アメリカのドナルド・トランプ大統領は4日、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と会談し、パレスチナ自治区ガザ地区について「アメリカが所有し、再開発を進める」との考えを示した。さらに、ガザの住民全員を別の地域に移住させるべきだと主張し、国際的な波紋を広げている。
「ガザの住民全員を移住させる」—トランプ大統領の発言
トランプ大統領は会談後の記者会見で、「ガザの住民は戻るべきではない。移住対象の規模は170万から180万人だ」と述べ、全員の移住を前提とした構想を明らかにした。また、「アメリカがガザを引き継ぎ、すべての武器や不発弾の撤去に責任を持つ」と発言。さらに、「がれきを撤去し、経済発展を進め、世界中の人が住めるような国際都市を作りたい」と述べた。
トランプ氏はヨルダンやエジプトにガザ住民の受け入れを求めているが、アラブ諸国はこの提案を強く拒否している。アラブ諸国の外相らは共同声明を発表し、「いかなる状況下でもパレスチナ人の強制移住は認められない」と明言した。
識者の見解と国際社会の反応
米外交・安全保障専門誌「ディプロマット」の東京特派員である高橋浩祐氏は、「他国のアメリカに何の権利があって、ガザ住民を移住させたり、ガザを所有できたりするのか」とSNSで指摘。さらに、「住民の強制的な移動や排除は国際法や国際人道法に反する」と述べた。
国際政治学者の六辻彰二氏も、「トランプ氏はガザにビジネスチャンスを見出している」とSNSで分析。ネタニヤフ首相との会談でトランプ氏は「ガザを『中東のリヴィエラ』にする」と発言し、観光地としての再開発を構想していることが明らかになった。しかし、「この提案はイスラエルや一部の富裕層を喜ばせるものに過ぎず、多くの国際法に違反する」と批判した。
SNS上の反応—賛否が分かれる声
SNS上ではさまざまな意見が飛び交っている。トランプ氏の提案を肯定的に捉える声として、「アメリカの所有に賛成。このままではイスラエルに全滅させられる。移住は人道支援として必要だ」といった意見が見られた。
一方で、「ガザをアメリカが所有し、瓦礫を撤去し、経済発展を促すことは賛成だが、住民の移住には反対。アメリカにはガザのインフラを整備する義務がある」との意見も根強い。
また、日本国内では「日本がこの問題に関わるべきではない」との声も多く、「日本の政治家がガザ住民の受け入れなどを表明すれば、国内の問題をさらに複雑にする」との懸念も示された。
イスラエルの反応と今後の展望
ネタニヤフ首相はこの提案について「歴史を変えうるものだ」と評価。しかし、パレスチナ自治政府やアラブ諸国は強く反発しており、実現の可能性は低いと見られる。国連や国際社会の反応次第では、アメリカと中東諸国の関係がさらに緊張する可能性もある。
今回のトランプ大統領の発言は、アメリカの外交政策における新たな挑発とも取れるが、国際的な批判が高まる中でどのように展開していくのか、引き続き注視する必要がある。