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金沢21世紀美術館、2027年度に長期休館 大規模改修で文化拠点維持へ

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金沢21世紀美術館、2027年度に長期休館 大規模改修で文化拠点維持へ
DALL-Eで作成

金沢市は、現代アートの発信拠点として知られる金沢21世紀美術館の大規模改修を2027年度に実施する方針を固めた。経年劣化による設備の更新や能登半島地震による被害修繕が目的で、休館は約11カ月に及ぶ見通しだ。

 

大規模改修で約11カ月の休館へ

金沢市は2027年度、金沢21世紀美術館の大規模改修を実施する。市によると、同美術館は2004年の開館から20年が経過し、建物の老朽化が進んでいる。これに加え、2024年1月の能登半島地震では天井のガラス板約70枚が落下する被害が確認され、安全確保のため800枚超のガラス板を撤去した。

市は館内の空調や電気、給排水などの設備更新に加え、屋根や外壁、床の修繕を予定している。また、屋外の芝生や監視カメラの改修も含まれる。改修に向けた設計費として、2025年度の当初予算案に約9620万円を計上した。

金沢21世紀美術館の集客力は国内トップクラス

金沢21世紀美術館は、日本国内のミュージアムの中でも特に高い集客力を誇る。2019年には来場者数233万人で国内3位にランクインし、その後も上位を維持している。2023年度の入館者数は約197万人に達し、前年の176万人から約12%増加した。開館以来の累計入館者数は2024年10月時点で3,435万人を超えた。

近年では、SNS映えするスポットとして若年層からの支持も拡大している。特に、レアンドロ・エルリッヒ作「スイミング・プール」やオラファー・エリアソン作「カラー・アクティヴィティ・ハウス」などの体験型作品が、20代から30代の観光客の間で人気を集め、訪日外国人にも広く知られるようになった。

美術館の定石の逆を攻めて大成功

 

金沢21世紀美術館は、従来の美術館の定石とは異なる独自の戦略を展開してきた。一般的な美術館が中高年層を主要な来場者とするのに対し、21美は子供や家族連れを重視した運営を行っている。開館当初から市内の小学生を無料招待し、家庭と美術館を結びつける施策を続けてきた。

また、ピカソやゴッホといった歴史的な巨匠の作品を所蔵せず、体験型の現代アートを中心に展示する方針を採っている。これにより、幅広い層の来館者が「観る」だけでなく「体験する」楽しみを見出し、美術館を身近な存在と感じられる環境を整えた。

建築デザインにも特徴があり、円形のガラス張り構造が開放的な雰囲気を生み出している。建物全体が公園のように機能することで、美術館を訪れるハードルを下げ、気軽に立ち寄れる空間としての魅力を高めている。

休館による地域経済への影響

一方で、長期休館による地域経済への影響も懸念されている。美術館周辺には観光客をターゲットとした飲食店や土産物店が多く、特に依存度の高い店舗にとっては来館者の減少が深刻な影響を及ぼす可能性がある。これまで美術館を訪れた観光客が立ち寄ることで成り立っていた経済圏が、約11カ月もの間、大幅に縮小することになる。

市は、休館期間中の代替イベントの開催や、美術館のコンテンツを活用した市内各所での展示企画などを通じて、地域への影響を最小限に抑える方策を検討している。また、休館による影響を受ける事業者への支援策も求められる。

今後の展望

 

金沢市は、今回の改修を通じて、美術館の魅力をさらに高め、国内外の観光客を引き続き呼び込むことを目指している。特に、SNSを活用した情報発信や、休館期間中の代替イベントの実施など、来館者とのつながりを維持する取り組みが求められる。

また、能登半島地震を受けた建物の耐震対策や安全基準の見直しは、他の文化施設にも影響を及ぼす可能性がある。今後、文化資源の保全と防災の両立を図る動きが加速するか注視される。

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ライター:

サステナブル情報を紹介するWEBメディアcokiの編集部です。主にニュースや解説記事などを担当するチームです。

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