
「オンラインカジノは違法と知らなかった」。そんな驚くべき実態が、警察庁の調査で明らかになった。オンラインカジノの利用経験者は推計約337万人、賭け金総額は約1兆2400億円にも達している。急速に拡大するオンラインカジノの実態と、知らぬ間に巻き込まれるリスクについて詳しく解説する。
オンラインカジノの実態調査で浮き彫りになった驚きの数字
警察庁が初めて実施したオンラインカジノに関する実態調査で、国内の利用経験者が推計約337万人、年間賭け金総額は約1兆2400億円に上ることが明らかになった。この調査は、2024年7月から10月にかけて、15歳から79歳の男女約2万7000人を対象にWEBアンケート形式で行われた。
この結果から、オンラインカジノが日本国内に広く浸透している実態が浮き彫りになった。さらに、経験者の約4割が「違法である」と認識していなかったという事実は、社会的な問題として無視できない状況にある。
オンラインカジノ利用者は若年層に集中
警察庁の調査によると、オンラインカジノの利用経験者は20代が最も多く、次いで30代が続いていた。年代別の利用状況は以下のとおりだ。
- 10代:3.3%(推計約17万人)
- 20代:8.7%
- 30代:6.7%
- 40代:3.8%
- 50代:1.6%
- 60代:1.1%
- 70代:0.7%
特に、20代と30代の若年層にオンラインカジノが広く利用されており、10代の利用経験者が約17万人いるという事実は、未成年層への影響を懸念する声も高まっている。
「違法と知らなかった」経験者が約4割
同調査では、オンラインカジノの利用経験者の約4割が「違法性を認識していなかった」と回答した。特に、20代では約半数が「違法とは思わなかった」と答えており、違法性の認識が不足している実態が浮き彫りになった。
認識不足の理由として、以下の回答が多く見られた。
- 「パチンコや公営ギャンブルがあるから」(約36%)
- 「ニュースで見たから」(約32%)
- 「有名人・インフルエンサーが言っていたから」(約4%)
これらの理由から、オンラインカジノが合法な娯楽と誤解されている実態がうかがえる。
巨額の賭け金と経済的リスク
調査によると、オンラインカジノの1人あたりの年間賭け金の平均は約63万円。これを基に算出すると、年間の賭け金総額は約1兆2400億円に上ると推計された。
特に、以下の年代が多くの賭け金を占めている。
- 20代:約4576億円
- 30代:約4606億円
利用者の中には、オンラインカジノが原因で借金を抱えた人も多く、経験者の約46%が「借金をしたことがある」と回答した。
ギャンブル依存症のリスク
同調査では、オンラインカジノ経験者の約60%が「ギャンブル依存症の自覚がある」と回答した。特に若年層にその傾向が顕著で、依存症が経済的トラブルや社会的孤立を引き起こすリスクが高まっている。
社会問題としての広がり
オンラインカジノ問題は、芸能界やスポーツ界にも波及している。
- 人気お笑いコンビ「令和ロマン」の高比良くるまさんは、1年間オンラインカジノを利用していたとして謝罪し、芸能活動を自粛した。
- 元卓球日本代表の丹羽孝希選手は、賭博の疑いで書類送検され、罰金10万円の略式命令を受けた。
今後の対策と注意喚起
自民党は、オンラインカジノの違法性周知やネット広告の規制強化に向けた法整備を進める方針を確認した。警察庁も引き続き啓発活動を強化し、利用拡大の抑制に努める方針だ。
まとめ
オンラインカジノの利用は、日本の刑法で「賭博罪」にあたり、処罰の対象となる。違法性の認識が不足していることで、思わぬトラブルに巻き込まれる可能性がある。家族や友人の呼びかけや、相談窓口の利用など、社会全体での注意喚起が求められている。