たしていないことが判明した。さらに、社内調査の結果、検査データが長年にわたり意図的に操作されていた事実が明るみに出た。この結果、米国司法省は2024年1月、日野自動車の不正行為に対して刑事訴追を行い、今回の和解に至った。

制裁金とその影響

裁判所が命じた16億ドルの支払いは、次の3つに分類される。

  • 制裁金:5億2,176万ドル(約780億円)
  • 没収金:10億8,700万ドル(約1,620億円)
  • 保護観察期間:5年間(米国へのディーゼルエンジン輸出禁止)

これにより、米国市場における日野自動車の事業展開は大きな打撃を受けることになった。特に、ディーゼルエンジンは同社の主力製品であり、米国市場でのシェア縮小は避けられない状況だ。

経営への影響

日野自動車が2025年1月30日に発表した2024年度第3四半期の決算では、売上高は前年同期比12.2%増の1兆2,802億円と増収となったものの、最終赤字は2,653億円に達した。これは、この時期としては過去最大の赤字額であり、制裁金の支払いが大きく影響している。

さらに、日野自動車と三菱ふそうトラック・バスとの経営統合計画にも影響が出た。当初予定されていた統合スケジュールは延期され、小木曽聡社長は「制裁金の確定によりトンネルの出口に立てた。統合に向けた課題が一つクリアした」と述べ、今後の交渉再開に向けた意欲を示している。

まとめ

日野自動車のエンジン認証不正問題は、企業のガバナンスやコンプライアンス体制の重要性を浮き彫りにした。特に、グローバル展開を進める日本企業にとって、法規制への対応やリスクマネジメントの強化は不可欠である。

ビジネスマンにとって、この問題は企業経営の教訓として学ぶべき点が多い。日野自動車が今後どのように信頼回復と経営立て直しを進めるのか、その動向が注目される。

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ライター:

金融機関と不動産会社での勤務経験を経て2014年より金融関係や不動産関係を中心としたフリーライターとして活動。金融関係をはじめ不動産やビジネスのジャンルを中心に執筆しています。

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