厚生労働省の発表によると、日本で働く外国人労働者が2024年に230万人を超え、過去最多を更新した。
人手不足を背景に増加する外国人労働者の現状と課題を探る。
外国人労働者数、12年連続で過去最多を更新
厚生労働省の発表によると、2024年10月末時点で日本国内の外国人労働者数は230万2587人に達し、前年から25万人以上増加した。増加率は12.4%で、2008年の統計開始以来、最大の伸び幅となった。日本の労働市場全体に占める外国人労働者の割合は3.4%に上り、12年連続で過去最多を記録した。
この急増の背景には、少子高齢化による国内労働力不足がある。特に医療・福祉分野では前年比28.1%増と最も高い伸び率を示し、介護分野における人材不足が外国人労働者の増加を後押ししている。一方、建設業や宿泊・飲食業などでも需要が高まり、外国人労働者の雇用が広がっている。
産業別・国籍別に見る外国人労働者の内訳
産業別では、製造業が59万8314人と外国人労働者全体の26%を占め、最も多かった。次いでサービス業が35万4418人、卸売・小売業が29万8834人と続く。一方、伸び率では医療・福祉が突出しており、国内の高齢化問題がこの分野での人材需要を押し上げている。
国籍別では、ベトナムが最多の57万708人で全体の24.8%を占め、中国(17.8%)とフィリピン(10.7%)がこれに続いた。特に増加率においては、ミャンマーが前年比61%増と顕著で、インドネシアやスリランカなど東南アジア諸国からの労働者が増加している。
特定技能制度の拡大とその影響
在留資格の内訳を見ると、一定の専門性や技能を有する「特定技能」に基づく労働者が20万6995人と前年比49.4%増となり、著しい伸びを見せた。2019年に創設された特定技能制度は、人手不足が深刻化する16の分野で外国人労働者を受け入れる仕組みだ。同制度は、建設や介護といった分野で特に活用されており、人材不足の解消に一定の効果を上げている。
また、技能実習制度に基づく外国人労働者も47万人に達し、14.1%増加した。日本での技術習得を目的とした制度だが、実際には労働力としての活用が目立つとの指摘もある。
今後の課題
外国人労働者の増加は人手不足解消の一助となっているが、課題も多い。
外国人労働者の受け入れ体制は特に課題として挙げられる。行政手続きの簡略化や住居、教育、医療など生活環境の整備が重要である。外国人労働者が日本社会で安心して働き、暮らせる環境を整えることが、労働力確保の鍵となる。
少子高齢化や人手不足が進行する中で、日本は外国人労働者をいかに取り込み、雇用関係を円滑に進められるかが問われている。政府や企業は今後も制度の見直しを進め、国際的な競争の中で労働力を安定的に確保するための取り組みを続ける必要がある。
【参照】
・「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和6年10月末時点)(厚生労働省)